「じゃあな、岩田、ちゃんと翔琉のこと連れて帰ってやれよ?」

 

一次会が終わり、皆は二次会へと流れていく中

すっかり酔っぱらいになった翔琉をタクシーに押し込むと

まだ開いたままの後部座席のドアに手をかけ

佐々木くんが私の方へ振り向いてそう言った

 

佐々木くんは翔琉と仲が良かった気がする

 

 

「あ、うん、ごめんね、なんか・・・」

 

「いつの間に、こんなになるまで飲んだのかね~、なぁ?」

 

「そうだよね、いつもこんなに酔っぱらったことないのになぁ~・・」

 

今日は、ほぼほぼ一緒にいたと思うんだけどほんとに気づかないうちにべろんべろんに酔ってた

 

「ほんと、色々びっくりだわ」

 

「え?」

 

「まさか翔琉と岩田がつきあってるとはー」

「恒星(こーせー)!!うるっさい!香子っ、早く乗れっ」

 

タクシーの中から声が響いた

それを横目に、佐々木くんが笑ってこっちを見る

 

「・・・ じゃ、岩田、また!今度ゆぅ~~っくり色々聞かせて」

 

ドキッ

 

色々って?

佐々木くん、何か勘づいてる?

そうだよね、翔琉と仲良いんだから、私なんかとつき合うわけないのもわかってるか!

 

 

「あ、うん・・ また!」

 

私が乗り込むと、佐々木くんはタクシーから離れ

ドアが閉まった

 

バイバーイ、ってドア越しに手を振る佐々木くんに

私もつられて手を振った

 

 

「~~まで、お願いします」

 

翔琉が運転手さんに行き先を告げ、タクシーが走り出した

 

 

 

「え?」

 

行き先、言えるの?

 

 

 

「・・ったく、恒星のやつ、うるさいんだよ」

 

ぶつぶつ言いながら体勢を整えて座りなおす翔琉

 

「ええっ?酔ってなかったのっ!?」

 

 

さっきまでのへべれけ具合はどこ行った???

 

 

「・・・ 当たり前だろ?あれくらいでそんな酔うかよ。」

 

「信じられない・・・ じゃあ、なんでー」

「なに?おまえ、二次会行きたかった?」

 

いや、そんなことは全然

だって、翔琉が来る前に帰ろうかと思ってたくらいで

 

「ううん、帰るつもりだったけど・・・」

 

私はいいけど、翔琉の周りは結構盛り上がってたよね?

遅れてきたせいもあったけど

割とずっと皆に囲まれてて

 

私、彼女宣言されてたけど、それでもかなり女子に話しかけられてた

 

「だったらいいだろ。あの状況で俺ら、帰れたと思う?」

「私は帰れたと思うけど、翔琉はー」

「彼女ひとりで帰すわけないだろーが」

 

 

・・・ 彼女

なんかくすぐったいな

 

「ハハッ、そこまでやり通してくれたんだ?」

 

「いい仕事しただろ?」

 

「うんうん、すっごい気分よかった!!」

 

「じゃあ、おやっさんとこで飲みなおすか!」

 

「えー、今から行ってももうラストオーダーでしょ」

 

「だったらぁ~・・ おまえん家?」

 

「ええーっ?」

 

家?

今、わたしん家って行った?

 

「なんっ//で、?、家飲みするのっ?しかも、あたしんちっ?」

 

「だって、俺ん家だったら、あとでお前、送ってかなきゃなんないだろ?お前ん家だったらオレが帰ればいい」

 

「そっか・・」

 

「決まり!・・ 運転手さん、そこのコンビニで降ります!」

 

「えっ、待った待った!!まだいいって言ってないっー」

 

 

 

無情にもタクシーは止まり

翔琉がお金を払って私たちは降りることになる

半分出すって言ったけど

じゃあコンビニで、って言われてそのまま降りた

 

 

「ほら、必要なもの、お前もカゴに入れろ」

 

お酒コーナーで並んで、開いたドアからいくつか飲み物を取り出して翔琉が持つカゴに入れていく

 

いやいや、ちょっと待って?

 

おやっさんの家で飲むようになって

お互いの家が近いであろうことは知ってたけど

場所までは知らない

 

っていうか、家飲みって・・・

 

翔琉がうちに来るってこと?

私の部屋に?

え?

 

私、いつ掃除機かけたっけ?

今日は同窓会あるからって

明日かけようってかけなかったけど

 

こんなんだっら今朝、かけときゃよかったぁーーーー

 

 

じゃなくて!!

 

 

「翔琉、いつ、掃除機かけた?自分ち」

 

「ん?今朝だけど?」

 

あ、これも入れとこ、って腕を伸ばしてドリンク缶を2本まとめて手にとってる

その腕の筋肉っていうか、筋が綺麗ってちょっと見惚れてしまったりして

 

 

 

じゃなくて!!

 

 

「だったら翔琉ん家にしよっ!私のこと、送ってってよ!」

 

「え~・・ めんどくさい」

 

はぁ?

めんどくさい?

なんでそんなこと言われてまで一緒に飲まなきゃいけないの?

 

「じゃあやめる!ここからならひとりで歩いて帰れるし」

「はっ!?ちょっ、待てってー」

 

 

ぐいっー

 

 

行きかけた私の腕を、翔琉に掴まれ

その手の温度に人のぬくもり感じてドキッとしたりして

 

 

って、そうじゃなくって!!

 

 

「放してよっ」

 

「わかった!送ってく!あとで送ってくからオレん家にしよ。だからちょっと待ってろ、これ、会計してくる」

 

「えっ、待ってよ、会計するんだったらさっきのタクシー代っ」

 

 

私は慌ててバッグから財布を取り出すと、レジ前に立つ翔琉の横に並ぶ

 

 

「そんなに飲みたかったんなら、今からでも皆のとこ、戻ったら?翔琉なら歓迎されるわよ」

 

「ばぁ~っか。・・・・ おまえと飲みたいんだって」

 

「は?そんなの、いつも飲んでるでしょ」

 

「だからじゃね?・・・ なんか楽」

 

「・・・ ふぅ~ん」

 

 

なんか・・・

ちょっと、嬉しいかも?

 

って酔いが回ってきた?

 

 

私は手のひらをひろげ、自分の顔を仰いだ