「ドキドキしないから結婚できないと言われた!?」

 

「そぉ~なんですよ、もうね、どう思います?この歳になって、そこ、必要だと思いますっ?」

 

「この歳もなにも・・・」

 

「そんな、どきどききゅんきゅんするような相手と恋して結婚したい、って乙女かっ!!」

 

「乙女は、そうしたいものなのか?」

 

「そりゃあ、誰でも最初は夢見ると思いますよ?そんな好きになった人と結婚できるのが一番幸せだと思いますし?」

 

「・・・・・ そうか!」

 

「でもね~、この歳になるとなかなかときめくことって難しくないです?」

 

「・・・ 難しいのか?」

 

「だってそんなっ・・・」

 

ドキッ

 

 

ちょっと、ミン専務っ!

近いっ!!

 

いつの間にか、隣の席に座ってるしっ

 

 

私はミン専務を手で払いのけるようにして横へ押した

 

うわっ

触っちゃったwwww

 

 

「・・・ こんなイケメンさんとだったら、ドキドキすると思いますけどね」

 

 

「どきどき・・・?」

 

 

あれ?

 

ミン専務って・・・

そういえばさっきから、話してるとなんとなくだけど・・・

 

 

「もしかして、どきどき・・ したことない、とか?」

 

 

「誰が?」

 

 

 

私は黙って、ミン専務を指差した

 

 

するとミン専務は、私の伸ばした指先をじっと見つめ

 

あ、目がまん丸くなって、可愛いぃ~

 

 

「ない」

 

 

迷いもなくそう言ってのけた

 

 

・・・ ない?

 

一度も・・?

 

 

「アハハハハハハ、やっぱり・・?なぁ~んっか話してたらそうじゃないかなぁ~って」

 

「笑うな!・・・ 失礼だな」

 

「だって・・アハッ」

 

やばい、照れてるとこも可愛い

なんかツボる

こんな可愛い人だったんだ

 

会社では話しかけるなオーラが半端ないって

関わりのある部署の人たちが言ってるの聞いてたけど・・・

 

 

「もったいない、こんなイケメンなのにー」

 

申し訳ないけど、笑いが止まらない

 

 

 

すると、ミン専務は、グラスのお酒を一気にあけ

 

ドンッ

とテーブルの上におくと

 

 

 

「だったら教えてくれ」

 

 

 

そういって、こっちを向いた

 

 

 

「・・え?」

 

 

「僕のことを笑った罰だ。僕にその・・ ドキドキというやつを教えてくれ」

 

 

「教えるってそんな・・・」

 

 

 

え?この人、何を言ってるの?

ドキドキとやらを教えてくれ?は?

 

 

「ちょっと待って、こういうのはー」

 

 

♪♪♪~~~

 

 

携帯の着信音が聞こえると

ミン専務はおもむろに携帯を取り出し、電話に出た

 

「なんだ?三木。」

 

 

あ!

三木、って・・確か、ミン専務の秘書の人の名前だわ!!

 

 

「・・え?・・わかった、すぐ行く」

 

 

電話を切ると、専務は今度は財布を取り出した

 

「どうやら僕は店を間違えてしまったみたいだ。マスター、お会計を」

 

え?間違えた?

誰かと待ち合わせをしていたの?

でも秘書の三木さんから電話ってことは仕事?

それはやばいじゃないっ

 

「早くいってくださいっ」

 

「彼女の分も」

 

「え?」

 

 

そういって専務は、さらっと私の分まで払ってくれた

 

「うそ・・ ごちそうさまですっ」

 

慌てて椅子から降りて、ミン専務にお辞儀をする

 

「いや、こちらこそ・・。有意義な時間だった。あ、そうだ、僕の連絡先ー」

 

ごそごそとスーツの上着をまさぐってから

 

「・・・すまない、名刺がなかった」

 

申し訳なさそうにそういうと、眉毛をハの字にした

 

 

きゅんっ

 

「・・ アハハ。もう~、残念なイケメンさんですね」

 

うわっ

すっごいイケメンの破壊力!!

 

 

「残念?バカなっ、今日はたまたま、だ!いつもはこんなことはー」

 

「はいはい、もういいから行ってください、誰かお待ちになってるんでしょう?」

 

「あ、そうだった・・」

 

「ごちそうさまでした、気をつけて」

 

「あぁ・・。 じゃあ」

 

「じゃあ・・」

 

 

バイバイ・・

 

と手を振ってみたが

 

気づくと専務は振り返りもせずに、歩いてドアの向こうへと消えていってしまった

 

 

 

ふふ・・

 

名刺なんてもらわなくても、知ってますよ?

 

 

チャンミン専務

 

 

会社ではみんなが、ミン専務、って呼んでます

 

知ってますか?

 

 

知りませんよね?

 

 

 

私のことも