『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その5 | nettyzeroのブログ

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『鎌倉殿の13人』~後追いコラム その5

 

  上野(かずさ)の介(すけ)平直方(たいらのなおかた)朝臣五代の孫、北條の

  四郎時政主は当国の豪傑なり。(『吾妻鏡』治承4年4月二27日条)

 鎌倉幕府半公的記録『吾妻鏡(あずまかがみ)』の北条時政(坂東彌十郎)初出の記述である。

 

 

 半公的と言うのは、北条氏贔屓の記述が多く、北条氏にかなり近い人物によるものと言われているからである。鎌倉時代の研究には欠かせない史料だが、こと北条氏の記述に関しては眉に唾をつける位の気持ちが必要だ。その代表と言えるのが、冒頭の時政に関する記述である。

 

 

 『豪傑』。辞書的には才知、武勇に並外れて優れ、度胸ある人物という意味。劇中の時政にそんな感想をお持ちだろうか。時政は田舎の人の良いおじさんではないだろうか。経済的に見ても『豪傑』と言うほどの大領主ではなく、伊東・三浦・大庭諸氏に囲まれ、一族の未来は安泰などととても言えない存在だったのだ。時政は在庁官人(ざいちょうかんじん:国司の政治を補佐する地方の有力者)の一人で、飛び抜けて注目されるような存在ではなかったのだ。

 

 

 時政も義時同様、事態は考えもつかない方向に動いていく。一がバチかの賭けに出るのである。前回書いた伊東祐親は、北条氏より平家に近く、軍事的・経済的にも北条よりも大きな存在。だから、その全てを投げ捨てて頼朝に賭けることはできなかった。

 

 

 確実性など何もない中、一族の命運を頼朝に賭けたという点では、時政は『豪傑』かもしれないが、それができるほどに弱小だったということ。頼朝挙兵時、兵集めに四苦八苦するくらいに。詳細は第四話をご覧ください。面白いですよ。狼狽える大泉洋(頼朝)にも注目。

 

 

 これから、時政のイメージは大きく変わっていくだろう。このまま田舎のお人好しでは終わらない。頼朝が創る武家政権のNo.2となるのだから。権謀術数を回らしてのし上がっていくのだ。ティモンディ高岸扮する仁田忠常にもご注目を!今年の大河は芸人が色々と活躍するようだ。

 

 

 冒頭の平直方の娘は源頼義に嫁ぐ。5代孫時政の娘政子は、源頼義の5代孫の源頼朝に嫁ぐ。これは単なる偶然だろうか・・・