「待っていろ、と言ったであろうが!!」

 

「・・・ ごめんなさい」

 

 

ただいま、絶賛皇子に叱られ中

 

おまけにその皇子の隣にはテジュンまでいて

さも呆れたと言わんばかりの表情で見下ろしてくる

 

でもそうか・・

テジュンってば、ちゃんと皇子についてきてたのね?

安心した~

 

「あの・・・ 変な人は現れなかった?」

 

「・・・ん?」

「変な人?」

 

 

ふたり揃って、不思議そうな顔で見下ろしてきた

 

「あ、現れなかったらいいんだ、別に」

 

 

そうか、気のせいだったか、うんうん

 

 

「ちょっと待て!なんだ?その、変な人というのはー」

 

皇子がツッコミをやめない

だったら話しておこう

何かあったら大変だし・・

 

 

私はさっき、通りの向こうで変な男と目が合ったことのいきさつをふたりに話した

 

 

「なんと?」

「その男は、お前を見て驚いた顔をしたのか?」

 

 

「・・・ ような気がしたんだけど、気のせいだったのかも・・」

 

 

「・・・・・・・・」

「帰るぞ、テジュン」

 

 

考え込んだ様子のテジュンに皇子が声をかけ

 

ぐいっー

 

私は引き寄せられた

 

「帰るまで私の手を離すでないぞ」

 

 

こうして突然訪れた皇子との手繋ぎは、まったくロマンチックなものではなかった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皇子が朝まで寝所を共にしていらっしゃるだと!?」

 

 

「ですからドンハ様、先ほどから何度も私はそのように申し上げております」

 

 

「しかし・・・、その者は本物のユリン姫ではないのであろう?」

 

「そうですがドンハ様、私は思います、いっそこのままユリン様が皇子とー」

 

「ダリ!滅多なことを口にするでない。皇子の妃には、ユリン姫を、と

王様がホラン国王とお決めになったこと。国交を考えると覆せるものではない」

 

「そうですがドンハ様!本物のユリン姫はいまだ行方知れずではありませんか!」

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 

「申し上げますっ!

王様より、ドンハ様に皇子とユリン姫と共に王宮まで帰郷の挨拶にくるように、とのことでございます!」

 

 

 

「・・・ こんなときに、皇子はまだ帰られぬのか!!テジョンまで・・・

私がちょっと留守をするとこれだ。いったいこの宮殿はどうなっているのだ!」

 

「まだまだドンハ様のお力が必要だということですわ?」

 

 

 

「皇子とユリン様がお帰りになられました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「何? ドンハの帰郷の挨拶に、私とユリンも同席せよ、と?」

 

 

宮殿に返ってくるなり、お初にお目にかかるドンハ様から

なめるような視線を張り巡らせられ

不快に思う間もなくそう言い渡された

 

 

「ユリン、大丈夫か?」

 

「・・・ どうだろう?大丈夫かなぁ?」

 

「案ずるな。おまえのことは私が守る」

 

 

ボッ(//・_・//)

 

で、出たよっ

この天然たらしっ(/ω\)

これ、普通に言ってるのっ?

こんなん、日常茶飯事だったらこの国の女の人って

心臓もたないわっ!

もしかして死亡率、高いんじゃないのっ?

 

 

なんて思って顔をあげると

 

口をあけたままのドンハ様と目が合った

 

ぺこりっ

 

「初めまして、ドンハ様ってテジュンのお父様なんですよね?」

 

「王様がお呼びなんですよ?すぐに参りましょう!」

 

「・・・・・・」

 

 

なになに?

感じ悪ぅ~~い

 

歩きながら、後ろにいるテジュンを振り返ると

両手を広げ、肩をあげていた

 

テジュンにもわからないってこと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぁ~

 

この重い扉をあけて中へと入るのは二度目だけど

やっぱり緊張する

 

でも今日は、皇子に繋がれた手が

ぎゅっと力を与えてくれていた

 

 

ドンハ様の挨拶が終わると

王様はにこにこ笑って話を始められた

 

 

「ところで、ユリン姫はずいぶん元気そうではないか。これなら延期していた婚礼の儀も

すぐにでもあげられそうじゃ。」

 

 

 

「え・・・」

 

婚礼の・・ 儀・・?

すぐにでも、ってー

 

 

「いえ、王様。まだユリン殿はー」

 

「ホラン国王も、いらっしゃることになった。」

 

 

 

・・・は?

 

ホラン国王って、ユリン姫のお父様ってことよね?

