「ちょっと!何それっ、宮下のやつ、香子に連絡してきてんのっ!?」
帰ってからサトミにメールしたら、電話がかかってきた
「あ、うん。たまにだけど・・」
「この前もランチしたんでしょ?しかも、高校の頃、香子のこと好きだった、って?」
え?
「どうしてそれ・・」
「あ、翔琉から聞いた」
翔琉から・・・
「連絡、とってるんだ?翔琉と」
「うん、まあね」
そっか・・
めんどくさがりなのに翔琉・・・
サトミにはマメに連絡してるんだ?
もしかしてサトミ、もう翔琉に告ったりした?とか?
それでふたり、順調に、・・ってこと?
「それより香子。それ、私も一緒に行くからアポとって」
「え?アポって・・」
「あぁ、ごめん、つい癖で。宮下と金曜、約束してよ。顔、拝んでやるわ」
「どうしたの?サトミ・・・。なんか、宮下くんのこと、そんな恨んでるみたいなー」
「え?ごめん、そんな言い方してた?まぁ、詳しくはその時に話すわ。翔琉は?」
え?知らないの?
「翔琉は・・ 金曜まで出張で・・」
私より知ってるんじゃないの?
「そう。じゃあ翔琉には私から連絡しておくわ。宮下と約束したら教えて。」
「あ、うん、わかった・・」
翔琉に連絡するんだ・・?
「あ、それと。宮下には、私が行くこと、黙っておいて」
「え?でもそれだと私、宮下君と二人で、って感じにならない?」
「いやいや、実際ふたりじゃないんだから大丈夫。」
「そう?なんか・・・ だましてる感じじゃない?ねぇサトミ、何か隠してる?」
「ふふ。詳しくは金曜に全部話すから。じゃあ、よろしくね」
プツッ
要件だけ済ませると、サトミの電話は切れた
相変わらずだなぁ~
「ま、慣れたけど」
私はスマホ画面で確認をする
翔琉からの返事はー
何もなかった
・
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・
・
・
そして約束の金曜日
宮下くんが予約してくれた店で、私は向かい合って食事をしている
「いや~、それにしても、岩田が高校時代に俺のこと好きだったなんて、この間はびっくりしたよ」
どきっ
「あ~・・ ハハ、そういえばそんなこと、言ったよね~」
今また、そんな話??
「手紙がどうのとか言ってたけど、オレ、受け取ってないんだよね?残念だったな~。それ、受け取ってたら俺ら、付き合ってたのにな」
うわっ・・
なんか・・・
宮下君に、俺ら、って言われるの、なんかゾッとしちゃった
高校時代、あんなに好きだった人なのに
変よね、私ったら・・・
「アハハハ、そうだよね、そしたらどうなってたんだろうね~」
笑うしかない
っていうか、ああいうのって、もうそんな、掘り下げることなくない?
「結婚、してたかも」
「え?」
いきなり宮下くん、前のめりになって距離つめてきた
「結婚ってそんな・・・ いやいや、すぐ別れてたかもよ?」
「オレ、前に言ったよな?奥さん、岩田に雰囲気似てるかも、って。」
「あ?あ~・・ そうだっけ?」
言われたような?
あの時は、ちょっと ドキッとしたような・・・
「きっとオレ、あの頃からずっと岩田のこと、心のどこかでー」
「どうも~~~ 宮下くん、お久し振りぃ~~」
「・・・・え?神田?」
突然、約束の場所に現れたサトミの顔を見て
宮下くんはびっくりしている
当たり前だ
サトミが来ることは内緒にしてたんだから
「久しぶりね、宮下くん」
そう言うと、サトミは私の隣に座った
「あ、あぁ・・。この間は、来なかったよな?」
「ええ。ちょっと・・ 忙しくて都合が合わなくて。今日、香子から宮下君に会うって聞いて、一緒させてもらったの。迷惑だった?」
「いや、迷惑だなんて!そんなことないよ?ハハ、ちょっとびっくりしただけだよ。久しぶりすぎて・・」
「へぇ~。私はてっきり、香子とふたりがよかったのかと思っちゃった。」
「そんなこと、あるわけない・・」
「そうよね~ あ、後で香子の彼氏も来るから。高瀬翔琉、わかってるんでしょう?」
・・え?
サトミ?
いったい、何を言ってるの?
翔琉と私が、つきあってる体だって話、したよね?
それでもって、自分が彼女にって立候補したよね?
翔琉のこと、狙ってるんだよね?
