「・・・ん・・・」
寝てた・・・
何時だ?
目をあけ、まず自分がリビングのソファで寝ているということに気づき
どうしてそんなことになっているか、って思い起こすのに何秒かかった・・?
ローテーブルの上に手を伸ばし携帯を取ると、時間を確認する
画面が眩しい
「・・・ 5時半・・。」
起き上がってトイレに向かうと、玄関に置かれたままの香子の靴を発見
「・・・ マジか!」
トイレで、昨夜の香子とのやりとりの記憶を絞り出す
ーー 泊まってけば?
言ったような気がする・・・
トイレをすませると寝室に向かった
ドアノブに手をかけ、そろりと回し、あけてみる
・・・ 居た
俺のベッドで、香子が寝てる
そのまま、ドアを閉めてリビングに戻る
・・・ 確かにオレが言ったけど、ほんとに泊まったのか
いや、あの状況でオレが寝てしまったのが悪いんだけど
でも普通、俺のベッドで寝るか?
「・・・・ 寝るか」
オレが言ったような気がする
かかっていたタオルケットは、香子か
「・・・・ やべ。目が冴えてきたわ・・」
ローテーブルの上のDVDの入った映画のパッケージに目がいく
香子が観たいと言ってた・・・
俺はパッケージをあけるとディスクを取り出し、デッキにセッティングをした
「・・ 久々に観てみるか」
アイツ、持って帰るって言ってたしな・・・
トイレに起きたら、暗いはずのリビングの方から漏れてくる灯りと音に気がついた
そろりそろりと近寄っていき・・・
ガチャリ
「・・・ 翔琉?」
起きてるの?と足を踏み入れて、ソファの前、光るテレビを発見!!
「ああああーーーーっ!何やってるのっ!?それっ、私が観たいって言ってたやつよねっ?何ひとりで観てるのよっ」
その映っている画面から内容を確信した私は駆け寄っていく
「香子っ!?・・・ だってお前、持って帰るって・・・」
「どこまで観たの?もう、ここ、佳境とかまでいってる?」
「いや、まだ最初のほう・・ 10分、くらい?」
「だったら最初っからにして!私も一緒に観るっ!」
「は?」
「トイレ行ってくるっー」
・
・
・
・
・
「・・・ ほい、水」
私が翔琉の隣に座ると
ローテーブルの上に置かれていたミネラルウォーターのペットボトルを
私の前へとトンッと移動させてくれた
手に取ると、冷たい
私がトイレに行った隙に新しいの、冷蔵庫から出してきてくれた?
「・・ ありがと」
蓋をくるくるッとあけ、一口、喉に流し込んだ
ふぅ~・・・
なんか、身体に沁み込んでいく
「これさー、前に地上波でもやってたと思うけど?」
そんな翔琉の問いかけに
「録画も観るのも忘れたのよ、気づいたら放送終わってた。ショックだったんだよね~」
だからってレンタルまでして?って思って過ごしてた
「観れるなんて、すごいラッキー!」
「・・・ あっそ」
「まさか翔琉がDVD持ってるなんてね~」
「オレ、この原作漫画、好きなんだよ。ドラマも見てたし・・ まさか続きは映画館で、ってくるとは思わなかったけどな。」
「だよねだよねっ!?私、テレビの前で、『ええーーーっ』って叫んじゃったわよ」
「わかる。・・・ けどまぁ、映画館までは行かなかったんで、DVD買った」
「高くついてるじゃん」
「お金の問題じゃないんだよ」
「ふぅ~ん・・・ ね、原作漫画好きって言ってたけど、もしかして持ってたりする?」
「ん?あぁ・・」
「うそ!読みたいっ!貸して!?」
「・・・ いいけど、おまえ、さっきからちゃんと頭の中入ってる?内容・・」
「大丈夫。ちゃんと映画見ながら翔琉と話してる」
「あ、灯り・・ つけた方がいい?」
「大丈夫。私も家で映画とか見るときこの状態だから・・ それに今、すっぴんだもん。ちょうどいい」
ピッて電子音が聞こえて、パッと部屋が明るくなった
「ちょっとっ!!なんでつけるのよっ!?」
「だってすっぴんって言うから。見たいじゃん」
嘘でしょっ!!こいつっー
私は慌てて顔を覆い隠す
「もーーっ、信じられない!翔琉っ、趣味わるっ!!早く消してよっ」
「えー、いいじゃん。隠すな、って。オレ、女の子のすっぴん、好きよ?」
は?女の子の、って・・・
「女の子の、でしょ?私はもう女の子、って歳じゃあないんだからっ!ほらっ、早く消してって!!映画、観れないじゃないのよぉーーー!!」
手に持ってたクッションに、思いっきり顔、突っ伏した
「・・・・ ハイハイ、わかりました~・・」
ピッ
再び電子音が聞こえ、灯りが消えた
もぉーーーーっ
翔琉ってあんな意地悪だっけ?
どうしよ・・ すっぴん・・・
でもまぁ・・ いいよね
外まだ暗いし・・
私はクッションを強く抱きしめると、ソファに深く座りなおした