外国人に囲まれたときに日本人として価値を出す、一つの方法 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

外国人に囲まれたときに日本人として価値を出す、一つの方法

昨年3月に募集した、オンライン英会話レアジョブのフィリピン支社での日本人長期インターンシップ
今年度は4名を受け入れた。
 
休学してまでフィリピンに飛び込んで来てくれたインターンたち。
彼らとの定期的なメンタリング・セッションを、僕は持つようにしている。
今日、うち1名と話をした。
とてもうれしい話を聞けた。
忘れないうちにメモしておく。
 
その彼がこの数ヶ月取り組んだのは、レアジョブのとある教材・コンテンツの改善だった。
 
「日本のお客様が期待する品質に達していない点があり、その要因を探ることからはじめました。」
 
どのように改善を進めたかを、彼は話してくれた。
「まずはフィリピン人講師として研修を受け、その次にマニュアルなどフィリピン人の目線でその教材・コンテンツの使いやすさを検討しました。」
「結果、期待通りにいかない要因は明確にできました。端的に言うと、講師の裁量の大きさが、現場がちゃんと回っていた要因なんですが、結果がバラついてしまう要因でもあったのです。」
「課題の全てを解決できるわけではないですが、解決できるものについてはどう解決するかは見つけられたと思います。」
「それを、上長(の上長)の日本人に何度が説明する機会を頂けました。何度もフィードバックを頂き直したものを、英語から日本語に変え、日本側のお客様担当部門の部長にもプレゼンしました。そのときには高い評価をもらいました。」
「現在は日本側の中村社長へのプレゼンを控えているところです。」
 
以上の話を聞いたあとに僕は次のように尋ねた。
「君のやったことについて日本人が高く評価していることはわかった。では、フィリピン人の同僚はどのように反応したのかな?」
 
彼は次のように説明した。
「フィリピン人スタッフから真っ先にもらった反応は『みんなわかってた』でした。僕が指摘した事は全て承知済み。でも、『日本人に言わなかった』とも聞きました。『何も言わずに、現場のオペレーションのやりくりでがんばっていた』とも。」
「一方、日本人からの反応は『そうだったのか、知らなかった』でした。」
「そして今では日本側から「改善してくれ」と依頼がでています。」
「その依頼をうけ、フィリピン人たちがいきいきと、企画・議論し提案をまとめています。フィリピン人に改善の能力がないわけじゃないんだなあと思っています。」
「今は自分の手からいったん離れた、という印象を持っています」
 
それを聞き、僕は次のようにコメントした。
 
「君がフィリピンでインターンを始めたばかりの頃、あるレストランで僕がこう言ったのを覚えているかな? 『これからのインターン期間で、フィリピン人をうまく活用する方法を学んでも、君の将来にきっと何の役にも立たないだろう。大学卒業後にフィリピン人と働く可能性は低いからだ。しかし、外国人の中で日本人がバリューを出すにはどうしたらいいかわかったら、それは将来きっと役にたつだろう。これからの1年弱で君たちなりのその方法が見つけられたら、君たちにフィリピンに来てもらった甲斐があると思う。』」
 
彼は「ハイ」とうなずいた。僕は続けた。
 
「今回君が発見したのは、ある教材・コンテンツの課題や解決策だけじゃないよね。会社の生産性に悪影響を与えるレベルで、日本・フィリピン間の相互理解不全が起きていたということだよね。」
「そして君はそれを解決できた。フィリピン人たちがいきいきと、日本人がより望むものをつくる、その環境をつくることができた。」
「これが、君なりの『外国人の中で日本人としてバリューを出す』方法のひとつだと思う。君が成し遂げたことは誇っていいと思う。」
 
自分に対する要求水準が高く、
仕事の話をしているときに普段あまり笑顔を見せない彼であるが、
このときばかりは満面の笑みを浮かべていた。
 
そのことも含め、僕は嬉しいと思った。