「えっ?じゃあ、松永と茜が話してるのを聞いた先輩が噂を広めてたのっ?」
店内に入ると、まずは、武田さんと松永から、あの噂が広まった真相を聞かされた
「・・・ まぁ、そういうことだ」
「ってか、あんたたち、会社でそんな話をしてたってこと!?」
「・・・ 悪い。そんな核心に触れるような話はしてなかったと思うんだけど・・・。まぁ、結果、こうなったんだから、悪かった」
「このこと、茜には?」
「言ってない。オレが悪いってことでいいだろう」
「まぁ、そうね。そんなこと言ったら茜、変に責任感じちゃうだろうし。あの性格で落ち込まれたら私も嫌だし」
「それと・・・ 夏川さん、沢井華さんって言う社員、知ってます?」
・・えっ?
沢井華って・・・
森島くんの・・
「彼女もこの噂を広めたひとりっていうか、主犯格は彼女だと思います」
「沢井?・・・あ~・・ 森島のこと好きなやつか」
「え?」「えっ?」
なんで、松永がそんなこと・・
「え?違うのか?前にそんな感じがしたけど・・」
「松永って、鋭いのか鈍いのか、全然わかんないね」
「同感です」
私は武田さんと目を遭わせて笑いあう
「でも・・ そんな沢井さんが、松永さんと夏川さんの噂を広めたがるってどういう・・えっ?」
武田さんが
私の方を見てきた
「もしかして、夏川さん・・・」
うわっ
うわわわわっ
なんかこれ
追い詰められてる感、半端ないんですけどっー
私はジンジャエールのグラスを持って
ストローで吸い込む
ぶはっ
むせかけた
「あ、失礼しました。傷心の松永さんの前で言うことではなかったですね」
「は?武田、お前な。そんなの、俺だってわかってるし。それにもう傷心じゃねーし・・(もごもご) あれだろ?森島だろ?夏川の好ー」
「あの美しすぎるイケメンをどうやって落としたんですかっ!?夏川さんっ!!」
「は?落としたって武田、何言ってんだよ、今日見てただろ?森島、告られまくってたじゃねーか。夏川、おまえ、あれは難しいんじゃ」
「松永さんって、やっぱ鈍いですね」
「は?さっきからお前、ところどころ俺のことディスってないか?」
ちょっともう
このふたり・・・
どこからつっこんでいいのか わかんない
松永に気持ちバレてるの、びっくり
それって私、漏れてるってこと?やばいんじゃないの?
「あのね、武田さん、私、森島くんを落としてないよ?」
「ほらみろ、武田・・」
「は?夏川さん、それ、マジで言ってます?夏川さんが森島くんを落としてないんだったら、どうしてあの女、いえ・・ 沢井さんがあんな噂を広めたりすると思うんです?」
「・・え?」
どうして、って・・・
「夏川さん。好きな人が誰を見てるかなんて・・・ 悲しいくらい、わかっちゃうもんなんですよ?」
「・・・・・・」
武田さん・・・
そのセリフ・・・
いや、そうじゃなくて
ちょっと待って?
それって・・
え?
森島くんが私のことを見てるってこと?
「いやいやいや、それはない。確かに最近、ちょっと仲良くしてたんだけど・・ あの森島くんが私のことを好きになるとかありえないでしょ、っていうかー」
「武田。おまえ・・ 誰か好きな奴がいるのか?」
はああああああああ!?
松永、おい
ここでそう来るのか?
ほら見て
隣で武田さん
固まってるじゃないの!!
「・・・・ 松永さん・・・ ほんっと、バカですね。」
ガタガタッ
武田さんが席を立った
「夏川さん、すみません、私、ここで失礼します」
「あ・・ うん、ありがとう。気をつけて」
「えっ?武田っ?悪いっ、オレ、変なこと言ったか?言ったんだったらー。おいっー」
松永よぉ~
ウルトラスーパーニブチンだな、お前は・・・
「・・・・ だってさ、さっきの・・ まるで自分の好きな男の話をしてるみたいに見えなかったか?」
うんうん、合ってる
そのとおり
「・・・ だね」
「だろ?・・・あいつに好きな男が・・って そう考えただけでなんか、カァーッとなって・・」
「うんうん、それで?」
「そんな他の女のことなんか見てるやつなんかよりオレがっー」
「オレが?」
「・・・って、オレなんかが言っても、調子よすぎるよな・・ ハハ」
阿保!
「ねぇ松永?他に好きな人がいる子が、あんたとつきあってるのは自分だ、ってみんなの前で言ったりすると思う?」
「・・え?」
「こんなこと自分で言うのは恥ずかしいんだけど・・・ もし、あんたが私のことを見ていてくれたんだとしたら・・・ 武田さんが見ていたのは、誰なんだろうね?」
「・・・ え?オレ?」
「どーーーんかんっ」
「嘘だろ・・ そんなこと・・ ラッキーすぎるっ!!オレっ!!」
「花でも買って、追いかけたらどうでしょうか?」
「・・・ だな。あ、店、ここでいいか?いいならオレ、オーナーと親しいから予約入れとくけど」
「おまかせします」
「じゃ、悪いな!行くわ。あ、会計はしてから行くから。それ、ゆっくり食べて飲んで帰れよ」
「あざーーす!!」
「・・・ きもっ 無理すんな」
ふぅ~・・
何だか素敵なカップルが誕生しそうじゃない?
