『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その132
第37回 オンベレブンビンバ
今回は、雑感を・・・
いやぁ~、今回も神回と言っていいのではないでしょうか?今年の大河は、ホントに神回が多い。
先週、今話の予告からネット上を騒がせていたサブタイトル『オンベレブンビンバ』。
第21回『仏の眼差し』(八重(新垣結衣)が川の中で泣いている鶴丸を、自分の子千鶴丸とオーバーラップさせて助けた後、自らの命を落とす回)の中で、頼朝の長女大姫(南沙良)が、元気になるおまじないとして皆の前で披露した『オンタラクーソワカー』だったとは(ドラマでは『ボンタラクーソワカー』で盛り上がっていたが・・・笑。長澤まさみのナレーションで訂正済。)意味はよくわからないが、真言の言葉のようだ。
真言宗は、空海が開いた宗派。空海は、現世利益をもたらす密教を初めて日本に伝えた。あの、天台宗を開いた最澄も、その極意を学ぼうと空海を頼ったが、その願いを拒絶した空海。しばらくの間、この密教は真言宗の専売特許となる。鎌倉時代にはすでに、天台宗も密教的要素を取り込んでいたが・・・。この密教は、当時の貴族社会に大歓迎された。政敵を祈り殺す道具、また、この現世で自らの願いを成就する道具として・・・。
(『オンタラクーソワカー』を元気が出る呪文として皆に知らせる大姫)
孫娘が皆を元気にするおまじない『オンタラクーソワカー』をうろ覚えしていた時政(坂東彌十郎)が、『オンベレブンビンバ』と行った途端、家族が皆で「あれ?」となって、あーでもないこーでもないと久しぶりの家族団欒の時となった。もちろん、これは『鏡』等の史料に記されていることではない。しかし、第21回からの三谷幸喜の大いなる前振りと言えるだろう。次回、時政は幕府内の権力闘争に敗れ、出家して伊豆に隠棲することになるので。
(時政は最後の家族団欒の時を過ごさんと・・・)
全てを悟った時政(坂東彌十郎)が、家族との最後のひと時に『オンベレブンビンバ』。それは、時政の孫娘大姫が語った幸せの呪文だった。りく(宮沢りえ)の言いなりに将軍実朝を廃して、女婿平賀朝雅を鎌倉殿に据えようという企みが、不可能と知りながらも愛妻のために力になろうとする時政。そうした父のことを全て見通した義時(小栗旬)。これまでのさまざまなイザコザを『全て大泉のせい』と言ってきた義時が、『全てりくのせい』と悟った瞬間だった。
(義時は我が子泰時を自分のそば近くに置き、全てを感じ取らせようとする)
大河ドラマも残すところ後10回ほど。時政隠棲に続いて、和田義盛(横田栄司)も討伐され、いよいよ、後鳥羽上皇(尾上松也)との承久の乱となる。ラストスパートに突入したという感じだ。