給与の上方可能性 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

給与の上方可能性

たくさんの面接をしていて、高い給与をオファーする誘惑によくかられる。
「この人はAクラス!」
「この人が欲しい!」
「この人がいればこの事業は成功する!」
そう思っているときはなおさらだ。

でも、そこはぐっと我慢する必要があると思っている。
それはなぜか。

例えば、外資系証券のゴールドマン・サックス。
ゴールドマン・サックスの給与は高いが、競合の外資系証券と比較すると低いほうだと聞いた。
低いほうだから、お金が主目的な人はよそに行く。
ゴールドマン・サックスには、そこで仕事がしたい人だけが集まる。
会社のビジョンや同僚の人柄などで、ナチュラル・セレクションがかかっている格好で、
結果として、会社と適切にマッチングした人材だけが残る。

これはベンチャーでも一緒だと思う。
うちでは、入り口の給与はなるべく低く設定している。
低い給与でも入ってくれる人材を採用し、
その人の成長に合わせて、給与を市場並に上げ、市場平均以上に上げていく。
そうすることで、会社とマッチングしない人材はそもそも入ってこないうえ、
スキルの伸びと報酬の伸びが一致するので、従業員のやる気が増し急カーブでスキルが伸びる。
つまり、給与を低く出すのではなく、入り口の給与を低くすることが重要なのだと思う。

いわゆる「ビジョナリー・カンパニー」を築こうと思ったら、お金でひきつけるのはよくない。
面接時の甘い誘惑をどれだけ断ち切れるか、その本気度が問われる瞬間だと思う。