ストックとフロー | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

ストックとフロー

いま、プロジェクトをやってるんだけど、市場規模をはかるのが、実はすごい大変。


仮に、風邪薬のプロジェクトだとしようか。

市場規模を把握するために、風邪の患者の人数を数えなくちゃいけない


ところが、これが大変なんだ。

厚生労働省とかに、患者数の統計があるんだけれど、

   風邪患者 60万人 (男 25万人、 女 35万人)

これをそのまま使うことができない


なんでかっていうと、この60万人というのは、

厚生労働省がとれる数字、つまり、病院に来ている風邪患者数だから。

風邪にかかってるけど、病院に来ていない、という人の人数は、厚生省はわからない。


けれど、風邪薬のコンサルとしては、

病院に来ていない人の分まで、数を数えなければいけない。


だから、総風邪患者を推計する。

アンケートのデータなどを、どこかから拾ってきて(またはアンケートを実際にとって)、


   風邪にかかっても病院に行かない  60% (男性70% 女性50%)


ここから、実際の風邪患者を推計する。


   風邪患者 150万人 (男 80万人、 女 70万人)


ちょっと簡単に言い過ぎたけど、実際の患者数を推測するプロセスとしては、こんな感じ。


でも、この数字も、市場規模としては実は使えない。


なんでかというと、

厚生省のデータは、ある1日における患者数だから、

上の150万人という数字も、ある瞬間における総患者数。

だけど、風邪薬の市場規模は、1年間通しての総患者数。


別の言い方をすれば、

ある瞬間における人数 ・・・ストック

1年通しての発生数 ・・・フロー


データとしては、普通、ストックしかないから、

ここからフローを推測しなくてはいけない。


たとえば、1週間で風邪が治る、というデータを見つけてきて、


150万人÷7日×365日=8000万人


よって、風邪薬の1年間の市場規模は、8000万人と出た。


なんか、そーいうややこしいことを、総風邪患者だけじゃなくて、

鼻水たれの風邪患者数はどうだとか、点滴打つ人は何人だとか、

この1週間ずっとやっている。


おーややこしい


ここで問題。

風邪に使われる点滴の使用量が、2003年実績で1000万unit(1000万本)だとします。

風邪にかかる人が、上記のように1年間のべで8000万人だとすると、

風邪にかかった人のうち、何人に1人が風邪で点滴をうっているでしょうか?


・・・・・・。


8人に1人だろ、馬鹿にするな、なんて思いました?


答えは、8人に1人、ではありません!

だって、

  ・ひとつの風邪で、1本以上点滴を打つ、ということはざらにあるでしょ?

  ・ひとりの患者が、年に2回以上風邪にかかる、ということも考えられるでしょ?


だから、今回は、

  ・点滴を打つような患者が1年でかかる風邪の平均回数

  ・ひとつの風邪で、平均で何回、点滴を打つか

  ・1回の点滴で、何unit点滴を消費するか

以上のデータを探し出してこないと、答えは出ない! が答えです。


そして、実際に探してきます。


これがコンサルの仕事のうちの一つ、です。

(とくに、駆け出しのときは。)


とにかく、メンドクサイ!

あんまり、華々しくない!


いやはや、そして今日土曜日も仕事です。