私は驚いてサトミの顔を見る
サトミは私に
黙ってうなずくだけ
「え?あぁ、もちろん。でもふたり、結婚はないとかって言うから・・うまくいってないのかと」
「まさか!ふたりはめちゃくちゃ仲がいいのよ?変なこと言わないで欲しいわぁ~、ねぇ?香子?」
「ええっ?あ、あー、うん・・ハハ」
どうなってるのよぉーー
「今、ちょっと聞こえたんだけど、宮下くん、高校の頃、香子のこと好きだった、って」
「え?あぁ、そうなんだよ!実は俺たち、両想いだったんだなぁ~って」
「へぇ~・・あら?宮下君って高校の頃から今の奥さんとつき合ってたんじゃなかった~?高校は違ってたけど」
え?そうなの?
っていうか、サトミ、なんでそんなこと知ってるの?
「・・・・ え?」
「弘美さん、って言ったっけ?宮下弘美さん・・。今、第三子、出産を控えてご実家に里帰りしておられるとか?」
「ど・・ どうしてそれ・・・」
狼狽える宮下くん
私も同じく、サトミにびっくりするばかり・・・
「宮下くぅーーん。今ね、私・・・ 弁護士やってるのよ~」
「弁護士!?」
「そう。弁護士やってるとね~・・ 依頼人って色々な方がいらっしゃってね~・・・あんなテレビでやるようなかっこいい法廷仕事ばっかじゃないのよ?一番多いのは、そうね~ 旦那の浮気調査、かしら?」
「・・・・・・・」
マジかっ!!!
それってもしかして・・・・
宮下くん、顔面蒼白
「ご、ごめんっ、オレっー」
「あら、宮下君、顔色悪いけど、もうお帰りかしら?」
「あ?あぁ、そう。ちょっと具合悪くて・・ 悪いけどお先に失礼するよ」
「じゃあ帰るとき、会計よろしくね。あとで請求書、送るから」
「え?あ、あぁ。うんうん、いいよ、わかった。じゃあ!」
バイバ~~イ、ってサトミに手を振られ
そそくさと宮下君は帰って行った
「どういうことっ!?宮下君っ、浮気してるのっ!?」
私は、ふたりっきりになった途端にサトミに詰め寄った
「ふんっ!あのくそがっ!同窓会の話を聞いて、いや~な予感がしたのよね~。ともかく、アンタが変な目に遭わなくてよかったわ。これでもう、アイツも懲りたでしょうしね。」
「・・・・ サトミ・・」
「ごめんね、これ以上は私にも守秘義務ってもんがあるから。って、結構言っちゃったけど・・これはまぁ、同級生の昔話みたいなもんだ、ってことで内緒ね」
「私のこと、心配してくれてたの・・?」
私はサトミのこと・・・
翔琉と、ってヤキモキしてたのに・・・
「って、ねぇサトミ?さっき、後で翔琉が来るって、あと、私と翔琉がつきあってるってー」
聞きたいこといっぱいあるんだけど
って思ってると
バタバタと誰かが店内を走ってくる足音が聞こえて
「悪いっ!遅くなったっー ・・・ ハァハァ・・・ あれ?宮下は?」
ドキッ
この声・・・
「遅ぉーーい 翔琉。さっき帰ったわよ」
翔琉が来た
久しぶりの・・・ 翔琉が・・・
「全く。この役立たずが!香子のこと、ちゃんと見とけって言ったのに・・・・」
・・え?
「しょーがねーだろ。急な出張入っちゃって・・・ハァハァ・・・」
「まぁいいわ。出張お疲れ様。走ってきたみたいだから、よしとしましょうか。さ、座って?ゆっくり食べてけば?」
そう言うと、サトミが立ち上がった
「会計はアイツに回すから。しっかり高いもん、食べちゃって。私は失礼するわ。」
「え?サトミ?」
見上げる私に
サトミは、身体を折って、耳打ちしてきた
ボソッ
「・・・ 体ってやつ、とってもいいんじゃないの?」
ボッ!!
瞬時に耳から顔が熱くなる
「サトミっ//////!!!」
「じゃあね~。よい週末を!」
サトミが笑いながら歩いていく
正面を見ると
椅子に座った翔琉が
ネクタイを緩めながら私に問う
「サトミのやつ、何だって?」
「・・・・・・・・・」
何よそれ
私を悩殺する気?
「ん?」
「・・・・ 忘れた」
「はぁ?」
まずは、既読スルーの言い訳でも聞こうじゃないか