「コタロー、入らないの?」

 

 

彼は去って行った彼女の後ろ姿を名残惜しそうに見つめていた

 

ふんっ

バカな奴

そんなに気になるのなら

追いかけていけばいいのに

 

 

「ん?あぁ・・。そだな」

 

 

バタン

 

中に入ると、ドアを閉めた

 

 

行かないんだ?

彼女のところ

 

 

「ねぇ、キョーちゃんのホットサンド、食べたいな」

 

 

私がそう言うと、ホットサンド入りの袋を差し出してくれた

 

「え?全部いいのっ?」

「あほか!俺も食うに決まってんだろ。キョーちゃんのホットサンドは絶品なんだぞ?」

 

 

そんな絶品、私も食べていいんだ?

 

 

「コーヒー、インスタントしかねーけど、いいか?」

 

「えっ?淹れてくれるのっ?」

 

「だからインスタントだって」

 

「じゃあ私やろうか?お湯わかせばいいんでしょう?」

 

「いーから。三崎は座っとけ。・・ってか、食べたら帰る用意しろよ?」

 

 

「・・・ はぁ~い・・」

 

 

やっさしいんだ~

相変わらずだよね

そういうとこ

 

何て言うか・・・

無理な感じがしないんだよね

コタローのやさしさって

 

あの頃は私

コタローが慰めにきてくれるのが嬉しくて

泣いたらコタローが来てくれる

って

 

そう思って泣いてた時もあったのよ?

 

わかってた?

コタロー

 

普通なら、そんな男って

大人になったら変な女にコロッと騙されそうなのに

 

貴方は今でも 『楓ちゃん』 なのね

 

 

 

 

 

 

 

「んっ・・・ 美味しい~~~!!」

 

 

「だろ?」

 

 

「自分が作ったかのように得意げな顔してる」

 

 

「ハハハ。まぁな」

 

 

「あ、ここ、マヨネーズ、ついてるっー」

 

「うわっ//////」

 

 

くすっ

 

 

「っぶねーーなぁ~もうっ!なんだよ、三崎!おまえ、そういうの、むやみにやらない方がいいぞ?」

 

「えー?なんで?」

 

「なんで?ってそりゃあ・・ おまえみたいな綺麗な女にそんなことされたらー」

 

「・・・ されたら?」

 

「男はみんな、勘違いするってー」

 

「・・・ 勘違い?・・・どんな?」

 

「どんな?って・・・」

 

「ふふっ コタローこそ、そんなんで大丈夫なの?よく今まで変な女にひっかからずに生きてこれたわね?」

 

「はぁ?なんだよ、それ。変な女ってー」

 

「あんたみたいな男はね、変な女にすぐつけこまれてやばいことになるわよ?気をつけないと!」

 

「は?何言ってんだか。そんなやばいことになんか、なるわけねーだろ」

 

「そう?」

 

「あぁ。ないない。・・・って、三崎の言うやばいことってよくわかんねーけど・・・」

 

「なぁ~に純情ぶってんの。・・え?あんたまさかっ・・」

 

「は?//// ばぁっか、おまえっ//// 何考えてんだっ?ちげーよ!あほか!いくらなんでもこの歳でそんなん、あるわけねーだろーが!やってるよ、俺だって」

 

「え~ なんのことぉ~?コタローのえっちぃ~」

 

 

なぁ~んだ

やってんだ?

やっぱり・・・

 

そうなのかぁ

 

それって相手はやっぱり・・・

 

 

「はぁぁぁぁぁ~~?くそっ!ムカつくやつだなっ さっさと帰れっ!」

 

 

あーどうしよ

何だか、たまらなく居心地がいい

 

 

 

「ねぇ、そんなすぐ帰らなきゃだめ?」

 

「は?何言ってんだ?おまえは」

 

 

あ、やっと おまえ って呼んでくれた~

ふふっ

 

 

「コタローって、楓ちゃん以外の女の人とつきあったことあるの?」

 

「ねーよ、んなもんっ」

 

「うわぁ~。やっぱり!・・・・ すっごい一途なのね」

 

「わりぃーか!」

 

 

なんでそんなに楓ちゃんのことだけ想っていられるの?

 

 

「悪いけど、そういうの、女って引くのよ?」

 

「・・引く?」

 

「そう。魅力を感じないっていうか・・・。ねぇ、楓ちゃんもコタローひとすじなの?」

 

「・・・・・ ひとすじっていうか・・・ どうかな」

 

 

お・・?

 

 

「もしかして、楓ちゃんってそんなにコタローのこと好きじゃないんじゃないっ!?」

 

 

「うっ・・ おっまえ・・・ いきなりエグッてくるなぁ~・・」

 

 

・・おお?

 

 

「ほら!やっぱり!!コタローが楓ちゃん好き好きオーラ出しすぎなんじゃない?しかも、もうあの頃からずーーっとなんでしょう?そりゃ引くわ。かわいそう、楓ちゃん」

 

「引くっ?かわいそう?」

 

「だってそうじゃない?自分だけしか知らないような男となんて、この先ずっとつきあっていくの、不安だわぁ~。それよりも、色々女を知ってから、自分のところに戻ってきてくれた方が嬉しい。選ばれた感じがするんだもん!あ~、やっぱり私だったんだな、って」

 

「・・・・ なるほど」

 

 

おおっ・・・?

 

 

「コタローがいったん自分から離れて別の女のところになんていっちゃったら、急に恋しくなるかもよ?」

 

「恋しく!?」

 

「ほら!失いかけて初めて気づく自分の本当の気持ちってあるじゃない?あ~、私、コタローのことがこんなに好きだったんだぁ~・・・」

 

 

ドキッ

 

・・・なに?これ・・・

言ってて自分がドキドキしてきた・・・

 

 

「やべーな、それ・・・////////」

 

 

何、でれ~~っとしてんのよっ

 

 

「ってことで、コタロー。別の女、作りなさいよ」

 

「んな簡単にできっかよ!」

 

「大丈夫。私がなってあげるから」

 

「は?」

 

「のりかかった船よ。面倒見てあげるから」

 

「なんだよ、それ。だいたい、楓の気持ちをこっちに向けるために他の女とか・・・そんな当て馬みてーなの、好きじゃねーんだよ」

 

「あー、ほら!だめだめ!!楓ちゃんのことはいったん忘れなさいって!そんな最初から当て馬で、なんて思ってる限り、楓ちゃんラブな気持ちが駄々漏れしてるから、作戦は成功しないのよ」

 

「・・・・・・・・」

 

「あんたもね、コタロー。いったん、別の女、見てみるいい機会よ?」

 

「別の女って、俺は別にー・・ってか、お前、そんなキャラだったか?」

 

「ふふ。こっちはね、コタローと違って、人生色々あったのよ?」

 

 

あんたみたいに

ずーーーーっと一途にひとりの女を想う

なんてこと

してこなかったから

 

 

「お前なぁ、そういう、男を色々知ってます、みたいなこと、言わない方がいいぞ?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

なによ、コタローのくせに

キュンってするし

 

あーもうっ

 

やばいっ

 

 

 

「ごめんけど コタロー・・。 一回、喰べさせてー」