「どうする?寄ってく?」
拓海くんの家まで一緒に帰ってきた
自転車置いてたの思い出して
寄ってく?
という言葉に、ちょっと後ろ髪引かれそうになってる・・・
だって・・・
めっちゃめちゃ楽しかった!!
「姉貴、帰ってるかもしれないし」
あ、そうか!
いや、でもそれダメだ
いま、明海に会うのは
なんかダメ
な気がする
「ううん、やめとく。なんか、帰るタイミング逃しちゃいそうで」
ちがうよ
ほんとは
「別にいいのに」
「・・・・・」
ごめん
私ばっか、ごめん
なんか、邪なこと考えてる
親友の弟に
私、コタローいるのに
「帰るの?」
「うん」
ほんとは帰りたくない、ってどこかで思ってる
でも、だから帰らなきゃ
こんなの
きっと
慣れないことで
ちょっと浮かれちゃって
すぐ消さなきゃ
早く
「じゃあ・・ ありがと。今日は。買い物、つきあってくれて」
「ううんっ、私の方こそ!!結局ランチ、奢ってもらっちゃったりしてー」
「それはお礼だって言ったでしょ」
「でも私の方が年上なのに」
「はい、それ、次言ったら罰金ね?」
次?
次って?
あー、明海の家で会ったときってことか
ふぅ~
無駄にドキドキさせられた
それもこれも全部
今の私が 邪な気持ちをもっちゃってるせい
早く帰って消さないと
「やっぱ、送っていこうか?」
ドキッ
え?
「や、ほら、自転車だし!」
「あ、そうか」
なんで私、自転車なの?
いやいや、何、自転車 睨んでるの
「じゃ、帰るね」
「ん。気をつけて」
バイバイ、って手の振り方すら
イケメンだ・・
なんて考えながら
私はペダルを踏んだ
・
・
・
・
・
「・・・ ただいま~」
「楓?あんた、どこ行ってたの?」
台所の方から、母親が顔を出して聞いてきた
「どこって・・ いろいろ」
あーもうっ
思い出させないでっ
じゃなくて
ずっと思い出して考えてたのは私
「虎太郎くんが来てたわよ?」
「虎太郎が?」
うわっ
なんか・・・
罰が悪い
なに?この罪悪感みたいな気持ち
「あんたに電話したけど繋がらないから、来てみた、って。上がって待ってたら?って言ったんだけど、何だか急いでるみたいで、すぐ帰ってったけど」
電話?
慌てて携帯を取り出し、見てみる
わ、ほんとだ
虎太郎から着信ある
ってか、私、今の今まで携帯見てないって
どういうことよ
なんで気づかなかったんだろう
「わかった、電話しとくねー」
母親にそう返事をして、2階にある自分の部屋まで上がると
ベッドにダイブ
ボスンッ
「ふぅ~~~・・・・」
着信履歴から
コタローに電話をかける
いつもなら、もう出ているはずのコール回数をこえたから
またにしようと切りかけたそのときー
「はーい、もしもし?楓ちゃん?」
この声・・・
もしかして・・・
「・・・ ちぃ?」
ガバッー
ベッドから起き上がると
携帯を持ち直す
どうして?
あーーー
そうだった
今朝、コタローの部屋にこの子、いたんだった
っていうか、もう夕方だけど?
まだいるのっ?
「今ね、コタロー、スマホ置いたまま、出掛けてて・・あ、でもすぐ帰ってくると思うんだけど」
なんでそれ、ちぃが言うの?
スマホ置いたまま出掛けてるって
すぐ帰ってくるって
やっぱそこ、コタローの部屋なのね?
「な・・・んで、まだいるの?」
「まだいるっていうか、一度は帰ろうとしたんだけど・・・ 虎太郎が俺のとこ来いって言ってくれたからまた戻って来ちゃった」
俺のとこ、来い?
コタローが?
ちぃにそんなこと言った、って?
「うそでしょ。ちぃ、なんでそんなウソつくの?」
「えー、嘘じゃないってば。虎太郎が帰ってきたら、楓ちゃんに電話してもらうね」
「・・・・・・」
切ってやった
もう、聞いてられないから
なぁに考えてんのっ?
ちぃも
虎太郎も
っていうか、どういうこと?
昨夜泊めただけじゃなく
今夜、も?
で?
今夜はふたり一緒に、ってこと?
帰ろうとしたのに
虎太郎が俺のとこ来いって言ったですって?
そんなの、言うわけないじゃん
虎太郎が!
でもじゃあ・・
なんで、ちぃがいるの?
あーーー もうっ
ぜんっぜんわかんないんだけど