「ef - the first tale.」感想 | 箱庭の空

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小さな世界。

このゲームは2013年頃に初めてしたのですが、元々、2007年にアニメ化された時にそれを少し見ていたので、興味がありました。

記憶を保っていられない少女との交流とは面白い題材だと思ったのです(それと眼帯)。

主題歌も美しかったのでずっと印象に残っていました。

 

2013年にプレイした時は、まだ数をこなしていない時期だったのと、主人公が漫画家としてデビューしたものの苦しんでいるという設定が、その時の自分とは合わなかったので、ほんの少しだけですぐやめてしまいました。

でも、キャラの立ち絵が瞬きしたり口を動かしたりするのには、感心しました。

それまでにそういう、動く立ち絵を取り入れたゲームには遭っていなかったので。

 

2017年にふと、途中になっているから最後まで読もうと思い立ちました。

(しかし、結局「latter tale」の方までは、まだ全部読んでいないのですが……。)

その頃にはもう、主人公の設定も設定として受け入れられるようになっており、読み進めることができました。

 

みやこが何故「みやみや」と呼ばれるのか、その理由も実に納得がいくものでした。

「宮村みやこ」という名前の人を、「みやみや」以外にうまく略しようがないですよね。

私は申し訳ないことにファンが勝手に付けた愛称の一つなんだろうと思っていて、良い印象が無かったのです。

上に書いた通り、立ち絵が動くのですが、それ故にみやこ(の見た目)が大変可愛らしく感じました。

 

また、偶然にもその頃は、「君の名は。」が上映されていて、新海誠さんが非常に有名になった時期でもありました。

「ef」のOPアニメは新海さんが作ったものらしいです。

確かに、終わりに流れるそのアニメは、すごく綺麗で流れるような躍動感がありました。

しかし流石だなとは思ったのですが、自分にとってはそれだけでした。

 

そういう感想になってしまった理由が、この話は題名通り前半部分でしかないということと、三角関係の話に過ぎないということです。

みやこが、景のバスケの試合を見に行くかどうか迷う主人公に「中途半端では良くない」と決断を迫る場面などは結構良いと思いましたが。

プレイヤーのシナリオ選択の自由度はかなり低く、景を選べばバッドエンドになってしまいます。

そういう全てが既定路線の中で、何故主人公がみやこを選んだのかが自分にはよく分かりませんでした。

気付いたら家に上げている、やることやっている、という感じでした。

それに、みやこはあざとい、という感想がいつまで経っても抜けませんでした(確か、「猫を被っている」と言われていたとも思います)。

別に悪い話ではなかったのですが……これが単体ではどうなのだろうと思うところでした。

結局、景は妹に過ぎなかった、ということなのでしょう。

景が主人公(紘)に振られてから、堤と付き合うようになったのも、景の気持ちとしてはよく分かりませんでした。

堤側の「良い映画を撮りたい」という好意は伝わってきたのですが。

とにかく三角関係がぐだぐだしていました。

グラフィック面が美しいだけで、大した話ではなかったように感じられて仕方がなかったです。

 

それでも、登場人物たちの持っていた、志した夢を心に秘め、挫折し屈折しながらも頑張っていこうとする部分は良かったです。

 

2017年の11月に読み終えてからすぐ、後半の「latter tale」にも手を伸ばしたのですが、「first tale」からどのような繋がりになっているか分かりづらいところもあり、やはり少しだけでやめてしまいました。

後半こそがこの物語の語りたいところらしいので、いつか読んでみようとは思っていますが。

 

謎の存在、優子がどういう人なのかも気になるところです。

意味深なことばかり言って、何一つ明らかにならないので。

彼女と一緒に廃墟の街を歩くシーンは、寂しげで記憶に残っています。

クリスマスに彼女のいる教会を訪れるところから始まるので、初めは、クリスマスの話なのかと思っていたけれどそんなこともありませんでした。

 

公式サイト:

 

 

2019年にminoriは活動終了してしまいました。

「マイノリティ」として独自の作風で頑張っている、という話でしたが、時代の波に勝てなかったのかもしれません。