 

私は思わず皇子を見上げる

 

皇子もこれにはさすがに驚いているようで

何も言えずにいる

 

 

「ドンハも帰ってきたことだし、急ぎ準備をすすめよ」

 

 

「ハッ!!」

 

 

ドンハ様が王様にひれ伏している

 

 

どうする?

どうするの?

ホラン国王が来ちゃったら

絶対私が偽物だってバレる!

 

 

「わかったら下がってよいぞ」

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

皇子・・・!

 

「皇子、下がりましょう!」

 

「王様!申し上げたいことがー」

 

 

えっ?皇子っ?

 

 

「下がれと申した。余はもう寝る。」

 

 

厳しい口調でそれだけ言うと

くるりと身を翻し、王様は向こうへと消えていかれた

 

皇子の言葉に耳など貸さず・・・

 

 

 

「皇子・・ 下がりましょう?」

 

私は、立ち尽くす皇子の腕をとり

 

「作戦を考えなくちゃ、ね?」

 

皇子の顔を覗き込んで笑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーなさるんですかっ!?ホラン国王がいらっしゃったらその者が偽物だということは

すぐにバレてしまいますっ!!」

 

 

「・・ ドンハ、少しボリュームを抑えろ。そんなこと、ここにいる誰もがわかっている」

 

 

ユノ皇子の宮殿に帰ると

テジュンとダリを呼びつけ、政務室で話し合いをすることになった

 

 

「でも本当にどうなさるんです?皇子・・。血を分けたお父上を騙せるはずはございませんよ?」

 

 

「そもそも、皇子はどうしてこのようなことをなさったのですか?私がいない間にこんなっー 私にはさっぱり・・」

 

 

「なんだ?父さん、わからないのか?年だなぁ~」

 

「テジュンっ?おまえっ!この父に向かって何を申すかっ!!」

 

 

・・・え?

何か考えがあってのことだったの?

 

・・ってそうか

当たり前よね

そういえば皇子、言ってたもの

私なんてただの異国の女だ、て前に、不法侵入者だ、って

 

ふふっ・・

 

それが・・・

不法侵入者にこんなによくしてくれるって・・・

 

皇子ったら、本当にいい人なんだから

 

 

ここは私が覚悟を決めるしかないよね

 

 

「皆さん、私が王様に本当のことを話して罰を受けます」

 

 

「え?」

「は?」

「ユリン様っ?」

 

 

「私が、皇子を騙して宮殿に忍び込み、ユリン姫が見つからないのをいいことにすり替わっていたんだと

正直にお話をして、ひとりで罰を受けます」

 

 

「何を言ってるんだ?ユリンっー」

「そんなのっ、死罪になるに決まってますよっ?」

 

私の覚悟に皇子とダリが驚いて声を出す

 

 

「おお~、それがいい。そうすればすべてがまるくおさまる・・・・・ ?なんだ?みんなして・・・」

 

「父さん・・・ 本気で言ってたら俺、殴りますよ?」

 

「は?殴るってテジュンっ!おまえっ、親に向かってー」

 

 

テジュンに伸びたドンハ様の手を

皇子が遮った

 

 

「私はユリンを妃に迎える」

 

 

「うんうん、そうですな?」

 

皇子の言葉を聞いて、満足そうに手を引っ込めたドンハ様

 

 

 

「行方不明のユリン姫ではなく、ここにいるユリンを、だ」

 

 

 

「・・・え?」

 

「皇子っ!」

「皇子っ!!」

 

 

呆けている私

テジュンとダリは声が揃った

 

そして・・・

 

 

「はぁ?何をおっしゃっているのか、私にはよくわかりませんが」

 

 

納得がいかないのはドンハ様

当たり前だ

 

私だってー

 

「何を言ってるの?皇子。私を妃に、なんてー」

 

「嫌か?」

 

 

ドキッ

 

 

「ホラン国王にはすべて正直に話し、今後も忠誠を誓うことを約束してくる」

 

「しかし、ユリン姫が行方不明のまま、ということですと、ホラン国王がどれほどお怒りになるのかー」

 

 

 

 

ぼぉ~・・・

 

さっきから、皇子が皆と話している言葉が

全く頭に入ってこなくって・・・

 

私の中には

 

 

ーー 嫌か?

 

 

あの時の皇子の顔が

 

キラキラ光るお目目が・・・

 

 

はぁ~~~(///∇//)

 

やばいーー(*>ω<*)テレルー

 

 

 

 

 

 

このときの私は

 

きっと

 

舞い上がってしまって

 

色々なことを忘れていたんだと思う・・・