複数事業を統括する、ということ | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

複数事業を統括する、ということ

起業してから、四苦八苦しながら、
事業を立ち上げるにはどうしたらいいか、
立ち上げた事業を回していくにはどうしたらいいか、
学んできた。

そのなかで、わかったことが2点ある。

・勝ちパターンが異なるものは、違う事業だと考えなければならない。
 たとえば、BtoCのオンライン英会話と、
 BtoBのオンライン英会話は、当然のことながら勝ちパターンが全く異なる。

・たとえ正社員数が全く同じ会社であっても、
 単一事業のマネジメントをしなければならない場合と、
 複数事業のマネジメントをしなければならない場合は、
 まったく違うスキルが必要とされる

どういうことかというと、
単一事業のマネジメントならば、自分自身で事業を伸ばせばいい。
けれど、複数事業になると、
他人に事業を伸ばしてもらうことをEnsureする力が必要になる。

事業を立ち上げ、育てていくのは、次のような仮説検証プロセスからなる。
・仮説を設定する
・仮説を確かめるために、迅速に作業を実施する
・作業の結果を検証して、仮説が正しかったか確かめる
・次の仮説をうみ、それを確かめるために作業を実施する・・・

ベンチャーなど事業立ち上げというのは、
資金またはやる気が尽きる前に勝ちパターンを発見できるよう、
仮説検証を高速で回していく、というゲームなのだと思う。

事業を立ち上げられる能力があるかどうかは、次の4点にかかっている。
1) 確度の高い仮説を立てられるか
2) 仮説検証を高速で回せるか(迅速に作業を進める、など)
3) やる気が続くよう、自分やチームのモチベーション管理(=目標設定)ができるか
4) 資金が続くよう、キャッシュアウトは極力抑えつつ、黒転までの期間を短縮する投資は断行できるか

ただこれらの4点は、自分で事業を立ち上げる場合のもの。
他人に事業を伸ばしてもらう場合は、次のようなスキルに変換される。

1) 事業の責任者を仮説志向にさせられるか。うまく仮説設定できるようイシューを具体化できるか
2) 仮説検証の点で効率の悪い作業がないかどうか、チェックできるか
3) 自身やチームのモチベーション管理(=目標設定)を重要視させ、必要に応じサポートできるか
4) 節約意識を徹底させながら、費用対効果の高い投資は行う勇気を、持ってもらえるようにできるか

・・・とここまで書いていて、
「ああ、これは、うちの株主VCのグローバルブレインさんが、
 週1のミーティングでうちに対してやっていることと、一緒なんだな」
と気付いた。

複数事業のマネジメントとは、
自社の、他の人が事業責任者の事業に対して、
ハンズオンのVC的行動をとることと非常に似ているんだと思う。

このように、単一事業か複数事業かによって、要求されているスキルが全く異なる。

今年は、このようなスキルギャップがあることに全く気付かず経営を進めた結果、
大きな損失も出したし、フルタイムスタッフを含む関係者にも大きな迷惑をかけた。

今は色々な経営書を読んで、そのへんを勉強しながら、
もっとうまく経営できるようにと頑張っている。