「いらっしゃいませ、おふたり・・ですか?」
え?
マスターに聞かれて振り返ると
「ユッー・・ チョンバトラー!?」
「今はオフだ。ユノでいい。」
いやいや、そういう問題じゃなくって
「ええ」
焦ってる私をよそに、ユノはマスターにそう返事をすると
肩をしっかり抱いて店の端っこの席へと私を連れて行った
「どういうことですかっ?どうしているんですっ!?」
聞かずにはいられない
いつから居たの?
もしかして屋敷からずっと後をつけられてた?
「おまえは?」
「・・・・」
どうしよう
まさか質問がかえってくるなんて想定外だった
しかも私がなぜここにいるかって?
三木秘書の行きつけの店だということを調べあげ、
彼の評判を直に聞いて人となりを確認する
そしてあわよくば、女性関係をそれとなく調査する
それが狙いだ、なんて絶対に言えない
知られては困るのだ
「なんなんですか?その恰好・・・」
普段あげてる髪をおろし、ニット帽を深めに被っている
服装だって・・・・
「言っただろう?今はオフだ」
「そりゃあ、就業時間は終わってますけど、バトラーがふたりしてお屋敷を空けてもいいんですか?」
「何度も言わせるな。おまえはどうしてここにいる?」
私の質問は無視ですか
「ナンパでもされに来たのか?」
「は?まさか!私にはちゃんとー」
「なんだ、まだ続いていたのか」
そう
私には彼氏がいる
これがきっと、私がハン家に勤めることが出来た大きな理由のひとつだろう
「ちょっとっ、さっきから失礼ー」
「俺の時は一ヶ月でふられたのにな」
ーーーーっ!!!!
それ、言う!?
今?
こんな時にっ?
「ご注文は?」
ドキッ
マスターがオーダーをとりにきてくれた
どうやら店内には私たちの他にはまだ客がいない
流行ってはないのかしら?
ほんとにこの店にあの秘書野郎が来るの?
「ビー・・」
「コーラをふたつ」
私の声を遮るようにして、ユノがそう注文した
マスターはきょとんとしている
そりゃそうだ
こんな店に来て、ふたりともコーラだなんて
「コーラ・・をおふたつ・・ ですか?」
ほら
びっくりしてるじゃない
「私はビー」
「コーラで。お願いします」
ビールって言おうとしたのにっ
また遮られた
マスターもユノの強い視線に観念したのか
わかりました、と小さく呟いて戻って行く
「アルコールはダメだ」
「どうして!さっき、オフだって言ったじゃない」
「おまえは弱いからすぐ酔うだろう。酔ったら手に負えん」
ドキッ
なに?それ
どうして今更、そんな、「俺の女」感出すこと言ってくるわけ?
「別にっ、ユノの手に負えなくてもかまいませんからっ」
「俺とお前は恋人同士。・・・ そういう設定でいこうか?」
ドキッ
「・・は?何言ってるの・・?」
「その方が不自然じゃないだろう?こんな店に男と女がふたりできて、それ以外だったら何なんだ?」
た・・・ 確かに
「そうかも・・」
「さて、恋人同士ならどうするかな?」
「どうするって?」
「とりあえず、キスでもしてみるか」
「えっー んっー」
有無を言わさず塞いでくるこの感じ
やだ・・
懐かしいって思っちゃってる・・
「・・そう・・ 口、あけて?・・ 覚えてるか?これ・・」
あけた口から舌を滑り込ませると
ゆっくり上、なぞられる
ゾクッー
「・・・ん・・」
もう
口の中
ユノにいいようにされて
意識が遠のきそうな中
カランカラン、と店のドアが開く音が聞こえた
「ユノッ・・ 誰か来た・・」
グッとユノの胸を押し
離れようとするも
腕はほどかれず
離れた唇は私の耳元へと移動し
「このままで。・・・ 顔、見られずにいられる」
囁かれたその吐息で鳥肌が立った
・・・っ!?
全部、わかってるのっ?
っていうか、これ、作戦なのっ?
ニヤッと笑ったユノに
再び唇を塞がれる
もう、綺麗な角度で顔が近づいてきた時点で受け入れてる、私
キスだけなのに
もう、どれくらいの時間
何度してるかわかんない
こんなキスってある?
「・・・ どうした?・・・ 疼いてきたか?」
「っ////////」
カランカランと再び店のドアが開く音がして
また客が入ってきた
最初に入ってきたのは女性客で
どうやらあとで来たのも女性客
女ばかり?この店
そういえば、マスター、イケメンだったわ
もう、頭の中、誰かさんでいっぱいで
思考能力なくなってきてる・・・
がしかし、そのとき
確かに私の耳に聞こえた
二人目の女性客の口から
「・・・・ 壮士 ・・・」
三木壮士
それがあの秘書野郎の名前
「・・ ユノ・・・」
わかってる
自分がもう、とっくに蕩けそうな顔してるって
でも、必死に唇をはなして、呟いた
「ん?・・・ もっと、・・ って・・?」
「そう・・・じゃない!」
そうじゃない、って言ってるのに・・・
私も私だ
ユノのキスを拒めない
壮士が元カレなんだとか
なんか聞こえてるけど・・・
もうーーー
どうしたらいいの?
わたしたちふたりの息遣い、あっちにも聞こえてるんじゃないの?
なんて羞恥心も途中から消えて
ふたり・・・
キスしたまま抱き合って・・・
そのとき、また、店のドアが開く音が聞こえた・・
ような気がするけど・・
身体はもう
いろいろマックスでー
ユノが私に覆いかぶさってきた
と思ったらー
「おいっ、何をしているっ!!?」
ガバッー
いきなりユノが引きはがされ、視界が開けた
えっ!?
チャンミン様っ!?
「/////////すみませんっ! 人違いでした!」
ホッ
気づかれなかった?
ユノは私の方を見下ろしたまま、固まってる
でも、チャンミン様からはその顔は見えないだろうから・・・
軽く会釈をかえしてた
すると、チャンミン様はもう一度お辞儀をして、カウンターの方へと戻って行った
私たちふたり
目を合わすと
「・・・ 出るぞ」
「・・ うん」
お金をテーブルの上において
店を出た
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あんにょ~~ん
皆さま、わかりました?
そうです、そうです、あのシーンですっ![]()
アハハハハッ![]()
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そして、覚えていらっしゃいますか?
あのとき・・・
あのふたり、いつの間にかいなくなっちゃってたし
ってヒロインがつぶやいていたのを
ふふふふふっ
さて・・・
色々気になるセリフが出てきましたよね?
どういうこと?
ってなってもらえたら
嬉しいなぁ~