…の筈でした。

ところが、そうそう簡単にはいかない我が家のなぎ丸
エレベーターを降りたなぎ丸、私の手をスルリと振り切って今度は、エレベーターホールから今来たのと逆方向に私たちの部屋の前を通り越して廊下の突き当たりに向かって爆走したのでした。
 

もう、こうなってくると「こぶ、待て」なんて言っているレベルではありません。
仲居さんの声がします。
 
「お母ーさーん!!こっちこっちーー!!」
 
慌てて追いかける私の前を料理を放り出した仲居さんが必死に追いかけています。慌てた中にもなぜか冷静な私がいて、この時の遠く走るこぶの姿がなぜか滑稽だったのを覚えています。
 
子供がお母さんにブタレそうな時、よく首をすくめるような格好をしますけど、あの時のこぶがまさにそんな感じで走っていくのでした。
私は今までこぶに体罰を加えたことは勿論一回もないのに、こぶは自分がなんだかしちゃいけないことをしているのだとわかっていて
『いけねェ、いけねェ』と自覚しながら走っていたのではないか、そんな気がします。
 
さて、この廊下の突き当りには部屋出し客用の料理の中継地点のような準備室があって、そこから、何の騒ぎかと飛び出てきたほかの部屋の仲居さんに、うち担当の仲居さんが大きな声で
「つかまえてーー!!」と叫びました。
 
すると今度は、つかまえようとした仲居さんの手をスルリと抜けて、
なぎ丸がその準備室に乱入したのです!
私が追いつくと、準備室には男、女の係の方計3~4名いらして、皆同じくびっくりして
「あらま!!来ちゃったの。どこの仔かしら?」「あれれ!?」なんて慌てています。
 
私が瞬間的に何よりまずいと思ったのは、
おいしそうに並んでいるワゴンの上のお料理をこぶが食べてしまわないかということでした。

でもこれは、散歩の時拾い食いをしないようにだけは厳しく躾けてあったせいなのか、幸い手を出すことはありませんでした。
男性の係員の方に二本足で立ってじゃれついて「遊んで下さい」ポーズをとっているのです。
「失礼します!!」
 
ハァハァハァ…と準備室の奥まで入り、行き止まりで逃げ場を失ったこぶをようやく抱き上げたのでした。
仲居さんは大笑い笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き私は浴衣は大きくはだけ汗だくゲローこぶはハァハァハァハァ…ゲラゲラゲラゲラゲラゲラと肩で息をしていました。
帰ってきて夕食時の写真を見ると、テーブルにお酒がないではないですか。
温泉に行って相方がお酒無しで食事をするなんて、ありえないこと…!
二人がどんなに動揺したか、容易に想像がつくというものです。
 
 
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さて、ここまでで終わりなのですが、書き終わるとにわかに襲い来る寂寥感…ガックリガックリガックリ
ここに出てきた二人の犬と一緒に楽しい旅行をすることはもうありません。
旅行どころか、彼らの姿はもう私の眼には見えなくなってしまいました。
 
本当にそれを考えるのはつらいので、あまり深く考えないようにしておきます。
 
人生とは考えているよりも短いものだと思いますので、こうして昔の記事なんかを読み返しているうちに、こぶさらがお迎えに来てくれ、またみんなで、こんどはもっともっと良い場所で暮らせるでしょうやしの木ハイビスカス虹
 
ちょっとアメ限記事から二人からの伝言を引っ張ってきますが、
「僕らにたくさん幸せを教えてくれた分まで二人には長生きして楽しく人生を過ごしてほしい」
「必ず僕たちが迎えに行くから待っててね」
 
 
この言葉を信じて…。
長い文にお付き合いいただきましてありがとうございました照れ
アメンバー記事はもう少し続きます。
お空組のお母さん虹スピにちょっと興味がある方キラキラなどお気軽に読みにいらしてくださいねチューリップ赤チューリップ黄チューリップ紫
 
 
皆様の大切なワンちゃん、きょうはちょっと寒いけど体調に気を付けて楽しい週末をプレゼント