失敗する確率が高いこと = リスク ではない | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

失敗する確率が高いこと = リスク ではない

渡辺千賀さんという方がシリコンバレーにいて、
その人のブログ をよく読む。

この前に書かれたエントリでこのようにあった。

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今、日本からシリコンバレーツアー中の鹿児島大学の学生さん向けパネルディスカッションから帰ってきた。「どうやったら日本人もリスクをとるようになるのか」という質問があって、これ、よく日本の人が言いますね。最近。
「意味のないリスクをとる人は頭がおかしい人。シリコンバレーはリスクをとればリターンも大きいからリスクをとる。日本ではリスクをとってもリターンが少ないことが多いからリスクをとらない。人は合理的」というようなことを言ったつもりなのだが、口ではうまく説明できなかったかも。

日本は

大企業=ローリスクハイリターン
ベンチャー=ハイリスクローリターン
よほど、「自分だけは違う」という強い信念がある人以外大企業(とか役所)に行きたくて当たり前。

一方、シリコンバレーのベンチャーは、まぁギャンブル性は高いがそれなりに当たりがコンスタントに出続ける。一方で、大企業でもばんばんレイオフするので、大企業でもリスクがある。というわけで、大企業は日本よりリスキーで、ベンチャーは日本よりハイリターンと。

大企業=ミドルリスク・ミドルリターン
ベンチャー=ハイリスク・ハイリターン
という感じでしょうか。こういう経済性が本質にあるから人がリスクをとる。

もちろん、同じリスク・リターンの条件(プロファイル)であっても、日本人の方がリスクをとらない傾向というのはあると思う。が、しかし、上記のリスクリターンの配分がそもそも違う、ということに比べたら小さいことなんじゃないでしょうか。

http://www.chikawatanabe.com/blog/2008/09/post-5
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これを読んで次の疑問をもった。

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日本について、
大企業=ローリスク・ハイリターン
ベンチャー=ハイリスク
というところまではわかるのですが、
ベンチャー=      ローリターン
というのはなぜですか?

米国ではハイリターンと書かれているので、
何か本質的な違いがあってそうおっしゃっているのだと思いますが・・・
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で、その旨ブログのコメント欄で質問したところ、お返事をいただいた (♪)


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>ベンチャー=      ローリターン
というのはなぜですか?

「もしあたったら」という時のことだけ考えたら日本のベンチャーのリターンも大きいですが、当たる確率が小さいので。
(リスクリターンの定義については、もしかしたら「数式で見たほうがわかる」という方もいると思いますが、そういう方は
http://cbdd.wsu.edu/kewlcontent/cdoutput/tr505r/page36.htm
をちょっとスクロールダウンした「measurement of risk and return」をご覧ください。)

また、他の方がコメントしているように、ベンチャーがダメだったときの再就職の容易さという面もある・・・かも。でもこれについては、私の周りを見ている限り、日本でベンチャーを辞めて次の職がない人って見た事ありませんが。職もあるけど人もたくさん流動しているシリコンバレーに比べると日本の人材不足は甚大だと思います。
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なるほど、と思った。

リターン=リターンの期待値
     =当たった時のリターンの平均値×当たる確率、
リスク=当たらなかった際の損失×当たらない確率

になるので、
当たる確率そのものはリターンに含まれ、
リスクには含まれないから、ということのよう。


んで、当たる確率は、いい人材が採用できるかってところにかなり大きく影響されるので、
米国よりも日本の方がどうしても当たる確率が下がってきてしまう・・・

ということのようです。

(言葉はしょられすぎなので、けっこう推測)

いや、日本でいい人材は本当に中途市場に流れていない模様です。
なので、うちはフィリピンで人材層を手厚くする方向に出ています。

しかし、失敗する確率が高い = リスク ではない ってのは収穫でした。
失敗する確率×失敗時の損失額が高いこと = リスク 
なのですね。

(つまり、株式が銀行預金にくらべてリスク商品なのは、
元本を割る確率が高いからではない。
元本を割る確率×割った際の損失額が大きいために、
リスク商品と呼ばれている)


失敗する確率を下げる努力とともに、失敗時の損失額を下げる努力が必要なようです。
これについてはまたいずれ。