森島君と自分の彼氏の隆哉くんを呼んだ、という彩芽ちゃん
先にやってきたのは、隆哉くんだった(さすが彼氏)
ていうか、森島くんは来ないかもしれないわよ?
そもそも、ここに来る理由がないでしょう!
いわゆる、既読スルーってやつになると思うわよ
「何だかすみません、彩芽が変なことを頼んだみたいで・・・」
彩芽ちゃんの隣に座って話を聞いた隆哉くんが申し訳なさそうに詫びてきた
でもごめんなさい、詫びられてもね
はっきり言って地獄です
もう帰りたい
ほんのさっき前に、彼女の涙に愛しさを憶えた自分を怒りたい
「いえいえ。森・・ 快くんには、おふたりの結婚式に出てあげるように伝えますから。私はもうこれで帰らせてもらってもいいです?」
ガタガタッと椅子を鳴らし、席を立とうとした私の前に
隆哉くんが立ち上がった
「ダメですよ、もう遅いですし。今、快が来るんで、送ってもらってください!」
いやいや、来ないから
そもそも私、森島くんの彼女でもなんでもないんだし
あーもう、言ってしまおうか
私、彼女じゃないんですっ!!
・・・って言ったら、困るよなぁ~、彼
まぁここはグッと堪えて、穏便に退出することにしよう
「大丈夫ですよ、まだ。ひとりで帰れます。それに森・・ 快くんも忙しいんじゃないかなぁ~。来ないと思いますよ?なのでー」
「あ、来た!おーーい、快!!こっちこっち!!」
ええっ?来たのっ!?
隆哉くんの声に振り返ると
ほんとに森島くんが、来てるーーーーー!!
心なしか、睨んでいらっしゃるような・・・
いやいや、睨みたいのはこっちなんですけどぉ
「さ、座って座って」
彩芽ちゃんに促され
私ももう一度座りなおし
隣には森島くんが座った
長い脚が椅子やらテーブルやらから はみ出してますけど
「(なんでこんなことになってんの)」ボソッ
背中を倒し気味に、私の後ろに顔を持っていくと
森島くんが呟いた
私にもわかんないわよぉ~~
「快、私たちの結婚式に、あさひさんとふたりで来て!?」
「はぁ!?」
驚くよね、森島君
そりゃそうだ
ここはスパッと言ってやって
行くなら俺だけで行く!と
「今、あさひさんにもOKもらったところなのっ!」
「ええっ!?」
いやいや、OKなんてしてないしっ!!
「(そうなのかっ!?)」 と言わんばかりの隣からの睨みに
「(してないっ、してないっ)」 って答えたつもり
「彩芽ちゃん、さっきも私、言ったけどー」
「ありがとうございますっ!!あさひさんっ!!俺っ、嬉しいですっ!!」
「ひぃっー」
今度は隆哉くんに両手を握られ
ぶんぶんぶんっ
て大きく振られる
「あの、隆哉君も聞いて。私はそんなー」
って話してる途中で
突然両手が解放されたと思ったら
隆哉君、立ち上がって今度は森島くんの手を握り寄せ
大きく肩を抱いた
「快っ!!ありがとうっ!!ほんとっ!!おまえに来てもらえないと俺っー」
あーあー、背の高い男同士
抱き合って・・・
そして泣き出した・・・
「・・・ 隆哉・・ 」
えええええ
彩芽ちゃんも、そんな隆哉くんにすがって泣き出してる
ちょっと待って!森島君っ
ダメダメ、断らなきゃー
せめて、俺一人で、って言って!ここ大事!!
私だけでもごめんなさい、って言わなきゃー
「あの・・・」
「・・・・ わかったよ、隆哉。」
森島くーーーーん!?
隆哉くんの背中に手を回して、優しくポンポンってしてる!!
あぁ・・
でもそうね、その『わかったよ、』っていうのは
森島くんが参列するって話よね?
それは私も説得しようと思ってた
微力ながらー
「行かせてもらうよ、ふたりで」
・・・・・ なぬっ!?
ひっ・・
い、今・・・
森島くん、なんて・・!?
あまりの驚きに、声も出なくて
私、口をパクパク、大池の鯉かよ、って自分にツッコむ
「・・ってことで、詳しい話はまた今度。今日は月曜だし、もう遅いから、俺ら、帰るわ」
「あ、あぁ・・。それもそうだな。 ありがとう。あさひさん!本当にありがとう!」
「あさひさんっ!ありがとぉーーー!」
違う違う
私は一緒に行けないわよっ?
「・・あ、あの、私ー」
「帰るよ」
ぐいっー
何これ、何これ、何これーーーーっ
どういうこと?って視線を森島君にぶつけるも
すっごい眼力ではじかれて
もう、歩き出してる
今、森島君、ふたりで、って言ったよね?
そして私は彩芽ちゃんと隆哉くんにお礼を言われて・・・
これ、私、行かなかったら心苦しいやつじゃない?
二度と会わないかと思ってたのに こんな簡単に会っちゃうんだから
もう会わないかもなんて思えないし
店の外まで出てしまった
あのふたりは、まだ出てこない
きっと、ゆっくりするんだろう
「送ります?」
ぶっきらぼうに言い放たれたセリフ
「当然でしょ」
話したいことがたくさんあるから、断らないわよ、私