「え?海外赴任が決まった?」

 

「ああ、行けば3年は帰ってこれないだろう・・・」

 

 

 

母が亡くなって以来、父と二人で暮らしてきた私に

突然、降ってわいたような父の海外転勤の話

 

社会人となった私にも

女の子の一人暮らしは危険だからと

頑として家を出ることを許さなかった父が

 

海外転勤・・・

 

 

これはもう

否応なく訪れる、夢の一人暮らしの生活

 

 

つきあって2年になる恋人の翔(カケル)を呼ぶことだって出来る!

 

 

 

「そこでだ、美貴。寂しいだろうがー」

 

「大丈夫よ、お父さん!私、ひとりでもー」

 

 

そりゃあ、寂しい気持ちだってあるけど

それよりもずっと憧れていた一人暮らしへのワクワク感の方がどうしても勝っている

 

 

「ひとりになんてさせないよ?」

 

 

「え?」

 

 

ーー ひとりになんてさせないよ?

って言いました?

 

 

「それってどういう・・」

 

「父さんの部下をひとり、住み込みで来させることにしたから」

 

「は?父さんの部下ってダレ?住み込みって!?」

 

「仕事も出来て、父さんがとても信頼している部下だから、安心してほしい。

早く慣れてもらうためにも、早速明日からきてもらうことになっているから。

なぁに、家政夫さんだとでも思ってくれればいい」

 

「は?明日?ちょっと待ってよ、お父さんっ!そんな勝手にー」

 

 

ん?

家政婦さん?

信頼のおける部下?

それってもしかして・・・

 

お父さん、ここにきて再婚とか考えていて

この機会に一人娘の私と一緒に住んで仲良くさせよう、とか?

 

そういうこと!?

 

 

「お父さん・・ もしかして、私にその人と仲良くなってほしいの?」

 

 

「仲良く?ん~・・ まぁ、それは別に構わんが?」

 

 

あれ?

違うの?

 

 

「本当はアッチに一緒に来て欲しかったんだが、会社的にそれは無理でね」

 

 

 

ーー アッチに一緒に来てほしかった?

 

ほらっ!

やっぱりそうだわっ!!

本当は再婚して一緒に来て欲しかったのねっ?

でもダメだったから、この家に先に・・・

 

 

 

 

「わかったわ、お父さん!明日、来てもらって?お父さんがいるうちに一緒に会っておきたい」

 

 

 

そしてもし、素敵な人だったら

先に籍を入れちゃってもいいのよ、って言ってあげよう

 

今まで男手ひとりで私を育ててくれたんだものっ!

 

ねっ!!!

 

 

 

 

 

しかし私は、予想もしてなかった展開に

 

翌日驚くことになる・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして、お嬢さん。

 

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・・・・ シム・チャンミンと申します。」

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

まさか・・・・

 

 

まさか、お父さんが信頼している部下というのがー

 

アッチへ連れていきたかったのだが、というまでの人がー

 

 

こんなに綺麗な、オトコの人だなんて!!!

 

 

 

 

 

「・・・あの・・ ちょっと、待っていてもらえますっ?」

 

 

 

 

私は、目の前のイケメンにそう言うと

お父さんを引っ張り、部屋の外へ出る

 

 

「お父さんっ!!!どういうことっ?家政婦さんだと思えばいいって言ったよね?」

 

「ん?そうだが?なんだ?どこか不満なところでもあるのか?」

 

 

もしかして、お父さんの家政婦さんって、夫、って字、使ってたの?

そんな字なんて、伝わらなかったわよっ!!!!

 

 

「しんっじられないっ!!いくら私に彼氏がいるからって、独身の一人娘に

あんなイケメンと一緒に暮らせだなんてっ!お父さん、どうかしてるんじゃないっ?」

 

「男手があった方が何かと安心じゃないか」

 

「安心だなんてっ・・・ お父さんっ?ありえないでしょうっ?だって・・だってっー」

 

 

 

そりゃあ、私には翔(カケル)がいるけどっ

だけど・・だからって、別の、しかもあんな見たこともないようなイケメンと

ふたりで一つ屋根の下に住むなんてっー

 

普通、男親だったら、心配するっていうか

ありえないっ!!

 

一人暮らしすらさせてくれなかったお父さんの考えてることってー

 

 

 

「あー、なんだ?もしかしてお前・・・ 大丈夫、彼には素敵な恋人がいるんだよ」

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

素敵な恋人・・

 

そりゃそうですよね

あんなイケメンですもんっ

さぞかし美人の彼女がいらっしゃることでしょうっ

 

 

「でもだったら尚更っ!!その恋人だってー」

 

「男の、な?」

 

 

 

 

 

 

・・・・・ え?

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

開いたままのドアをノックする音が聞こえて振り向くと

 

 

綺麗な彼が立っている

 

 

 

「あの~・・ すみません、僕が使ってもいいのは、あっちの部屋でいいんでしょうか?」

 

 

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「おふたりがお話をなさっている間に、荷物を運んでしまおうかと思いまして・・・・」

 

 

 

 

 

「あぁ~、そうだよ、あっちの部屋で合っている。どれ、荷物を運ぶの、手伝おう!」

 

 

お父さんはそそくさと私の傍を離れていく

 

 

「いえ、専務はお嬢さんとお話ください。僕ならひとりで大丈夫です。」

 

「そうはいっても、君はいつも用意周到だからな、かなりの荷物を持ってきているんじゃないのか?」

 

「そんな、専務。それを言うのなら、備えあれば憂いなし、です」

 

「ハハハ。まったく、君の語学力には恐れ入るよ」

 

「恐縮です・・」

 

 

 

 

 

ふぅ~ん・・・

 

 

へぇ~・・・

 

 

 

男の、恋人、ね・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ というわけで

 

 

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・・・ どうぞ、よろしくお願いしますね、お嬢さん♪」

 

 

 

 

 

「・・・・ どうぞ・・ よろしく・・です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんちゃんっ

 

 

 

 

 

こんにちは^^

 

 

チャンミンさまで、こんな妄想、してしまいました

 

 

彼の素敵な恋人役は

 

 

ご想像にお任せしますね

 

 

 

 

もちろん

 

 

 

あのお方で

 

 

 

正解です!!

 

 

 

 

 

 

 

「--- アーハッハッハッ」

 

 

 

 

笑ってますね、きっと

 

 

 

 

いえ

 

本当は、住み込みと聞いて

 

快く思わなかったのは事実です

 

 

がしかし

 

尊敬する上司に頼まれたんだ、と言われ

 

渋々応じたわけですよ

 

 

なんて想像すると

 

 

笑えますよね