「へぇ~・・ えっちはするけど、つきあってはくれない女ね~・・。コタロー、おまえ、すごいとこいったな?」
「・・・ なんとでも言ってくれ。・・・ つきあってくれないっていうか、オレが身体だけ求めてると思ってんだよなぁ~」
「わお!コタロー、獣なんだ?」
獣っ!?
「ぶわぁっか!!何言ってんだよっ、獣ってー」
「なんか、聞いてるとそんな感じじゃん。つまりは、すっつっっっごく、アッチがいいんだろ?」
ニヤニヤしながら
洗ったグラスを拭いてくキョーちゃん
はぁ~
オレ、相談する人、間違ったかな~
でもまぁ
「・・・ん。すっっっっごぉおおおおく、いいっ!!おかわりっ!!」
空いたグラスをカウンターの上に置いた
「・・・ 楓ちゃんとつきあってる頃のお前、そんな顔することなかったな」
スッと同じものを出してくれるキョーちゃんの言葉は
俺をドキッとさせた
「そんな顔って?・・・ どんな顔だ?」
アルコールが入っていても、頭は回る
「・・・・ わかんなくていーよ。で?これからどうすんの?あの子なんだろ?」
ビクッ
「あ、あの子って?」
「ほら。同級生だって子。すっげぇ楽しそうに飲んで酔っ払って、おまえが部屋に泊めて、オレんとこ来た、って時の」
「wwwwwwwww」
なんでバレてんだ?
「なんでわかったか、って?」
うんうん、とオレは大きく肯く
「お前が部屋に泊めたから、かな」
「え?だって・・ オレはお前んとこ来ただろ?」
「アイツ、ひとりにして大丈夫だったかな~、でもオレが戻るのもな~・・って一晩中言ってた。おかげでオレは寝不足で、朝ごはんにってホットサンド作って持たせて追い出した。」
「それが?」
「普通は、自分の家に泊めたりしないと思うな。」
「そうなのかっ?」
「あん時から、こいつら、あぶねーな~、って思ってました、ハイ」
「・・・ マジで?」
「マジで」
うそだろぉーーー
オレ、あの時点でやばかったのか?
「いやいや、ないない。だってぜんっぜん俺のタイプじゃねーし」
「おまえのタイプってなに?楓ちゃんしかいねーじゃん」
ぐっ
「・・おっまえ、いたいとこついてくんじゃねーかよー」
そうだよ
オレは、ずーーーっと、楓ひとすじだったんだよ
なのに・・・
アイツが入ってきて・・・
「まぁ、楓ちゃんもよかったんじゃないの?お前よりずいぶんイケメンの彼氏作っちゃって」
「いうな、それは。あああああーーーっ、どうせオレは普通だよっ!」
「普通だと思ってんの?ずいぶん自意識過剰だなぁ~」
「・・・ 普通でもないの?俺って・・・」
そのとき
カランカランと店のドアチャイムが鳴って
お客さんの来訪を告げた
「いらっしゃー・・・・ お?久しぶりだね、ミサキちゃん?だったっけ?」
え?
ミサキ?三崎?
ガバッー
キョーちゃんが放った名前に思わず反応して、回る椅子ごと、ドアの方を向く
ほんとだ・・・
千尋・・
ってか、キョーちゃん、千尋のこと、名前まで憶えてたのかよ
「どーも。キョーちゃん、お久し振りです」
そう言って、俺のそばまで歩いてくると
「酔っぱらって何度もラインしてくるの、やめてよね。・・ったく!変なスタンプの応酬・・・」
なんて言いながらも
隣の椅子に座ってくる
「え?おれ・・ そんな送ってた?」
ライン・・?
「してたしてた。お前、スマホ見ては、ポチポチ入力してたわ」
キョーちゃんまで・・・
そんな・・・
確かに送ったけど・・・
そんなたくさん?
だったか・・?
「ねぇミサキちゃん、悪いけどコイツ、連れて帰ってくんない?」
「え?なんでだよ、キョーちゃんー」
「おまえみたいな酔っぱらいがここ座ってるとなぁ~、店の雰囲気、悪くなんだよ。オレはここに、可愛い女の子たちに座ってほしいの!」
「そんなこと言って・・ 可愛い女の子たちなんて、どこにもいねーじゃねーかよ」
「これから来るの。」
「嘘つけ」
「・・・・ 帰らないの?」
横からツンツンッて服の裾 引っ張られて
ああああー
オレ、すっかりコイツに手玉にとられてる~~
手のひらの上で回されてる~
「・・・ 帰る」
「ミサキちゃん、こいつ、ドMだから」
「わかってます」
なんて聞こえてきたふたりのやりとりにすら
萌える
あー、そうだよっ
オレはドMだよっ、悪いかっ!!
・
・
・
・
・
「ほら、部屋の前まで来たよ?・・・ 鍵、出せる?」
「そんな酔ってねーし」
「あーそう。じゃあ私、帰るね?」
「あああああ、待った!・・うわっ、急に酔いが回ってきた・・かも・・」
我ながら
とんだ猿芝居
「可愛いね、コタローちゃんっ」
そういって、んふふ、って笑う顔
「好き・・」
「・・え?」
驚く千尋の顔を見て
あ、オレ・・
声出てた?
かも・・・
「好き・・・。好きだ、千尋」
「も、もう~・・ 酔ってそういうこと言うの、ってよくないよ?」
あああああ
「だから、酔ってないって」
「ハイハイ、さ、虎太郎、鍵出して中にー」
「どうしてわかってくんねーの?」
「・・・ 虎太郎?」
「こんなに好きだって言ってんのに・・・」
「・・・ コタロー・・」
「何度も何度も・・・ 何度だって言うよ、千尋が信じてくれるまで・・。千尋が好きだ」
「・・・ ほんとに酔ってない?」
「や・・ ちょっと酔ってるwww」
「も~・・ やっぱ虎太郎だよね、そういうとこ。」
「じゃあさ、酔ってないとき、また言うから・・・ 朝まで一緒にいて?」
「結局コタロー、それじゃん」
「違うっ!・・いや、違わないっていうか・・それもあるっていうか・・でも、身体だけじゃなくてー」
「じゃあ、朝までいるけど、シなくていい?」
「いや、シたい」
「wwwww ほらぁ~」
「だってしょうがねーだろ!!こんな好きなんだから、欲しいに決まってる!!好きな女が傍に寝てて、シたくならねー方が問題だろっ!!」
「コタロ~・・・ またここ、外ですけど?」
「あ・・・・」
やっちゃった・・・
いつもこんなん・・・
そりゃ千尋だって、嫌だよな
呆れるよな・・
「そうだね、好きなんだから・・ シたいに決まってるよね」
「・・・・・・・・・」
千尋ぉぉ~~
そうなんだよ、わかってくれた?
って想いで抱きつこうと手を伸ばすと
それを制され
「鍵、これで開けちゃうよ?もうー」
そのカギ・・・
まだ持っててくれたんだ・・?
ガチャリ
千尋
ほんとにオレ
朝になっても何度でも言うよ
おまえのことが好きなんだって