「おい、虎太郎。ちぃちゃんが泣いてる。慰めに行っておいで」

 

 

「は?なんでオレが?」

 

 

「だって、ちぃ、あんたのことが好きなんだもん」

 

 

「wwwwwww」

 

 

「ほら!行けってば、コタロー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハハっ!楓ちゃん、おっとこまえだねぇ~。」

「笑いごとじゃねーよ。だいたい、アイツは昔っからそうやって

オレのこと、他の女のとこに行かすんだよ」

「他の女のとこ、って小学生の頃のことなんだろ?可愛いもんだろー」

「いーや。アイツはあれ以来、ずーっとそんな感じだぞ?

ったく、人のこと、なんだと思ってんだ・・・」

「そんだけおまえのこと、信じてるってことだろ?はぁ~、結局惚気かよ

あ、いらっしゃいませ~ おひとりですか?」

「はぁんっ?信じてる?そんな可愛いもんじゃねーよ。

アイツはなぁ~、オレのことなんか、なぁんとも思っちゃいねーんだよ」

「はいはい、コタローちゃん、飲みすぎですよ~」

「あっ、おいっ!まだそれ、飲みかけなんだってー」

「もうおしまぁ~い。これは没収~。ほら、そろそろ帰りな。」

 

 

 

 

 

 

 

カランカランカラン~

 

 

 

何だか懐かしい感じの音色がするなぁ~

って思った

ドア開けたとき

 

その瞬間

惹かれるようにこの店に入った価値、あったな

ってもう満足

 

結局、まっすぐ帰る気にもなれなくて

こんな寄り道

 

雰囲気のいい店内には

もう残っているお客などいなくて

かろうじて、カウンターに男の人がひとり

 

マスターと話してるみたいだ

会話が聞こえてくる

 

 

「はいはい、コタローちゃん、飲みすぎですよ~」

 

 

・・・え?

マスター、いま、『コタローちゃん』って言った?

コタローってもしかして?

いや、まさかね

 

昔懐かしい名前に心がざわざわし始めた

 

 

私はそのまま、カウンターの方へと近寄っていく

 

 

 

 

「・・・ コタロー?」