脳神経科学4
シナプス伝達3
しばらく休んでいましたが今日から再開します。
今日は、神経伝達物質とその働きについて概説します。
シナプスでは、シナプス前ニューロンから
神経伝達物質が放出されて、それがシナプス間隙を泳いで、
次のニューロンの受容体に結合することで
イオンが流入して次の細胞の膜電位が変化します。
このとき、次のニューロンでどういう膜電位変化が起こるかは、
どういう神経伝達物質が結合し、どういうイオンが入るかによります。
神経伝達物質は、
大きくアミノ酸、モノアミン、ペプチドに分けられます。
そのうち、中枢神経系のほとんどのニューロンにある
グルタミン酸とGABAを取り上げて説明したいと思います。
グルタミン酸は、ある種のイオンチャネルと結合したとき、
ナトリウムイオンを通します。
その結果、興奮性の電位が発生します。
これがEPSPです。
それに対して、GABAは、ある種のイオンチャネルと結合すると、
塩化物イオンを通します。
その結果、抑制性の電位が発生します。
これがIPSPです。
このように、結果的にはどういうイオンを通すか、
すなわちプラスイオンを通せば電位は上がるし、
マイナスイオンを通せば電位は下がるわけです。
さて、実際のニューロンは、特に中枢神経系では、
1対1でつながっていることは稀であると言えます。
複数のニューロンから1つのニューロン、
1つのニューロンから複数のニューロンというふうに
いろんなバリエーションがあります。
ニューロンと一言に言っても、いろんな種類があります。
シナプス結合も非常に複雑です。
しかし、ここまで述べてきたことが原理としてありますので、
ここまでの話は無駄ではなくて、基礎として重要なことです。
1つのニューロンで、複数のニューロンから情報を受けて、
情報をまとめることをシナプス統合と言います。
簡単に言えば、3つのニューロンから情報を受けたら、
次のニューロンで活動電位が起こる確率が上がります。
EPSPの加重には、2つの種類があります。
1つは空間加重、もう1つは時間加重です。
空間加重は、2つ以上のシナプスが
同じ樹状突起上で同時入力されることによる加重です。
時間加重は、1つのシナプスにおいて、1~15msec以内に
EPSPが連続することによる加重です。
また、抑制性シナプスでは、
膜電位を閾値から遠ざける性質があります。
例えば、塩化物イオンが流入すると、膜電位は下がります。
このように、シナプスにおいて加重が起こり、
どういうイオンに透過性を持つかによって電位が決まるわけです。
ここまでニューロンから次のニューロンへ
どのように信号が伝えられるかについて説明してきました。
明日は、そのまとめをします。