ガチャリ

 

バタン

 

 

「・・・ ふぅ~」

 

 

玄関に車のキーを置くと

そのままキッチンに向かった

 

冷蔵庫をあけ

お茶を取り出すと

コップに入れて一気飲み

 

 

「おかえり」

 

「うっわぁああぁあぁあ」

 

姉貴!?

どこから現れたっ!?

 

 

「・・・・ 起きてたのかよ」

 

「んっふっふ~。・・・ どこ行ってたの?」

 

 

なんて顔してんだか・・・

 

「別に。適当に・・・ そのへん、ドライブ」

 

「や~っぱ、女だった。変だと思ったのよね~ こんな時間にわざわざ楓にケーキ届けるなんて・・。そんな口実作らなくたって、彼女のとこ行ってくるって言えばいいのに。楓のことダシに使うなんてさ~」

 

「・・・・ まだ彼女じゃねーし」

 

「えっ・・ え?まだ、って・・ あんたが?え?うそでしょ、なになに?どういうこと?」

 

「いーから。姉貴は早く寝ろ。夜更かしはお肌によくないんじゃねーの?」

 

「いやいやいやいや、気になる気になる気になりすぎる!!あんたが?まさか、片思いとかしてるってこと?違うか。告ってないってこと?あー、恋人未満の時期ってことね?なにそれ、一番楽しいときじゃん」

 

「・・・ 他人事だと思って

 

 

一番楽しい?

 

んなわけないでしょ

 

まぁでも・・・

 

今までとは違ってきた・・かな

 

 

「あ、今、ニヤッとした!彼女のこと考えてたんでしょー!!ちょっともうーー!聞かせなさいよ!ほれほれ、お姉ちゃんに話してみてごらん?」

 

「いくつだと思ってんだよ」

 

「だって~、最近あんた、女の話なかったから・・・ これでも心配してたのよ?うちの拓海はこんなにイケてるのに、なぜ彼女がいないんだ!!って。紹介して、って話は昔からことごとく断ってきてたけど、それでもよさそうな子がいたら紹介しようかしら?なんて思ったくらいでー」

 

 

「あー、いいから。そういうの。引き続き断っといて」

 

 

「わかった。・・・で?」

 

「はいはい、また今度ね。オレ、シャワーするからー」

 

「あーうん、・・じゃあ、今度絶対よ?」

 

 

適当に姉貴をあしらい

 

自分の部屋に入ると

スマホを取り出し

 

さっき鳴らした番号

 

ポチッ

 

 

コール音が鳴り出す

 

 

 

ドキドキする

 

さっきまで一緒にいたのに

 

もう会いたい

 

もっと会いたい

 

 

せめて声でもー

 

 

 

「・・・・・・・」

 

 

 

むなしくコール音が鳴り続けるだけ

 

寝た?

 

あ・・・

風呂?とか?

そうだよな

すっかり遅くなっちゃったし

 

かと言って、入らず寝れるわけもない

 

 

じゃあ俺も、シャワーしてくるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャワーを浴びて、そのまま洗面台の前でドライヤー

ざっと髪を乾かす

 

自分の部屋へと戻る途中

 

部屋の中から

携帯の着信音が鳴っているのが聞こえた

 

楓っ!?

 

やばっ

切れるなっ

 

間に合ってくれー

 

慌てて自室に駆け込み

電話に出た

 

「もしもしっー」

 

 

ふぅ~・・・

 

 

「・・・ もしもし? 拓海くん?」

 

 

「ん。」

 

 

「ごめんね、電話もらったとき、私、お風呂入ってて・・・」

 

「あ、やっぱり?そうかと思って、俺も今、シャワーあびてきたとこ」

 

「そっか。あ、大丈夫?髪乾かしたりとか・・」

 

「大丈夫。ドライヤーもした。俺より楓の方が大丈夫?髪、長いのに」

 

「あー、うん・・ 実はまだ・・ ちょっと半乾き?」

 

「え、うそ。だったら早く乾かさないと風邪ひくな」

 

 

もうちょっと話してたかったけど

 

 

「そんな、大丈夫だよ」

 

「ダーメ。俺のせいで風邪引かせたくない」

 

「わかった。じゃあ・・」

 

「あ、楓っー」

 

「なに?」

 

「いつかさ・・ 楓の髪、俺に乾かさせてよ」

 

「・・・・・ え?」

 

「風呂上りに彼女の長い髪、ドライヤーで乾かしてあげるの、ちょっと憧れてんだよね~」

 

「あ~・・ そういうこと?もうー びっくりしたなぁ~・・ 拓海くんの彼女は髪が短いの?」

 

 

拓海くんの彼女は、て・・

 

鈍っ・・

 

鈍いにもほどがある

 

 

「彼女はいないし、好きじゃない女にキスはしないし、楓の髪を乾かしたい。以上。わかる?」

 

 

「・・・・ えと・・ もしかして?っていや、違うよね?ごめん、何か変な勘違いしてしまった」

 

 

勘違いって・・・

 

「合ってるから、それ。」

 

「・・・ え?でも・・ え?ほんとに?」

 

 

ほんとだよ

でもまぁ・・

 

「ちゃんと顔見て言いたいから、これ以上は言わないけど」

 

 

もうほとんど、言ったようなもんだけど

 

 

「・・・・ 拓海くん、でも私ー」

「何も言わないで。早く髪、乾かして。じゃあおやすみ」

 

プツッー

 

 

電話を切った

 

 

 

 

ああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁ

 

 

「言ってしまったぁぁぁ」

 

 

何やってんだよぉぉおぉ

 

まだ言うつもり、なかったのに・・・

 

駄々洩れしてたから、てっきり俺の気持ち、バレてると思ってたのに

 

あまりに鈍いから

 

つい

 

 

 

大事に攻めるんじゃなかったのかよぉぉぉぉぉ

 

 

 

ーー 拓海くん、でも私

 

 

でも、ってことはさ

あのあとに続くのって・・・

 

 

 

あー

やな予感しかないわ

 

 

くそぉぉぉぉぉ

 

キスした感じで浮かれてたぁぁぁぁ

 

イケるかも、って思った自分を呪い殺したい

 

 

 

 

「・・・ ラインのID、聞くの忘れたww」