「メイク、したんだ?」

 

「軽くね、軽く」

 

 

帰ろうとする私を、翔琉が玄関まで見送ってくれた

 

「朝の紫外線、舐めたらダメなのよ。帰ったら掃除して 速攻シャワーするわ」

 

ピコンッ、ピコンッ、ピコンッ・・

 

さっきからスマホがやけにうるさい

 

「それ、お前が洗面所 行ってる間も鳴ってたぞ」

 

 

帰ってから確認しようと思ってたけど

そんなに鳴るってことは何か急ぎの用とか?

急ぎだとしたらヤバいから ここで見てみるか

 

「あ、サトミからだ・・・」

 

私は内容を確認して びっくり仰天!!

 

「ちょっ、翔琉っ ・・・ どうしよ」

 

 

「どした?」

 

 

翔琉が 私の手元の携帯を覗き込もうと 身を寄せてきた

 

「昨日のプチ同窓会の写真、SNSにあげてる子がいて・・・ 私たちの写真もあがってるって・・・」

 

サトミから送られてきた写真を、翔琉の方へと携帯ごと回して見せる

 

 

私と翔琉

めちゃくちゃ身体を寄せ合って

頭くっつけて

ふたりして手でハートつくっちゃってる

指出して

 

もう、バカップルにしか見えない

 

 

「・・・ ほんとだ。よく撮れてる」

 

 

翔琉ってば、余裕で笑ってる

 

おいおい、そうじゃないでしょうが

 

 

「よく撮れてる、じゃなくって!どうするの?これ・・ 大丈夫だよね?会社の人にバレたりしないよね?」

 

 

バレたら翔琉、困るよね?

彼女さんだっているんだし・・・

 

 

「さあ?」

 

「さぁ、ってもうーー!翔琉がつきあってる体で、なんていうから」

 

「そういうわりに、香子、ずいぶんノリノリだったくない?」

 

「・・・・・・ 確かに調子に乗ってました、ハイ・・・」

 

 

だって翔琉はスーパーイケメンだったし

登場の姿から始まって

とにかくずっとかっこよかったし

私のこと悦ばせてくれるし

皆にもすごいねー、よかったねーとか色々言われて気分よかったし

お酒も入って調子に乗るな、っていう方が無理

 

 

「大丈夫だろ、そんな見る人いないと思うけど。」

 

「かなぁ・・ だよね?うん。あ、サトミが話聞きたいから来るって言ってるけど、サトミには本当のこと言っていいよね?」

 

「本当のこと、って?」

 

「え?」

 

 

なんだ?

 

なんでそんなにジッと見つめてくるの?

 

 

 

本当のこと、って・・・

 

それは・・・

 

 

「だから、翔琉とつきあってるわけじゃないってこと」

 

 

私たちは、昨日・・

そう、昨日のことなのに、何だかあれからずいぶん時間が経ったような気がする

 

つきあってるわけじゃないのに、そんなフリをしたってこと

 

 

翔琉は彼女さんにちゃんと言ったのかな?

 

なんて?

あー、取るに足らないことだから、別に言ってないか・・・

 

なんて考え込んでいると

 

 

にゅ~っと翔琉の手が伸びてきて

身体がビクッて反応した

 

「・・・ 髪、ここ、跳ねてる・・・」

 

 

か、髪ぃ~?

顔っ!!顔、近いけどっ/////

 

 

「・・寝癖かぁ・・ 可愛い~」

 

 

い、の口でそのまま ニッ、と笑った翔琉の顔が

私を無駄にドキッとさせる

 

 

「ちょ、翔琉?そういうこと、やめた方がいいよ?」

 

 

私は翔琉の腕を振り払うと

ドキドキしていることを必死に隠して そう吐いた

 

 

「君の距離感は、無駄に女子をときめかせるんだからねっ」

 

 

「女子?・・・ なぁ~つかしいなぁ、香子、昔よくそういう使い方してたよね~ 女子!」

 

「え?昔っ?」

 

 

そうだっけ?

 

 

「別にそんなの、意識したことなかったけど・・・ 使ってた?」

 

「うんうん、使ってたね」

 

 

ニヤニヤしながら、頷く翔琉に、なんかムカつく

 

 

「とにかく!!じゃあ、私は帰るから。」

 

「うんうん、友達来るんだったら掃除してシャワーしないとね?」

 

「wwwww」

 

 

まぁ~だ、ニヤニヤしてる

 

 

「どうも、お邪魔しました!」

 

「ハイ、・・されました」

 

 

なんかムカつくなぁ~

 

って思いながらも、なんで、とっとと帰らないんだろう?私

 

 

ガチャ、と玄関のドアを開けて振り向くと

 

バイバイ、って手を振る翔琉

 

 

そのまま、ドアの向こうへと抜けたとき

 

 

「あ、香子ー」

 

 

閉める扉で狭くなる視界に翔琉の声が私を呼んだ

 

なに?と顔を向ける

 

 

「俺はいいよ、別にー」

 

 

 

ガチャン

 

 

 

 

扉が閉まった

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ 会社の人にバレても。」

 

 

 

なんて言ったら、香子のやつ、どうするかな?

 

 

 

「ま、『何言ってんのよぉ~~』 からの? 『ないわよ!』 だろうなぁ~・・・」

 

 

 

香子が消えた玄関で

 

ひとり

 

呟くと

 

 

俺は踵を返し、リビングへと向かう

 

 

 

さて、と

 

 

俺もシャワーして、洗濯でもするか

 

 

色々と