「一回、喰べさせて、っておまえ・・・ もう結構、食ってるだろ」
「・・・・・・・」
はぁ~
深いため息が出るわ
そうねそうね、楓ちゃんラブの純情で鈍感なアンタには
意味わかんないか
ほんっと、ムカつく
♪♪♪~~~
携帯が鳴りだした
「ケータイ、鳴ってるぞ?」
コタローに指摘され、私は自分か、とスマホ画面に表示された名前を確認して驚いた
昨夜別れた男からだった
何で?
土日に連絡が来ることなんてなかったのに・・・・
「おい、出なくていいのか?」
「あー、うん・・ いいの」
携帯はしつこく音を鳴らし続けている
「もしかして・・・ オトコ、とか?」
「え?」
コタローのくせに、そういうセンサーは働くの?
「ケンカでもしたのか?あー、だから昨夜深酒を?・・ったく!だったらちゃんと電話に出て、そいつとちゃんと話をしろよな」
出たー
誠実男のおせっかい
「別れたの」
「・・・は?」
「昨夜別れた。だからもういいの」
「もういい、って、おまえはそうでも向こうはそうじゃねーからこうして電話してきてるんじゃねーのか?」
切れた
と思ったらまた鳴り出す電話に
コタローがぐいぐい首をつっこんでくる
あーもうっ
めんどくさいなっ
「奥さんっ!・・・いる人なのよ」
「え・・・」
固まった
はい、そうでしょ?わかった?アンタが引くと思って言わなかったのに
皆まで言わせるなってのよ
「だから終わりでいいの。・・・ でしょ?」
「・・・ 確かに。」
コタローが放心状態でいると
電話はまた切れて
そしてまた鳴り出した
「そりゃそうだー」
コタローはそう言うと、私の手からケータイをとりあげ
勝手に電話に出た
「ちょっー」
「いいかげんにしろや、オッサン!!」
え?
コタロー!?
「二度と電話してくんなっ!ボケッ!!」
ええっ
こんなこと・・・
言う人だった!?
電話を切ると、コタローが ハイッて私の手に携帯を戻す
「一度こういうの、言ってみたかったんだよね~。ハァ~、なんかスッキリしたぁ~~」
さっきあんな毒吐いた人とは思えないような
爽やかな笑顔
「ぷっ!!」
何よ、それ・・・
一度言ってみたかった、って・・・・
「スッキリした、って・・」
「オッサン、電話の向こうで、『キ・・キミはダレ?』 なんて、震える声で言ってたわ」
「そりゃそうでしょ、いきなり知らないオトコが電話に出てきて怒鳴ってくるんだもん」
今頃、ビビッてんじゃないの?
意外と小心者っぽかったし
「まぁでも、これでもうかかってくることねーだろ」
・・・・ 私のため?
「・・・ かなぁ~・・」
アイツはダレ?
って聞いてきたりして・・・
「え?かかってくる?もしかして俺、やっちゃった?」
アハハ
小心者はこっち?
「ううん、全然!むしろありがとう!感謝してるよ」
「あー、うん//// まぁ、その、なんだ?/// 別れたばっかなんだし、他に頼るやついなかったら、また俺んとこ連絡して来いよ」
ドキッ
「えー、心配してくれんの?」
私のことを?
もはや、おどけたようにしか聞けない
「あぁ、当たり前だろ」
当たり前・・・ なんだ?
「・・・コタローって、ほんとおせっかい」
「悪りぃかよ。あ、食べたら送ってくわ」
「え?まだ明るいよ?え?なに?もしかして夕飯も食べてけって?」
「ちげーだろ、アホ!・・・ さっきの奴がもしかして家まで来てたりするかもだろ?」
さっきの奴って・・・
あの人、私の部屋になんて来たことないから
場所なんか知らないはずなのに
でも・・・
そんなこと、教えたくないな・・・
「・・ どした?あー、おまえ、感動してんだろ。コタローっていいやつぅ~」
「アハハハ!自分で言っちゃう?それ。もう~ そういうところなんだな、残念」
「ざ、残念?・・おいっ、残念ってなんだよ!」
「ふふ・・」
いいなぁ
楓ちゃん・・・
あぁ、そうだ
私、あの頃もこんな風に思ってた
私が泣くといつも慰めに来てくれたコタロー
でもそれが、楓ちゃんに言われてだったんだ、って知ったとき
とてつもなく楓ちゃんのこと
羨ましいって思ったんだった・・・・・