「悪かったっ!ついっー」

 

 

触れた?

と思ったら離れた途端

 

焦ったようなミン専務の顔が目の前にあった

 

 

悪かった?

 

つい?

 

つい、ってどういうこと?

 

キスしたくなったからした、じゃなくて?

私としたかったわけじゃないってことですか?

 

・・・ ですよね

片思いなんだし

 

 

「いいですよ、別に・・。」

 

 

キスくらい

 

 

 

っていうか、心臓止まるかと思ったけどねっ!!!

 

それっくらい

私はドキドキして

嬉しかったですけどねっ

 

 

ふぅ~

 

落ち着け

 

 

 

 

「気にしないでください。なんか・・ 近いですもんね、勘違いしちゃうかもですよね。わかります、わかります。」

 

 

 

いやいや、ぜんっぜんわかりませんけどねっ

 

だってキスって・・・

 

 

 

「・・・ 勘違い・・?」

 

 

 

私はしませんけどね

 

 

「いや、だってそんな・・ こんな近くに顔があったら・・ ドキドキしてそういう気持ちに・・ねぇ?」

 

 

男の人はなるんじゃないですか?

 

 

「ドキドキ・・・」

 

「え?あ!もしかして、今、ドキドキしてるんですかっ?」

 

「・・ してる」

 

「えっ?ほんとにっ?」

 

「してる、ほらっー」

 

 

ミン専務の手が、私の頭をぐいっと自分の胸元に寄せた

 

 

聞こえる・・・!!!

ミン専務の早い鼓動が

ドクドクドクドク・・・って

 

 

でも

それより私の鼓動の方がやばい気がっ///////

 

だってこんなのっ

 

もうーー

さっきから密着しすぎなんですっ

 

 

だけど・・・

 

嫌じゃない自分がいます

ミン専務・・・

 

どうしたらいいんですか?

 

どっぷり片思い・・・

 

 

しちゃったじゃないですか

 

 

でもドキドキ・・

 

わかっちゃった、ってことですよね?

 

 

そうしたらもうー

 

 

 

 

 

「・・どうです?聞こえませんか?」

 

 

 

頭の上から声がする

 

 

 

 

「・・ 聞こえます。ドクドクッ・・て脈打ってます」

 

 

ドクッ、ドクッ、ドクッ・・

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

私は、意を決してミン専務の胸から離れると

 

 

「これでもう、ドキドキってわかりましたよね?」

 

 

預かっていたビニール傘を開いて、ミン専務の手から私の傘を取り戻す

 

 

「ドキドキ、教えてくれってことだったので、これで終わりですよね?じゃあ、失礼します」

 

 

開いたビニール傘をミン専務に渡すと

お辞儀をして、走った

 

 

 

「え?」

 

 

 

ミン専務の口から、そんな単語が発せられるのは聞こえたけど

 

 

追いかけてきてくれるようなことはなかった

 

 

 

 

 

少し期待していたのが恥ずかしかった

 

 

 

 

 

 

大丈夫、大丈夫

 

今ならまだ

 

 

キスひとつでわかったなんて

 

 

よかったじゃん

 

 

 

 

 

私ばっかり

あっという間に落ちちゃって

 

 

バカみたいだったからさ

 

 

 

これでよかったのよ

 

 

しょせん、ミン専務なんかと、お近づきになれるわけないんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり・・・?

 

 

 

 

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ーー ドキドキを教えてくれってことだったので、これで終わりですよね

 

 

 

「・・・ 確かに。」

 

 

 

でもまだ・・・

 

 

 

 

・・・ まだ、ってなんだ?

 

 

 

僕は何を?

 

 

 

「あぁああぁぁぁああぁぁぁぁーーっ」

 

 

 

昨日からずっと

 

僕の頭の中は彼女でいっぱいだ

 

 

 

そもそも?

 

だいたい?

 

 

一度くらいで、わかった、ってことになるのか?

 

 

あれは、偶然の産物だったのかもしれない

 

 

そう

 

きっとそうだ!

 

 

 

 

 

 

♪♪♪

 

 

ケータイが鳴って、着信画面を見て我に返った

 

 

「もしもしっ?キュリッ?昨夜はごめんっ、ボクっー」

 

 

そうだった!!

昨夜キュリをホテルに置き去りにしてー

 

そのまま一夜明けても忘れてるなんて

どれだけ僕は・・・

 

 

「・・・・え?」