ローマ人の物語
塩野七生「ローマ人の物語
」、全43巻を読了した。
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人間の運・不運は、その人自身の才能よりも、その人がどのような時代に生きたか、のほうに関係してくるのではないかという想いだ。
・・・
もしも彼が、異民族をも平然と受け容れていたほどに開放的であったかつてのローマ帝国に生まれていたならば、軍事の才を認められた結果、帝国の重要な「防衛線」の一つを任されるなどして、賞賛と名誉につつまれて生を終えていたにちがいない。だが、人間社会とは、活力が劣化するにつれて閉鎖的になっていくものでもある。
・・・
「共同体」と「個人」の利害が合致しなくなることも、末期症状の一つであろうかと思ったりしている。そして、公共心も、個人が、自分の利害と自分が属す共同体の利害は連動する、と思えた場合に発揮されるものではないか、と。
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読んでいて、ローマの勃興期と、衰退期は、とても状況が似ていると思った。
・実質的な領地はイタリア半島+αだけ
・蛮族が攻めてくる
・少ない兵で多くの敵を打ち破る英雄が何人も登場する
状況は似ているが、一般の人々の反応は異なる
・敵にたちむかう勇気を示せるか
・個を犠牲にしてでも、公のためにコミットしたいと思えるか
・出自や民族、宗教などの違いよりも、大きな目標を重視できるか
勃興期ではできたことが、衰退期ではできなくなる。
結果、与えられた状況はまったく同じでも、
勃興期では勢力をどんどん広げられるのに、衰退期では滅びてしまう。
企業で最も大事なのは、企業文化だとよく言われる。
それと全く同じように、国という単位でも、
一番大事なのは、優れた個人とか、戦略とか、技術とかではない。
一般の人々の間でのカルチャーが明暗を分けるのだと思う。

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人間の運・不運は、その人自身の才能よりも、その人がどのような時代に生きたか、のほうに関係してくるのではないかという想いだ。
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もしも彼が、異民族をも平然と受け容れていたほどに開放的であったかつてのローマ帝国に生まれていたならば、軍事の才を認められた結果、帝国の重要な「防衛線」の一つを任されるなどして、賞賛と名誉につつまれて生を終えていたにちがいない。だが、人間社会とは、活力が劣化するにつれて閉鎖的になっていくものでもある。
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「共同体」と「個人」の利害が合致しなくなることも、末期症状の一つであろうかと思ったりしている。そして、公共心も、個人が、自分の利害と自分が属す共同体の利害は連動する、と思えた場合に発揮されるものではないか、と。
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読んでいて、ローマの勃興期と、衰退期は、とても状況が似ていると思った。
・実質的な領地はイタリア半島+αだけ
・蛮族が攻めてくる
・少ない兵で多くの敵を打ち破る英雄が何人も登場する
状況は似ているが、一般の人々の反応は異なる
・敵にたちむかう勇気を示せるか
・個を犠牲にしてでも、公のためにコミットしたいと思えるか
・出自や民族、宗教などの違いよりも、大きな目標を重視できるか
勃興期ではできたことが、衰退期ではできなくなる。
結果、与えられた状況はまったく同じでも、
勃興期では勢力をどんどん広げられるのに、衰退期では滅びてしまう。
企業で最も大事なのは、企業文化だとよく言われる。
それと全く同じように、国という単位でも、
一番大事なのは、優れた個人とか、戦略とか、技術とかではない。
一般の人々の間でのカルチャーが明暗を分けるのだと思う。