問題解決トレーニングを入社直後の新卒にやる理由 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

問題解決トレーニングを入社直後の新卒にやる理由

フィリピンに、フルタイムスタッフが5名入った。
3名新卒で、2名が第二新卒。

現在、その5名に問題解決トレーニング を実施中。

このトレーニングでは、戦略コンサルがやるようなことを学ぶ。
与えられたイシューをもとに、調査を行い、最適な打ち手を決定する。

普通の会社では数年経ったスタッフの中から選抜してやるような内容。
でも、うちでは入社直後の新卒全員にやらせている。

なぜか、というと、

1) 最初に任される仕事のスタートダッシュになる
2) よいオリエンテーションになる
3) 仕事の取り組み方が変わる
4) 通過儀礼になる



1) 最初に任される仕事のスタートダッシュになる

問題解決トレーニングでは、1週間かけて行われる。
まず初日に、解くイシューを渡されるが、
ほとんどの場合、最初に任される仕事に関連するものになっている。

だから、最初に任される仕事をどうこなすかを、
1週間かけてトレーナーと一緒にじっくり考えるわけで、
「やり方よくわからないけれど、ほっぽり出されました」 という感じにならず、
やることが明確になった状態で、最初の仕事を始めることができる。



2) よいオリエンテーションになる

普通オリエンテーションは、トレーナーが教える内容を整理する。
・この新社員は何をする人
・そのためにはこれを知らなければいけない
・だからこれをこの形式でパワーポイントにまとめる
こんな形式。

でも、トレーニングを受ける方からすると、
何でそれらのことを覚えなきゃいけないのかよくわからないことが多い。
だから、理解度が低い。

でもレアジョブの問題解決トレーニングでは、新社員自身が、自分が何を知らないかを考える。
色々な人に意見を自分から聞きに行く。
意見を理解できなかったらすぐに尋ねることができ、かつ、正しい意見が手に入る。
だから、理解度が高い。



3) 仕事の取り組み方が変わる

フィリピン人の仕事の仕方は、上から言われたことに下はただ従う、という形式。
だから、多くの人は、頭を使って自分で考えようとしない。
でもうちの会社は、仮説検証の会社。 それじゃ通用しない。

そんなときにこの問題解決トレーニングは、自分で頭を使わないといけない。
イシューを解決するために最も効果的な方法を、必死で自分の頭で考える。
入社直後に、ルーティーンではなくこういうトレーニングがあることは、適切なシグナルになると思っている。



4) 通過儀礼になる

部族社会では、少年が男性になるときに、何らかの通過儀礼をおこなうことが多い。
例えばバンジージャンプは、インドネシアかどっかの部族で、「飛べたら男」みたいな通過儀礼だった。

そして、これは部族社会だけの古い習慣ではない。
アメリカの大学では、フラタナティというサークルみたいなものがある。
このメンバーとして認められるためには、
一定期間なぐられたり蹴られたり、
恥ずかしい恰好をさせられたりしなければならない。

なぜ、このような非人道的な通過儀礼をやっているかというと、組織の結束が高まるからだ。
・「苦しいときを共にした仲間」 という認識が得られる。
・「あんだけ苦労してメンバーになったのだから、このメンバーでいることは価値がある」 と思いこむ人もいる。
アフリカかどっかの部族を対象にした調査では、この通過儀礼が激しい部族ほど結束が強い傾向があるらしい。
(ちなみに、開成にも、中一のときに通過儀礼があったなぁ。内容はヒミツ)

で、話は戻ってレアジョブ。
通過儀礼が組織に良いとは言っても、さすがに新入スタッフを殴ったり蹴ったりはできない。

そんなときに、この問題解決トレーニングは良い通過儀礼になる。
何と言っても、脳味噌を絞りだすほど考えなきゃいけない。
最終日には、問題解決トレーニングの内容を、みんなの前で発表しなければならない。
発表後は、みんなからの拍手で迎えられる。

意図したわけではないが、典型的な通過儀礼になっていると思う。



というわけで、新入スタッフに対する、問題解決トレーニング、色々な面で良いなぁと思う。 (自画自賛)
とくに、1週間という時間をかけることが大事。

問題解決トレーニングは、日本側ではフィリピン側ほどしっかりやっていなかった。
日本では人件費が高く、数人を1週間拘束すると、数十万円かかる。
だから怖かった。 (チキン)
でも、ちゃんと取り組んでいく価値があるんじゃないかなぁと考えている。