「ちょっとトイレ、・・・行っれくる」
「・・・ん」
かなり飲んだ気がする
翔琉と色んな話をしてたら盛り上がっちゃって
プチ同窓会でのこととか・・・
急ぎの仕事は、皆川さんの応援だったんだ、とか・・・
気づいたら
時計の針はもう、とっくに日付をまたいでいた
やっばいよねぇ~・・・
「翔琉、すっかり遅くなっちゃっれぇ~、ごめん、私ぃ~、そろそろ帰るから、送ってって・・・」
トイレから戻り、リビングの扉をあけながらそう言いかけると
「ええーーーーっ、翔琉っ!?」
ソファに横になって寝てるようにしか見えない翔琉の姿を発見!
慌てて駆け寄る
「翔琉っ?ねぇ、ちょっろぉ~、翔琉っ、起きれよぉ~」
ゆさゆさっと 翔琉の身体をゆすってみる
「・・・ ん~~・・・ 無理・・ ねむぃ・・・」
「ええ~~っ、待っれ待っれ、無理とか言わないれよぉ~ 送ってくれる約束じゃん・・」
いくら近くてもこんな時間にひとりで帰るの、怖いよ
「翔琉ぅ~・・ 」
辛抱強く、翔琉のこと、ゆすってみる
「・・・ もういーじゃん、泊まってけば・・」
私に身体をゆすられながら、薄目をあけ、翔琉はそれだけ言うと
反対側を向いてしまった
「そんなっ・・・ 泊るっれ・・・・」
「・・・ オレ、ここで寝るから、ベッド使って・・」
向こう、向いたまま翔琉の背中越しに言われる声は
何だか冷たくも聞こえてきて
「ええ~~~~っ ちょっとぉ~・・翔琉、困るよ、いくらなんでも泊まるなんれ・・」
なんて言いながら
頭のどこかで
いや、心のどこか?で
だんだんそれでもいっか、って気がしてきてた
そうだよね?
だってもう遅いんだし?
ひとりで帰るの怖いし?
このまま起きてるわけにもいかないし?
泊まっちゃっていいんじゃない?
翔琉の部屋、広いし
綺麗にしてるし
翔琉はソファで寝るって言ってるし
いやもう、寝ちゃってるし
私もちょっとだけ、寝させてもらって
朝、起きてから帰ればいいのよ
そうだそうだ
そうよね
私は、そう自分に言い聞かせると
翔琉の身体をゆするのをやめ
寝室に向かい
その扉をあけた
「・・・・ こっちもシンプル。綺麗にしれるなぁ~・・・」
ベッドの上からタオルケットを手に取ると
寝室を出て、リビングで寝ている翔琉のとこまで歩いていき、そっとかける
「・・・ん」
ちょびっとだけ反応した翔琉にどこかホッとして
私は今度はお風呂場の方へと向かった
さすがにシャワーを借りようとは思わないけど
アラサーな私
メイクは落として寝たいと思うわけですよ
酔っていてもそこはね、ちゃんとわかります、はい
じゃないと、ほんっと、大変なことになりますからね
プチ同窓会だったおかげで
私のバッグの中にメイクポーチは入ってる
スキンケア系のものさえあれば・・・
でもそんな、都合のいいもの、あるわけないんだろうなぁ~
なんて思いながら
洗面台の横にある、スキンケアセットにハッとした
「なにこれ・・・・」
手に取って見る
どう見ても、メンズもの・・・ではないよね
しかもこれ・・・
ちょっとお高い有名なやつ
こんなのが、ここにあるなんて・・・・
ふっ・・・
「なぁんら、やっぱり彼女、いるんじゃない・・・」
すみません、彼女さん
ちょっとだけ、これ、貸してくださぁ~~い
私は祈るように手を合わせると
彼女さんに心の中で呼びかけ
クレンジングのキャップをあけた