甘えん坊甘えん坊、すごく甘えん坊です。昼寝から覚めると私を探し、すかさず「抱っこ!」。

料理をしてると足元から私に登ろうとして、「抱っこして!」。

TVを観てると膝に頭をスリスリして「抱っこ!」。←猫かいビックリマーク

 

茶色の体色をブルーに置き換え、ハチワレを空想上で追加すると、結構こぶにもみえてくる。

この仔がこんなに甘えん坊さんなのは、今だけなのかそれともこの先ずっとそうやって私に甘えてくれるの?

二人で一緒にTVを観ていても、気づくと首を右後ろに向けて一生懸命に私の目を見てる。

それが犬という感じがしない。それとも私が犬なのか。

二人だけの世界がうちに来て初日でとっくに確立した。知り合って39年の旦那君より真実で本物。

太郎のことが好きで好きでこのまま二人でどこかに溶けていきたい。

 

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ 長文で心苦しいです。読んでくださる方はありがとうございます。

 

さてKちゃんの言葉をあとにして私達は叔父と離れそれぞれの生活に戻った。それが2月の9日。

叔父はかねてから糖尿病を患っており、パーキンソン病もあるので、ちょっと一人での生活っていうのはどうなんだろうね、でも今のところはヘルパーさんに来てもらってたから、Mちゃんが死んじゃってもなんとか一人暮らしはできると思う…などと従妹達と話しながら帰った。

 

2月の15日にまた母から電話。「ちょっと!!!今ヘルパーさんから電話があって、部屋に入ると叔父ちゃんが倒れてたから救急車を呼んで病院に運んだって!!!!」ということ。

倒れてたって、いつからなのだろう。最後に叔父ちゃんの顔をみたのは9日で、今日は葬儀後、初めてのヘルパーさんの日だっていうことだから発見されるまでに、最悪9日夜に倒れてた計算だと6日目。

 

叔父は意識はあったという。だけど、大事なことを聞くのを忘れてた。太郎だ。太郎は叔父が最悪葬儀の日に倒れたのだとしたら6日も何のケアも受けずに、ご飯もなかった、

急いで母に電話をかけ直して聞くと「太郎はね、ケアマネさんが車で太郎のかかりつけのA動物病院に運ばれたんだって」。

 

可愛そうな太郎。大体なぜペットショップは高齢の叔父夫婦にチワワを売ってしまったのだろう。そんなことが頭をよぎった。

叔父は年が90歳、叔母は昭和の11年2月生まれだから母の一個下ってことは…83歳くらいか…太郎が渡されたのがザっと計算して83-13で70歳の時。70歳では、死んでないだろうという保証でもあるのか。

ダメだろう、そんな年の人に子犬を手渡したりしては…。

可愛そうな目にあうのはこうして犬になってしまうのだから。

 

叔父はそのうち体力を取り戻して退院するとして、その震顫する、倒れそうな体で太郎をみれるのか。

ケアマネとかヘルパーさんとかの規則とかってよくわからないのだけど、その老人の飼っているペットの世話まではやらないという決まりらしいから、今度はペット専門のヘルパさんを雇ったほうがいいだろうな。

その時の私はそんな風に考えていた。

Kちゃんも介護施設の仕事をしているけど、あれくらいなら十分在宅で一人暮らしできると言ってた。

 

 

子供のいない叔父の入院中の様々な用事や、叔母の財産管理をお願いしている先生、それから病棟ナース、ケアマネさん、ペルパーさん、それに私達従妹が全員で叔父のこれからのことを話し合うために千葉の病院の一部屋に集合して話し合いの時間を持った。

ドクターの所見ではもう家に戻ることは難しく、どこかの施設を早く探さないとあと60日を期限としてこの病院にはいられないということだった。

その話を聞きながら私は「今はペットと入居できる施設もあるのだから、それを探せばいい」などと考えていたのだ。

だって、配偶者に先立たれたその時こそ犬の出番なのだから。太郎は叔父の生きがいだったから、太郎がそばにいてポカポカと日の当たる部屋に二人でいれば寂しくないだろう…と。

 

そんな私の考えを見透かしたかのようにケアマネさんが、「では次に飼い犬の問題です。残念ですが、〇〇様は複数の疾患をお持ちで、施設探しが難航すると思われます。ペットを連れての入所どころか人間一人の行き先がありません。犬の行き先となると…」

 

私は心の中でええええええええええええええええええええええええええええええええええまさか行政?

 

心臓が早鐘のように鳴り、頭の中で自分の心臓の音が大きく響いています。

しかしそれと同時に私の中では激しい葛藤があったのです。

こぶさらの壮絶な最期、もうあんなに苦しむ愛犬を見るのは何があっても避けたいという…。

さらに、愛犬を亡くした後のあのすべてが終わったような地球最大の悲しみ。

夜中の救急センター。それに運ぶために食卓の椅子にはいつでも出られるようにいつでも洋服がたたんで置いてあったこと。

太郎は心臓病を持っていることも叔父から聞いて知っていた。

もう、周囲の声がまったく耳に入らなく、激しく葛藤して目が回ってきた。

しかしそれらの葛藤を一発で振り払う一つの言葉。行政行き。

冗談じゃないよ?あんなかわいいアザラシを。私は私の許可を取ることもせず、「私が…」と声を発していた。

 

私が太郎を引き取ります。

 

一瞬みんなが話をやめたかと思うと、ケアマネさんが「最善の結論になりました!」ととってもうれしそうな晴れ晴れした表情をなさった。

 

続く…。