ってもう、誕生してたんだけどね
ふぅ~・・
武田さんが言ってくれたセリフが
頭の中をぐるぐるぐるぐる
そんなことってある?
あるわけないでしょ
「ねぇねぇ、お姉さん、ひとり?」
「よかったら一緒に飲んでいい?」
「あ、見てわかりません?連れ、いるんですよ。グラス、お皿、ありますよね?」
テーブルの上には
飲みかけのグラスが3つある
料理のまわりに
お皿もある
ふぅ~ん、ってあっち行ってくれたけど
確かにこのまま居座るのもよくないわよね
ひととおり、料理は食べたし
飲み物も、お替りして飲んだ
もち、ノンアル
そろそろ帰りますか
頭の中も冷やしたし
「ここ、座ってもいい?」
はぁ?
また来たか
「だから~ さっきから言ってるでしょ?そこには連れがー」
顔を上げて驚いた
「・・・・ どう・・ したの?」
なんでここに・・・?
「松永さんから連絡もらった。ひとりで寂しがってるやつがいるから、迎えに行ってやってくれって」
なんで座るの?
なに、にこにこしてるの?
「いらっしゃいませ~」
「あ、オレ、すぐ帰るんで、何も要りませんから」
お店の人が持ってきたメニューをすっと手で制して断った
ね、メニューとお水持ってきてくれた子
貴方に見惚れてるわよ?
「こっちにグラスが2つある、ってことは、松永さんとふたり、ではなかったんだね?」
「・・・ 武田さんも一緒だったから」
「あ~・・ で?なに?ショックうけて放心してた、ってこと?あのふたりを目の当たりにして」
「は?なんでショック?」
「俺とつきあってるって嘘ついてまで、松永さんの気を引きたかったんじゃないの?」
あ・・・
そう言えば、松永にそんな嘘ついてる、って森島くんに言ってたな・・
「何それ?そんなわけないでしょ。気を引いてどうすんのよ、むしろ逆だったんだってば」
「逆?」
「もう好きじゃないです、って」
「もう?じゃあ、前は好きだった、ってのは本当だったんだ?」
うっ・・・
あ~・・やっぱ、それ、噂になってたか
「そうよ、もうずーーーっとずーーーーっと前だけどねっ」
「・・・ ずいぶん正直に話してくれるんだ?」
「そうね、森島くんには嘘をつきたくないしね」
「・・っ//// 」
・・・・え?ちょっと照れた?
「・・ へぇ~・・ じゃあ、俺には嘘、つかないんだ?」
あ、また悪い顔になった・・・
「う?・・ うん、多分・・?なるべく・・?」
「プハッ!なるべく、ってなんだよ!一気に特別感、なくなるだろ」
笑った・・!
「今日は・・・ ノンアル?」
「もちろん」
「あさひさん、前・・・ 絶賛彼氏募集中って言ってたよね?」
「ん?・・あ~・・ 言ってたかも」
森島くんと初めて話したくらいのときよね・・?
「あれってまだ、継続中?」
「・・・・ う~ん・・微妙」
「微妙?」
「だって、誰でもいいってわけじゃなくなったから」
「そうなんだ?」
「うん」
「じゃあ・・ オレは?」
「・・・・・」
「オレはあさひの彼氏になれる?」
「・・・・・」
もしかして・・・
って思ってたけど
こんなに
嬉しいんだ・・・?
「・・・ 私のこと、好き、って言ってくれたら」
「好きだよ」
「・・・・・・・」
「あさひは? 俺のこと、好き?」
「・・・ すごい好き」
「あーーーー、このテーブル、すっごい邪魔だな、あさひの涙もぬぐえない」
ガタッ
「帰るよ?」
森島くんに腕を引っ張られて
店を出る
会計済んでてよかったあ
こんな泣き顔
店の人に見せられない
外の風が気持ちいぃ
森島くんと
手を繋いで夜の街を歩く
「あさひの部屋がいい?それとも俺のとこ、来る?」
「え?」
「このまま帰すと思ってんの?」
あ・・・
いや、それは私も
まだ一緒にいたいけど・・・
でもなんか
このまま、って言うのは
さすがに色々と準備が・・・
「あ、いったん自分の部屋に帰って、色々・・・ 済ませてからもう一度、ってのは?ほら!今日は週末だし、ゆっくり一緒にいられるし!」
「へぇ~・・ いったん帰って色々済ませて・・ねぇ?」
なんでそこで、顔、覗き込んでくるのっ!?
ふいっー
「じゃあ、準備が出来たら連絡して。オレがあさひの部屋、行くわ」
「え?準備ってー」
ふっ、て
耳に息がかけられた、って思ったら
「・・・ 」
イケメンは
ささやきボイスも破壊力 凄かった