突然現れたイケメン執事に
「ちょっと待ってくれ!娘にはまだ話してないんだ!!」
ストップ!とばかりに両手で制すると
父は私を連れて奥へと・・・
「ちょ、ちょっとお父さんっ?どういうことっ?
今、私のこと、迎えにきたとかって言ってなかった?」
「まぁまぁまぁ・・ とにかく、落ち着け!」
「落ち着けって、全く意味わかんないんですけどっ?」
でも私より落ち着かないのは父の方のようで
額には汗が噴き出していた
「冗談かと思ってた・・・酒の席での話だとばかり・・・まさかそんな・・・
でも、それならそれでー」
ひとりぶつぶつ言いだす父に
「ちゃんと私にわかるように話して!!」
怒鳴った私は、信じられない話を聞くことになる
何でも?先日、いつものように酒を飲みに出た父がとある居酒屋で居合わせたお客さんと
驚くほど意気投合し、盛り上がったそうで
その意気投合した話題というのが、私とお孫さんの結婚話
自分たちの気も知らないで全く結婚する気配のない私たちに業を煮やしていると・・・
私からすれば余計なお世話なんだけど
じゃあ2人を結婚させればいいんじゃないか、と勝手に盛り上がり
向こうが、孫の了解を得られたら今度迎えをよこすから、と
そこで初めて身分を明かされ、仰け反る父に
向こうは、問題ない、問題ない、と言い切って気分よく帰って行ったそうだ
「どうして私の結婚をお父さんが勝手に決めてくるわけ?」
「だって、放っておいたらおまえ、全く結婚なんてしないつもりだろーが!」
「お父さんひとり残して嫁になど行けませんっ!!」
「はぁ~?そんな心配してくれなんて、ひとっことも言ってないぞ?
お父さんはな~?お前より先にいっちまうんだぞ?
いつまでもひとりでいられたら不安でしょうがないだろーが!!」
「・・・・・ そのうち、いくわよっ」
「うそだ!父さんはなぁ~おまえが、生身の男にはときめかない
とか言って、なんだっけ?あのっ・・ なんとかサマって、人形をー」
「ちょっとぉおおおおお!!お父さんっ?グランチェスター伯爵さまのことを無碍に扱わないでって言ってるでしょっ?まさかっ 触ったんじゃないでしょうね!」
「その伯爵様となんだっけ?その横においてあるー」
「フランデル執事のことを、無造作においてあるように言わないでっ!!
あれは、伯爵様に傅いているんだからっ!!」
「・・・・・・・・・ 父さんは悲しい・・・」
ハッ
しまった・・・
思いっきり熱くなってしまったわ
コホンッ
「と、とにかく・・ 今は結婚なんて考えられないけど、そのうち・・」
「そのうちっていつだ?そんなんに夢中になっているうちにどんどん年をとって
気づくとまわりもじーさんに・・」
「だからってそんなっお金持ちのとこに、私なんかが通用すると思ってんのっ?」
「大丈夫だ、それは問題ないって会長さんがー」
「問題ない、って向こうが勝手に言っただけでしょ?
そもそも、そんなお金持ちには、お金持ちのお嬢さんの許嫁とか」
いるってもんでしょうが!
「いないって言うんだよ」
もしかして・・・ 超ぶさいくとか?難あり?
「あの~~? いったいいつまで待たせるんです?」
ドキッ
イケメン執事が顔を出してきた
「とにかく、そんなすぐにどうこうなるわけじゃないだろうから
とりあえず、約束した父さんの手前、ここはおとなしくついて行ってくれ!」
「はぁ?」
ポンッと背中をおされ、イケメン執事の目の前に・・・・
まるで、献上物のように差し出された私
いやいや、そんないいものではないか!
それにしても、すごい綺麗だな~ この執事さん・・・
「では、まいりましょうか?」
にこっと微笑まれ
まるで魔法にかけられたかのように
私は、すごすごとついていってしまった・・・・