久々に高校の同級生に会うとタイムスリップしたみたい
時の流れを感じず、すぐにあの頃の空気感
いやいや、時はしっかり流れているんだけどね
「今日の幹事って、瀬名と白石だっけ?なに?おまえら、つきあってんの?」
ええーーーっ
だ、誰だっけ?キミ
何を言い出してー
「そういやふたりって、あの頃も噂、なかった?」
うわっ
うわっ、やめてくれぇーーー
「ないない、今、同じ会社で働いてんの」
慌てふためく私と違って
瀬名がスマートに否定した
ほんっと、スマートだなぁ~
むかつくほどにね
「ゆ~み、飲んでる?」
「かおりんっ!久しぶりぃ~~~」
SNSはチェックしてたけど、住んでるところ離れてるから
なかなか会うことなくって・・・
高校の頃はあんなに仲良かったのにね
なんて会話をしながら
「何?今、瀬名と同じ会社で働いてんの?」
「そうなの。春から私が派遣でね」
「へー。びっくりだったね」
かおりんがそう言ってくるのも
何を隠そう、当時私の背中を押したのは他ならぬ彼女だったからだ
「ゆみ、いま、彼氏は?」
どきっ
「いないけど?そういうかおりんはー」
言葉より先に、私に左手を掲げ、薬り指に光る指輪を見せつけてきた
私の、右手薬指に光る自分へのご褒美とは、モノが違う
「・・・ おめでとう」
「ありがとう^^」
そう言って微笑んだかおりん
急に声を潜めると
「で?瀬名とは何もないの?」
私を驚かせる
「ないない、さっき、瀬名だって否定してたでしょ」
「でもふたりで幹事やるくらいには、仲いいんだ?」
ほんっと、かおりんって私のこと
どきどきさせる名人だと思うよ、うん
なんて、黙ってうなずいていると
「ねぇ、瀬名~。瀬名って今、彼女いるの?」
離れたところにいる瀬名に向かって
大声で聞いちゃうもんだから
私たちだけじゃなくって
皆が注目しちゃって
勝手にそばで恥ずかしくなってる私は
瀬名の方なんてみることできなくて
でも、耳はしっかり研ぎ澄まされていて
瀬名の答えを気にしちゃってる
「あ、こいつ、彼女いるよ。しかも結構年上だったよな?」
答えは、瀬名ではない誰かの口からもたらされた
はい?
彼女、いる
という情報だけでなく
結構、年上?
横でかおりんが囁いてきた
「・・・ ごめん、ゆみ」
「なんのなんの」
むしろ感謝かも
これでどきどきしないで済むし?
突然暴露されたせいで
質問攻めにあっている瀬名に
とても近寄れない私たちは
ここぞとばかりに
バイキング形式の料理を皿に盛り、黙々と食べ始める
すると入口の方で わぁ~っという歓声があがった
思わずかおりんと視線を走らせる
「ごめんっ、遅くなった」
え~っと・・・
誰だっけ?
こんなイケメン、うちの高校にいたっけ?
皆も口々に誰だ?と騒いでいる
特に女子
「お、山田ぁ!!大丈夫、まだまだ、これからだし。」
救われた、とばかりに彼に声をかけたのは瀬名で
その瀬名の声により判明した彼の名前
「「山田ぁぁ~~~!?」」
会場中が一瞬どよめき
「めっちゃ痩せてるぅー」
「すごいビフォーアフター」
「山田くぅーーん」
一気に人の波が彼へと押し寄せた
特に女子の
面白いくらいに
あはははは
「なんだ?女子のやつら・・・ あからさまだな~」
ふいに、隣から声が降ってきた
そう!
奴の
いつの間にか、かおりんも山田の方へと行ってるから
私、ちょっとポツンとしてたかも
「瀬名、山田と連絡とってたんだ?」
「ん?あぁ、仕事で得意先にいるから会ったことあって・・」
「ふぅん・・・ でも、助かったんじゃないの?」
思わず皮肉っぽく言っちゃった
「あ?・・あぁ~・・・」
照れるなよ
「彼女、結構~・・ 年上?なんだ?」
「ん~・・ 7つ、くらい?」
くらい、ってなに?くらい、って
彼女の年くらい覚えときなさいよ
ってか、7歳上って、何気にすごい
そりゃ、結構、に入りますわ
「ふぅ~ん・・ すごいね、何がきっかけで?なんて聞いてもいいのかな」
もう、どうとでもなれ、だ
ダメもとでぐいぐい聞いてみた
何かにトドメを刺したくて
「前に、仕事で大失敗しちゃったときに・・・ 飲みにつれて行ってもらって・・
それがきっかけで何回か一緒に飲みに行くようになって~・・そのうちなんとなく?」
なんとなく?
なんとなく、ですと?
だったらどうしてあのとき、私となんとなくつきあってくれなかったの?
なんて思いが頭の中をぐるぐるぐるぐる・・・
あー、だめだ
ん?待って?
今、仕事で、って・・・
「もしかして、会社の人っ!?」
私の質問に、瀬名は、頬を人差し指でポリポリかきながら
軽く肯いた
「えっ、マジ?誰?」
知ってる人?
「・・・ 石橋さん」
「wwwwwwwww」
思いっきり知ってる人じゃん
デスク、近いしっ
え?え?
この間の飲み会、いなかったっけ?
私、一次会のあと瀬名と飲みに行ったの、見られてない?
ってか、あの人、結婚してないのかぁーーー!!
落ち着いた感じだから
勝手に既婚者だと思い込んでたよ
「会社では内緒にしてくれって言われてるから、内緒な?」
「・・・ OK」
そうか
それでわかんなかったのか
言えないよねー
皆に何を言われるかわかんないし
しっかし
もっとこう、若い子だとよかったのに(何が?)
7つも上だとか
石橋さんだとか
ほぉ~んっと想定外というか予想の斜め上いっちゃってるし
こうもなると、なんていうか完璧やられたと言いますか
「おまえだっているんだろ?」
「え?」
すっかり気が抜けちゃってたから
一瞬何を言われてるのかわかんなかった
「・・・ 指輪、してるし」
「え?あー、これ?」
こんなの、自分へのご褒美・・・
「うん、そう。」
こんな嘘くらい、ついても罰は当たりませんよね?