突然、誰かがオレの名前を呼んだ?
ような気がして振り向くと
そこには
おっそろしく綺麗な女の人が立っていた
「えと・・ 今、オレのこと、呼びました?」
「あ、間違ってたらごめんなさい。昔の知り合いに、『コタロー』って人がいて・・・」
昔の知り合い?
あー、でもそれ、オレじゃないな
残念
こんな美人の知り合いなんて、いないもんな~
「ハハッ、まぁ、よくある名前ってわけでもないですもんね~」
なんて頭掻きながら笑ってたら
え?
そこ、座るの?
美人さんは、オレの隣に座ってきた
さも、当然のように
もしかして、逆ナン?
俺を?
いや、ないないない
ってかまぁそれならそれで大歓迎?
いやいや、楓に怒られる
なんて無意識にそこまで考えてしまう俺
酔いが覚めてきたな
「牧野虎太郎、って言うんだけどね?私の知り合い」
「・・っ!?」
酒飲んでたら絶対噴き出してたわww
牧野虎太郎って、オレ!?
えっ?
「・・・ 同姓同名?」
「っていうか、貴方でしょ。右目の下のほくろ、間違いない」
そう言って、覗き込むように顔を近づけてくる美人さん
あっという間に至近距離
反射的に仰け反ってしまう
あっぶねーーーー
「いや俺、あんたみたいな知り合い、いなー」
「三崎。三崎千尋」
「・・・は?」
「だぁから、三崎千尋なんだってば。覚えてない?小学校一緒だったのに」
いやいや
その名前、覚えてる
覚えてるよ?
なんならついさっき
思い出してたところだ
けど・・・
「・・・ マジで三崎?」
へぇ~
女ってすっごい変わるんだなぁ~
信じられないな~
だって、オレの知ってる三崎は小学生のままなんだもんな
「ふふ。そんなに変わっちゃった?どぉ~んなふうに変わったのかなぁ?私は」
あーこれ、自分のこと、ある程度は綺麗な女だってわかって言ってるやつだ
なるほどね
だからか?
この距離感
男をわかっててやってんだな~
悪いけど、俺はそんなの、ひっかからねーよ
むしろ引くんだなぁ~
「・・・ 昔の方が可愛かった」
「え?」
「あ・・」
やべっ
言っちまった
ま、いっか
「ねぇ、再会を祝して、かんぱ~い!って言ったら、つきあってくれる?」
それにしても
マジ、綺麗になったなぁ~
何気に左手の薬指、チェックしてみたりして
指輪は
ない
「いいね、飲もうか」
「おい、コタロー!おまえ、飲みすぎだって。もう帰れって言っただろ?」
「まぁまぁキョーちゃん、いいじゃん!まだ。ほら、俺にもさっきの、持ってきて」
心配そうに俺を見るキョーちゃん
だぁ~いじょうぶだって!
これも売上貢献だろ?
そういう俺に
しぶしぶ酒を出してくる
もちろん、彼女のオーダーも通ってる
グラスを片手に持ち合うと
俺たちは乾杯をした