あ!!!
「・・・ お疲れ様です」
「・・・・・・ お疲れ様」
会っちゃった、会っちゃった、会っちゃったよー
廊下でバッタリ
鉢合わせてしまった
石橋さんに・・・
どんな顔して会ったらいいのかわかんなくて
意識的に避けちゃってたと思う
私が勝手に
別に気にすることもないんだろうけど・・・
石橋さんは、私のことを瀬名から聞いてるんだろうか?
なんて?
高校の同級生、ってか?
くるっと踵を返すわけにもいかず
挨拶をしたら、返してくれた ← 当たり前
「白石さんてー」
「はいっ?」
通り過ぎようとしたところで、ふと声をかけられちゃったから
振り向く
なに?
なんて?
「・・・・ 同級生なんですってね?・・ 瀬名くんと」
キターーーッ
こ、これはなんて返事をすれば?
いやいや、焦ることはない
同級生だってこと自体は別に何でもないんだもん
「はい、そうなんですよ^^」
にこっ
笑ったつもりだけど
笑えてる?私・・・
不自然ではない?
私はふたりのことを知ってる、ってことでいいの?
それとも、私に言ったってことを石橋さんに伝えてない?
どっち??
「懐かしいのはわかるけど、学生気分で仕事をされたら困るのよね。社会人なら社会人らしく、節度をわきまえて仕事をしてちょうだい」
・・・・ え?
これ、知らないやつだ・・・
「・・・ はい、すみませんでした。以後、気をつけます。」
学生気分で仕事なんかしてない!
そう言い返したいけど
そんなことしたら、ますます気分を害されるのは目に見えている
ここはおとなしく謝って、とにかくやりすごそう
私はお辞儀をして、立ち去った
ちょっとぉーー
瀬名ぁーーー
彼女、感じ悪いじゃんかっ!!
・
・
・
・
・
外でランチをして戻ってくると
会社の玄関で、外回りから帰ってきた瀬名が三浦さんと笑って話しているのに出くわした
ほらね、可愛がられてるじゃん
ペコリとお辞儀をする
「じゃあ、三浦先輩、これでー」
背後でそんな瀬名の声が聞こえたと思ったら
足音が近づいてきて
ポンッと肩を叩かれた
「おっす、ゆみ!お疲れっ」
うーーわ、もうっ
やめてよねっ
くるっー
振り返りざま、きっと睨みつけてやりながら
「なんですか?瀬名さん」
私は問いかけた
「は?瀬名さん?・・・ なんで戻ってんの?」
「別に。変わりませんけど?じゃー」
くるっと踵をかえした私の
肩をぐいっと掴むと
瀬名がさらに続ける
「待てよ!意味わかんねーんだけど。」
あんたの彼女がよく思ってないのよっ
・・・ なんて言えない
「とにかく、私のことも白石で、お願いします」
「は?だからそれ、何なんだよ」
「おーい、瀬名。おまえ、ふられてんのか~?」
少し離れたところから、三浦さんが声を飛ばしてきた
うわっ、ほら、目立ってんじゃない?
こんなとこ、もし噂にでもなったらどうすんのよっ
うちの会社の人が何人かバラバラと歩いているんですけどっ?
「違いますって、先輩!こいつ、高校の同級生なんですよ!」
「へぇ~、元カノか~?頑張れよ~」
ちょっ、元カノっ?三浦さんっ!?
変なこと言って去って行かないでくださいよっ
「ちょっとっ、瀬名っ!早く追いかけて訂正してよっ」
「・・・戻った。やっぱ、そっちがいいわ。」
「もぉーーっ!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ、誤解されるって!」
「別にいいだろ、そんなん。たいしたことじゃねーし。」
「は?」
たいしたことじゃない?
いま、元カノって言われたけど?
事実と違うのにっ?
しかもそれ、私に向かって言う?
はああああああああっ
もうっ
いっろいろムカつく!!!
「それより、オレ、お前にちょっと話があんだけどー」
「私はないっ!!あんたと話すことなんて何もねっ!!」
ぷいっ
「だからちょっと待て、ってー」
ぐいっー
「うるさいっ、離してって言ってるでしょっー」
ひぃーーーーーーーっ
腕掴まれて、振り返った私が
瀬名の背中越しに、視界に見えたもの
それは
立ち止まった石橋さんの
こっちを見る視線だった