周りのひとに変化をもたらしたいとき 3 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

周りのひとに変化をもたらしたいとき 3

グローバルブレインさんというVCに、うちは投資頂いている。
ハンズオンで、担当者の方が週1でミーティングに来てくださる。
で、半年前に、僕が次のように愚痴った。

「ネガティブフィードバックが、僕、ずっと苦手なんですよね」

すると、その担当者の方は次のように言った。

「たぶん、答えを明示しちゃっているのがいけないんじゃないかなと思います。」
「ご出身がコンサルだから、情報の整理がうまい。答えまできれいに導き出せる。
 だから、あなたのとるべき行動はこれです、と説明できる」
「でも、それでは人は動かない」
「結論は明示してはいけない。相手に自分で考えさせなければいけない。」

「だが、自分で考えさせるために、考える材料は用意する必要がある。」
「事業がどう成長するか、関わる人がどう変わるか、どのようなマネジメントタスクがあるか、誰がやるか、その人に期待されている役割は何か、などなど」
「あと、考える機会もこちらから設定する必要がある」
「でも、答えは出してはいけない」

このコメントはありがたかった。

起業した場合の大きな欠点は、ネガティブフィードバックを受ける機会が減ること。
うちの会社は普通の会社よりも意見がいいやすい会社だと思うが、
それでも上司にダメ出しするのって、精神的になかなかたいへん。
必然的に、自分からネガティブフィードバックを探しに行くか、これで大丈夫と安心(慢心?)するか、
そのどちらかしかない。



で、VC担当者さんのコメントをいただいてから、半年たった。
言われたことが自分なりに整理できた。

・「相手に考えさせる」という目標を達成するうえで、
もっとも僕自身にあった方法は、
相手に選択肢を明示すること。




例えば・・・

例えば、フィリピン側の創業期からのメンバー。
直感にすぐれ、0→1の段階では誰よりもシゴトができる。
実際、会社が0→1の段階では大きな功績を示してくれた。
でも、いまレアジョブは1→100の段階。
本人が持っているスキルと、会社がいま必要としているスキルの間に大きな差がある。
これをどう伝えようか、さんざん迷って試行錯誤した。

先日ブログに書いた、遠回りなやり方 、虎視眈々とタイミングを待つやり方もいい。
けれど、トップに近ければ近いほど、時間をかけていることができないので、
この場合は直接的・近道なやり方でなんとかするしかない。

でも、次のような言い方だと、問題がある
・今の役割(1→100の仕事)のスキルを覚えて欲しい
この言い方だと、「今のあなたではダメ」という主観性・意図がどうしても混じる。

客観的事実よりも、どういう意図を持たれているかで、人は心を強く動かされる。
だから、徹底的に事実を整理して、主観性を排除した。
そのフィリピンスタッフの例だと、あらゆる可能性を考えた。
結局、3つの選択肢に絞られた。

1) 会社の成長を止める (= 1→100の仕事をスキルなしに務めてもよいというメッセージ)
2) 適性の高い0→1の部署をまた始める
3) 1→100のスキルを必要とされる部署を続け、今以上のプレッシャーを周りから受ける

なぜこの3つしか選択肢がないのかを、とうとうと説明した。
それぞれ、どんなメリット・デメリットが予測されるのかも、説明した。
どれも、様々な困難が予想される選択肢だった。
そして、最後に言った。
「もう、僕は選べない」
「自分で選んでほしい」

結果として本人が選んだのが、次の二つだった。
・2)の 0→1の部署 からやり直す
・ただし、その部署が0→1の段階を抜け1→100の段階になったとき、今度は離れずにすむよう、1→100のスキルは磨き続ける

これは、このスタッフにとっても、会社にとっても正しい決断だったと思う。

・相手に選択肢を明示すること。

選択肢に落としこむまで、相当僕の時間・エネルギーを費やすし、
選択肢に落とし込んだ後の話し合いも、そうとう大変。

でも、必要な場面に応じて、これを今後もやり続けていきたいと思う。