「ずいぶんと楽しそうだな」

 

 

ビクッ

 

「ユノ皇子っ!?」

 

私と話していたヨンア妃が驚いて顔を上げてその名を呼んだ

 

声でわかったけど、何も言えなくて恐る恐る振り返ると

皇子は不敵な笑みを浮かべていらっしゃる

 

その向こうで、ダリとテジュンが言い争いをしているのが見えた

 

「・・・ 皇子」

「おはようございますっ、ユノ皇子!!」

 

「ヨンア妃、朝からうちの庭園までお越しとは・・・ いつからユリンとそんな仲に?」

 

「いつからって・・あの・・」

「前からヨンア妃とはよくお話をさせていただいてたのっ!ねっ?」

 

私はヨンア妃の手を握って、ぶんぶん振り回した

 

「え?ええ・・」

 

戸惑いがちにも、私に話を合わせてくれるヨンア妃

やっぱりいい人だわっ

 

「ほぉ~ぅ・・ それは初耳だ。」

 

 

うぅ~・・

なに?

やっぱり怒ってる?

 

だって・・・

顔を見たら・・・

 

 

「じゃあユリン妃、私はこれで失礼しますね?」

 

「えっ?あっ・・」

 

「色々とありがとう!・・ 頑張ってみるわ」

 

 

そう言ってウィンクをすると、ヨンア妃はしずしずと去って行った

ミリョン皇子の宮殿の方へと

 

 

「・・・ 目覚めたらすぐに私のところへ来るように。昨夜、そう言っておいたはずだが?」

 

 

残された私は、必然的に処刑される立場に

 

 

「・・・・・・・ ごめんなさい」

 

 

顔、見たくなかったの

 

皇子はユリン妃と結婚しているのに

昨夜、その顔を見た途端

自分がどんなに会いたかったか思い知らされてしまったから

 

でもテジュンに言われて

自分がその隣にいるべきではないって理解して

必死で気を紛らわそうとー

 

 

 

ぐいっー

 

「あっー」

 

 

腕を強く引っ張られ

あっという間に皇子の腕の中へと

 

 

「・・ もうよい。今、ここに居るのだから・・」

 

 

ドクドク・・

皇子の胸の鼓動が聞こえる

 

 

漂ってくる皇子の香しさに、思わずうっとりしていると

その視線の先に

 

テジュンの睨みつけるような鋭い目が・・!!

 

たちまち、ハッと我に返る

 

 

ぐいっ!!

 

「皇子っ、政務をなされないとっ!」

 

私は手を伸ばして皇子の腕の中から抜け出す

 

「テジュンが睨んでますっ!!」

 

あぶない、あぶない

またうっかり虜になるところだった・・・

 

 

「政務?・・ ならばお前も来るがよい。」

 

するりと抜け出した手を

あっというまに繋がれ

 

そのまま連れていかれる

 

 

「テジュン、構わんな?」

 

「・・・ 御意」

 

テジュンがぶぅたれているように見える

きっとあれ、不承不承ってやつだ

 

 

「でも皇子・・ 私が一緒に行っても政務なんて、出来ること何もないと思うんだけど」

「そうか?」

「そうよ。だって、・・・っていうか、そもそもどんなことをするのかも知らないんだし」

「だったら知ればいい。」

「え?」

 

知ればいい、って・・ 知ったってそんな・・何の意味もないじゃない?

だって私はきっとそのうち元の世界へと戻る

 

「知っておくべきであろう?おまえは私のたったひとりの妃なのだから」

 

 

ドキッ

 

ーー おまえは私のたったひとりの妃

 

 

「でもそれはー」

 

私じゃなくて、ユリン妃・・

 

「私の妃はおまえだ。」

 

・・え?

 

うつむいていた顔を上げると

皇子と目があった

 

「・・・ そうであろう?ユリナ」

 

「・・////////」

 

 

やだ・・

なんか恥ずかしい・・

っていうか、照れるっていうか・・・

 

何て顔で見つめてくるんだろう?

え?

こんな顔・・

いつもユリン妃にしてるの?

 

ユノ皇子のたったひとりの妃

 

こんなふうに呼ばれてるんだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨンア、こんな朝からどこへ行っておったのだ?」

 

「皇子っ!!」

 

 

・・と、シンシア妃

朝から仲睦まじく・・

どこかへお出かけかしら?

