意識と実在の時間的序列
『方法序説』 ルネ・デカルト
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『のらくろ総攻撃』 田河水泡
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『トムとジェリー VOL.1』 ウィリアム・ハンナ【監督】
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『アトムの命題』 大塚英志
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意識と実在の時間的序列は、我々にとって古くて新しく、遠くて近い概念である。
近代哲学の父であるルネ・デカルトの『我思う、ゆえに我あり』という命題を出発点として、それは究極的には神の存在問題に定式化され、そしてあらゆる学問の終着点とされた。
戦前、日本の漫画は、田河水泡の『のらくろ』に代表されるように、ディズニーを中心としたアメリカの漫画と同様、不死身の肉体を持ったキャラクターが、閉じた空想の世界で縦横無尽に活躍するものであった。
『トムとジェリー』を思い起こしてもらえばわかりやすいが、トムは毎回ぺしゃんこになったり、体に穴が開いたり、ゴムのように伸び縮みしたりと、おおよそ現実の世界ではありえない形態や変容をなす。
文化や生活様式、そして憲法まで、西洋の模倣によって近代化を目指してきた時代、その例に漏れず漫画の約束事もまた無批判に受け入れてきたのが戦前の日本漫画のありようであった。
しかし、そのアメリカの『お約束』と袂を分かち、日本漫画が独自の進化を遂げていくきっかけとなったのが、手塚治虫の戦争体験とそれにまつわる一コマの描写であると、オタク界の鬼才、大塚英志は主張する。
(つづく)