「あ・・・」
「・・・あ」
少しだけ残業をして、寮へと帰ると
エレベーター降りて、角を曲がったところで
部屋から出てきた森島くんと出くわした
すっごいタイミング・・・
「・・・ カレー食べたいと思って作ってたんだけど、冷蔵庫にある野菜たちをぶっこんで煮込んで、いざ、カレールーを入れようと思ったらまさかの賞味期限切れ」
「・・・・・」
びっくり
森島くん、普通に話しかけてくれてる
最近、会社でなんとなく避けられてたような気がしてたのは
私の気のせいだったの?
「で、今から買いに行くとこ」
「えっ?あっ・・ カレールー?確かうちにあったような気が・・・」
・・・って私、何を言ってるのよ
森島くん、買いに行く、って言ってるじゃん
これじゃあまるで、一緒に食べたいって言ってるようなものでしょう
引かれるっー
「あー・・・、あったね、確かに。賞味期限チェックしたした。ギリギリっぽかったような・・・」
「うそ!」
「うそじゃないし。切れてたら捨てようと思ってー」
「いや、そっちの嘘じゃなくて・・・ あ、えと、びっくりして・・」
どうしよ
なんか焦ってしまう
うまくしゃべれない
何て言うのが正解なの?
「・・・ じゃ、それ、使わせて?このまま取りに行くわ。」
「え?」
「今まで残業してたんでしょ?どうせまだ飯食ってないだろし?うちで食べてけば?」
「いいのっ?」
って言いながら、もう並んで歩いてるし
だって、森島くんがうちに向かって歩いてるから・・・
「・・って、カレーだけど」
そう言ってフッと笑う森島くんの息が漏れて
隣に並ぶの、照れる
「絶対美味しいやつじゃん。嬉しすぎるよ、ありがとう!!」
着いちゃった
当たり前、近すぎる
ガチャ
私はドアを開けると
「すぐ取ってくる」
と言って閉めようとした扉に
ガシッと森島くんの手がかかってー
「あー、オレの方が早い、きっと。」
ーー お邪魔しまーす、
って小さく声が聞こえたかと思うと
入って来てます、森島くん
うちに
そのままキッチンの方へと行き
棚をあけている・・
と思われる
私は、と言うと、バッグを置いて
上着を脱ぐと、部屋着をさがす
「あー、あったあった、すごっ!ほんとに賞味期限キリッギリ!」
森島くんの声が聞こえてきたから
急いで歩み寄る
「じゃ、これ、貰ってくんで。」
「うん」
すごいな
森島くんが持っているってだけで
カレールーまで、プレミアム感、出ちゃってますけど
ちがう
すごいのはそんなふうに見える私のフィルターよね
一応、森島くんが出たら鍵、閉めとかないと
と思って玄関までついていく
靴を履いた森島くんが
振り返ると
「鍵、あけとくんで、そのまま入ってきていいから」
それだけ言ってドアの向こうへと出て行った
ガチャン
扉の閉まる音が聞こえて
私は慌ててロックをする
なんか、今の・・・
かっこよくなかった?
っていうか
初、森島君の部屋!?
なんですけどっ
私はリビングへと戻ると
着替える部屋着に悩みまくる
これは、予期せぬ訪問になるわけで
え?
いったいどういうつもりで招待されてる?
・・・ いや、招待じゃないか
私がカレールーを理由に森島くんが作ったカレーを食べに行くっていう・・・
ある意味、会社の先輩からの圧力!?
・・・に近いよね、きっと
私みたいに彼が意識してるわけじゃないんだし・・・
意識してないから
こんなこと出来るんだろうし
はぁ~・・・
カレーを食べに行くだけですよ?
わかってるけど・・・
好きな男の部屋なんだよ?
緊張しないで済むのか?私・・・
いやいや、そこは、好き感、出さないよう、気をつけないと
だからこそ、こんな気軽に誘ってもらえたんだから
「・・・ ふぅ~~~」
大きく深呼吸
さて・・
何とか無難な部屋着にも着替えたことだし?
いざ、出陣・・・!!