 

「ちょっと、散歩に・・」

 

 

私は頭を下げ、傅いた

 

 

やっぱり、こんなふたりの間に入るなんて

私には無理なんじゃ・・

 

「ユノの宮殿の方から戻ってきたようだが?」

 

 

ビクッ

 

 

「・・ 庭園で、ユリン妃とお話をさせていただいていました」

 

「ユリン妃と?」

「まぁっ!ユノ皇子の妃と、こんな朝早くから?ずいぶんと親しくなられたのですね?」

 

「さきほど、ユノ皇子からも同じように言われましたわ?」

 

「は?ユノ皇子と・・ お会いしたの?ヨンア妃」

 

「ええ、ユリン妃を捜しにおいでになって・・」

 

「まぁっ!!昨夜もケンカして宮殿を飛び出し、騒ぎを起こしておいて・・・

今日も朝からユノ皇子に捜させるなんてー」

 

 

え?

昨夜、ケンカをして飛び出した?

あのユリン妃が?

 

まぁ・・

ありえなくもないか

ぷぷっ

 

 

 

「よく知ってるんだね?シンシアは」

 

「はい?」

 

「昨夜そんなことがあったの?・・・ 私は知らなかったなぁ~」

 

「皇子!・・いえ、私は・・ 確か、使用人たちがそのように話しているのを朝、小耳に挟んだだけで・・。」

 

「ねぇヨンア?ユリン妃と、何を話したのかい?」

 

 

皇子が私に話しかけられた

 

シンシア妃を遮って・・

 

 

「それは・・ 秘密でございます」

 

 

ーー ヨンア、皇子様と話すときには少しくらいはミステリアスな言い回しをしてもいいと思うの

 

 

こんな感じでいいのかしら?

 

 

「秘密・・ ふふ、面白いことを言うね。そうだ、ヨンア。これから出かけるんだけど、ついてきてくれる?」

 

「はい?私とで、ございますか?」

 

私はチラッとシンシア妃の方を見た

 

「皇子っ!!今から私とお出かけになるってー」

 

「気が変わった。今日はヨンアと出掛けることにするよ」

 

「どうしてですのっ?わたくし、今日はっー」

 

「ヨンア、すぐ支度をしてくれる?待っているから」

 

「はいっ!!少々お待ちくださいね、すぐ支度をしてまいりますからっー」

 

 

私はドレスの裾を持ち上げると

小走りに宮殿の方へと走った

 

 

 

 

 

「あの、皇子・・ わたくし・・」

 

「シンシア?朝から君が聞いたという噂話をしていた使用人に、あとで私のところへ来るように言っておいてくれるかい?」

 

「え・・」

 

「そういう輩が、きちんと仕事をしてくれるか信用ならないからね、すぐ解雇にしないと」

 

「え?解雇ってそんなっ・・・」

 

「だからちゃんと、私のところへ来るように伝えてくれる?」

 

「・・そんな私・・ きちんと顔までは確認していなくて・・」

 

「そう?・・ではしょうがないね。次はちゃんと、・・ 覚えておいてね?」

 

「は・・はい・・」

 

「おや?顔色がよくないね。自分の部屋に戻ってゆっくり休むといい。」

 

「皇子っ・・」

 

「さて・・ ヨンアの支度ができるまで、私もひとり、少し散歩でもするかな」

 

「でしたら私もっー」

 

「君は部屋で休むように。・・・ 聞こえなかった?」

 

「・・・ 下がらせていただきます。」

 

 

 

 

昨夜の騒ぎ・・・

 

すぐにユリン妃は見つかったと聞いたが

 

ユノが朝からユリン妃を捜すとは驚いたな

 

婚礼の儀以降

ふたりでいるところを見ることもなかったが・・・

 

そういえば

以前はひどく寵愛していると噂になっていたのだったな

 

そして、ヨンアがユリン妃と朝から何を話していたのだ?

 

先日、庭園で顔を合わせたときは

あんなに他人行儀であったのに・・・

 

 

ーー ヨンア妃っ?これは失礼しましたっ・・ ミリョン皇子の正妃、ヨンア妃にー

 

 

ヨンアを私の正妃と言っていた・・・

 

 

もしや、ヨンアはそのことでユリン妃と?

 

 

 

「それにしても、秘密でございます、とは・・・」

 

 

 

可愛いことを言うのぅ

 

 

「ならばその秘密・・ 暴いてやろうではないか」

 

 

 

 

 

 

 

つづく・・・・

 

 

 

 

絶好調!!おめでとうございます!!

 

 

 

お借りしました

 

皆さん、素敵んぐな二人をご堪能あれ