「この前のお詫びに、俺が奢るつもりだったのに、マスターにサービスにしてもらえたから、ラッキーだった」
「えー。森島君が奢ってくれるんだったら、飲めるときにしてよ。」
「・・・・・・・・・」
「うそうそ、その冷たい視線、やめて」
「いいですよ。・・・その代わり、給料日あとにしてください」
あー、彼らの結婚祝い、あるもんね
でもまさか、キャンセルが出てすぐに式が出来ることになるなんて
びっくりよ
まぁ、緊張期間が長く続かないだけいいか、って思ったけど
しかも、結婚式は親族だけでやるから
私たちが行くのは、お友達だけのお祝いパーティだって
ぐーんっと気持ちが楽になったわよ
まぁ、とはいえ、このイケメンの隣ってのは
やっぱり緊張するけど
「それは私も賛成。だったら、ミッションクリアの打ち上げも兼ねて、ってことにしよう!!」
「それって、めちゃめちゃ飲む気満々じゃないですか!!」
「いや~、だって解放感、すっごいと思うのよね」
「何気に責めてますよね?」
「でもちょっとワクワクもしてるわよ?彼氏いる気分が味わえるんでしょう?」
しかもこんなイケメンの
「彼氏いる気分って・・・ そんな、ずっと彼氏いなかったわけでもないでしょうに」
「・・・・・・・・・・」
「・・・え?」
「聞かないで。それ以上。内緒。答えたくない」
「・・・まぁオレも、彼女いる気分って、よくわかんないですけど」
「え?彩芽ちゃんと別れたのって、どれくらいー・・って、これ、禁句?」
「内緒。答えたくない」
「・・・・・・・」
真似したな?
「そんなんで私たち、つきあってるようにできるっ!?」
思わず立ち止まってしまうと
二歩 先で、森島君も立ち止まった
そして、ゆっくり振り向くと
「・・・・ じゃあ、はい」
そう言って左手を差し出された
「何?」
「とりあえず、手でも繋いでみます?って思って」
「えっ?今っ!?」
「・・・・ 必要ないか。」
森島くん、手を引っ込めると
くるっ
また前を向いちゃった
いや、だってさ?
それ、掴めって言うの?
今?
ってなるでしょう
でもなんか、私が悪いこと言っちゃったみたいじゃないの
私は、一歩 進んで、ぶらりと所在なさげに伸びてた森島君の左手を
掴むようにして握った
「やっぱ、練習。必要でしょ」
もう一歩 進んで隣に並んでそう言うと
意外と近いその距離感にびっくりして
思わず遠のいた瞬間、離れそうになった右手が
今度は森島君に握られた
軽くだけど
そこに森島君の意思を感じて
何だか嬉しくなる
でもなんか・・・
照れる
「あとはっ・・ ん~・・ 呼び方?」
焦って戸惑いながらも何だか早口
「呼び方?・・ あ~・・ 俺のことは、快、でいい」
快、って・・
ええええええ
いきなり呼び捨てとか
無理でしょ
「いやいや、呼び捨て、ってそんなー」
「あさひ」
「ひぇ~っ?」
すっごい変な声、出た//////
だってだって
何?
あさひ、って今
呼び捨てした?
なんでそんな、なんでもないことのようにー
・・って、あ、そうか
何でもないのか
焦った私がバカみたいじゃないの
「・・・ なによ、快」
ボッ////////
なんで私だけ、こんな赤くなってしまうわけ
名前、呼び捨てしただけなのにぃーー
フッー
「あっ、今、鼻で笑った!!」
聞こえたからねっ?
「まぁ、呼べたってことで。」
「・・・・・・・・」
やっぱコイツ、ムカつく