「松永さんと飲みに行ってたんじゃなかったんですか?」
帰り道、何から話そう、って思ってたら
森島くんから切り出された
あー、そうだった
松永・・
「飲んでないし、ご飯食べて解散したわよ。そしたらその帰りに彩芽ちゃんに呼び止められて、本当に偶然!びっくりよ。もう会うことなんてないと思ってたのに。それでマックに誘われて・・、何か彩芽ちゃんが色々話し始めて、それを聞いてるうちにああいうことになった、って感じよ。言っとくけど、私、あのふたりの式に行くなんてひとっことも言ってないからねっ?」
そこまで一気にまくしたてた
すると、森島君
大きな溜息をひとつ吐き出すと
「まぁ・・ どうせ彩芽が泣きついたんでしょうけど。」
と前置きをして、言葉を続ける
「色々って、・・・ どこまで聞きました?」
「どこまで、って・・ 彩芽ちゃんが森島くんと付き合うとこから、隆哉くんにしたところまで?」
私がそう答えると
森島くんは またひとつ、大きく溜息をした
「ハァ~・・ なんて聞いたのかはわかんねーけど、悪いのは俺だから」
あれ?
急にタメ語?
「オレがアイツのこと断らなかったのは、その頃、告られることが多くて、部活にも勉強にも集中できなくていい加減 疲れてたから。いわゆる女避け?に使った。彩芽のこと。アイツにしたのは、たまたまってのもあるけど、はっきり言うし裏表がないから。まぁ俺がそんなんだから?寂しがってたのはわかってた。でもオレにはどうすることも出来なくて・・・。隆哉はそんな俺らを見かねて、最初は同情からだったと思うよ?まぁ聞いてないからわかんねーけど。とにかく実際、助かったんだ。アイツに救われたのは、彩芽だけじゃなくて、俺もだった、てこと。」
ゲスい
思ってた以上にゲスい話だった
そこまで一気に聞いて、森島くんに対してのイケメンいい男イメージが
音を立てて崩れていくのを感じた
私の中で・・・
夜で辺りが暗くてよかった
きっと私今、ひどい顔してる
「だったら、貴方、お祝してあげないといけないじゃない!なんで式に行くの、渋ってたの?」
「まぁ・・ 罪悪感?」
「この間、映画館で声かけられたときに嫌そうな顔したのも?」
「・・・ だね、合わせる顔がないっていうか・・・」
「だからって私をダシにして逃げようとするから、かえってこんな大変なことになったんじゃないの!!」
「いやでも、その後、夏川さんが挨拶したでしょ、あいつらに」
「えっ?そうだった?」
思い返してみる
そういえば・・・
ああぁぁぁぁ
社食で聞いた噂がぁぁぁぁぁ
あの時は、あの噂を信じてコイツに同情しちゃって
「だってあんな噂 聞いたあとだったから・・・ 」
「俺が元カノを親友にとられて人間不信おちいってる、ってやつ?」
そう!!
「それ!!・・え? 知ってたの?」
「だってあれ、流したの、オレだし」
「はあぁぁぁぁ~?意味わかんないんだけど。なんでそんなウソ!!」
「そう言っとけば、誰とも付き合う気ないって断れば、皆 納得してくれるんで」
あ~
今日何度目だろ
大池の鯉状態
お口パクパク
呆れてものも言えない
「・・・ なんでこんな奴がモテるわけ・・・?」
「声出てるし。・・・・ だから言ったでしょ?皆、俺のどこが好きなんだろ、って」
「顔ね!!間違いないね、うん」
「ってことで、ここまで暴露したんだから、あのふたりの式、つきあってもらいますんで」
「嫌よ!なんで私がっ?」
「女避けですよ、決まってるでしょ」
「女避けに連れていくんだったら、他にいくらでも喜んで行ってくれる人がいるでしょう!?」
「そういう人には、惚れられたら困るんで。それにー、夏川さんが行かなかったら、あのふたり、残念がると思うなぁ~・・」
ううっ・・
そ、それは・・・
こいつのゲスい話を聞かされ
余計にあのふたりに同情してしまった私としては
痛いところだけど・・・
「でもっ!やっぱり私が行くわけにはー」
「あ~ 彼氏さんに怒られます?」
「そんなん、いないわよっ!」
「え?」「え?」
やばっ
今、何て言った?私・・・
「・・・ ハイスペックイケメン彼氏・・ まさかの・・?」
うっわぁぁぁぁぁぁ
「言うな!言わないで!それ以上!」
森島くんの顔が、悪魔に見える・・・
美しい悪魔・・・
「オレの嘘より、ずいぶん罪作りな嘘だと思いますけどね・・・ それ」
「え・・?」
罪作りな嘘?
え?
悪魔だった・・・よね?
暗くてよく・・
私の思い込み・・だった?
声が・・・ 柔らかくなった?
「なんでそんなウソ、ついたんです?彼氏、要らなかったんですか?」
「要るわよっ!欲しいわよっ!なんなら、今でも絶賛募集中よ!!」
「ぷっ!!」
森島君が・・・
笑った
「自分で自分の首、絞めてましたよ?その嘘」
「え?自分で自分の・・?」
「まぁ、それは置いといて。決まりですね」
「決まりって何が?」
「結婚式、一緒に行ってもらえますよね?」
ああぁぁぁぁぁ
「そうだ。連絡先、交換しておきましょう。スマホ、出してください?」
「・・・・・・・・」
「・・・・ ほら!」
私はしぶしぶ、バッグからスマホを取り出すと
森島くんと連絡先を交換した