「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

 

ずんずんずんっ

ぐいぐいぐいっ

 

すっごい力で引っ張られてるんですけどっー

 

私の声なんて全然聞こえてないのっ?

必死で体重かけてとどまろうとしてるのに

全部が無駄な抵抗で

 

私はユノ皇子にひきずられていく

 

 

「こんなドレス着せてもらったからって

いきなり陛下に挨拶って、無理ムリ無理ムリむー」

 

「案ずるな。私を含め、本物のユリン殿に会ったことのある者はここにはいない。」

 

「いやいや、いくら会ったことないからって偽物だってすぐにバレ・・」

 

え?

 

「・・・ 会ったこと、ないの?」

 

今、私を含め、って言ったよね?

だって結婚相手なんでしょ?

なのに会ったことないってそんなー

 

 

「いいか?おまえは何もしゃべらなくていい。私の横で下を向いているだけで。」

 

 

ギィーーッ

 

そういうと、彼の左手が大きな扉をあけ

その向こうに数多の人が傅いている様子が目に映る

 

 

「・・・・っ」

 

 

その光景にひるんだ私の手を

ユノ皇子はぎゅっと強く握り

 

「・・・ だいじょうぶだ。すべて私に任せておけ」

 

そういって颯爽と歩いていく

 

私たちは、周りに居並ぶ重臣たちの中を

ふたり、手をつないで・・・

 

あとから思えばなんて間抜けだったんだろうって

本当に恥ずかしくなるんだけど

 

この時の私はとにかくもう

彼の手しか

頼りになるものがなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ こちらがユリン姫と?」

 

 

「はい、陛下。長旅で疲れているところ、取り急ぎ陛下にご挨拶を、と

連れてまいりました」

 

 

跪く皇子のとなりで、同じく跪き、首を垂れるしかない私

 

心臓がバクバク、破裂しそう

さっきチラッとみえたけど、すっごい風格というか

威厳があって・・・

この距離でも威圧される

 

 

「それはまこと、お疲れであったのう。どれ、顔をあげよ」

 

 

 

ビクッ

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

私は、おそるおそる顔をあげ

陛下のお顔を拝顔した

 

 

「・・ 伴のものが襲われたと聞いたが、無事でよかったのう?」

 

 

ビクッー

 

・・・・え?

 

 

繋いだ手から、ユノ皇子の驚きが伝わった

でも一瞬・・

そう、ほんの一瞬だけだった

 

「ええ、ほんとに。陛下がご存知のようなのでこの機会にお願いがございます。」

 

 

・・・ お願い?

 

 

「なんじゃ?申してみよ」

 

「先ほど、陛下がおっしゃったように、姫の一行は何者かに襲われ、ただいま、鋭利捜索中です。が、その際、実は姫はあまりのショックでところどころ記憶をなくしていらっしゃるようでー」

 

 

・・・ は?

 

 

驚いてユノ皇子を見上げると

ふっと目を逸らされた

 

 

「ほう・・・ 記憶を・・?」

 

「つきましては、私と姫の婚礼の儀は、しばらく延期とさせていただきたいのですが」

 

「あいわかった。それもそうじゃ。延期といたそう」

 

「ありがとうございます」

 

 

・・・・ へ?

 

なになに?

そんな簡単な話なの?

 

すごいじゃないの!

そういうことだったのね?

 

なぁ~んだ

あまりにうまくいって、拍子抜けしちゃうっていうか・・・

 

 

「ユリン姫、ゆっくり養生なさるがよい」

 

 

ハッ!!

 

 

「あ、ありがとうございますっ」

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

しまった・・!

元気よく答えすぎてしまった!!

おかげで陛下の目がきょとん、ってなってるーーーー!!

 

「あぁっ・・」

 

 

よろっ・・

 

 

我ながらへたくそ!ってつっこみたくなったけど

しょうがない

 

ユノ皇子の方へとよろけると

 

それを抱きとめ

 

「では陛下。ユリン殿もお疲れのようなので、これにて失礼させていただきます」

 

 

涼しげな表情でそう言って見せた

 

パチパチパチパチ・・・

心の中で拍手をおくる

 

 

お辞儀をして、踵をかえすと、再び扉の方へと歩き始めた私たち

 

ちゃんと歩けているだろうか?

今度こそ・・・

 

一歩一歩を踏みしめながら

近くなる扉を感じる

 

 

 

「・・・ あ~、ユノヤ。」

 

 

 

ビクッー

 

 

扉まであと少し・・

というところで

背中に陛下の声が聞こえた

 

 

「はい」

 

 

ユノ皇子がくるりと陛下の方へと向き直ったので

私も従う

 

 

「ホラン国王には、私の方から延期の旨、お伝えしておこう」

 

 

「・・・ ハッ!よろしくお願いいたします」

 

 

「・・・・ 姫はご無事ですから、とものう・・」

 

 

 

ゾッー

 

 

・・なんだろう?

今・・・

寒気がしたような・・・

 

 

 

「・・ 失礼いたします」

 

 

 

すすす、と後ろ向きのまま下がると

 

大きな扉の向こうへふたりで消えた

 

 

 

 

 

バタン

 

 

 

 

「・・・・ ふぅ~~・・・ 緊張したぁ・・」

 

「まだだ。気を抜くな」

 

 

身体の力が抜けそうになったのを

となりからしっかりつかまれ、持ち上げられる

 

 

「このまま部屋に帰り着くまで、しっかり歩け」

 

「・・・・・・・・」

 

 

誰が見てるかわからないから、ってこと・・?

 

 

「ねぇユノ皇子・・ さっき陛下、知ってたよね?変じゃない?だってあの人、確か陛下にはまだ言ってないってー」

「静かにっー」

 

 

んぐっー

むぎゅ~~って突然顔の前に身体を押し付けられた

 

 

「ユノっ!!」

 

 

・・ 誰か、皇子を呼んだ?

 

 

「ミリョン・・」

 

 

ミリョン?ミリョンって誰?

 

 

「こんなところで抱き合うなんて信じられないな。部屋まで待てなかったの?」

 

 

ん?

抱き合う?

 

 

「私にも紹介してほしいな。第二皇子ユノユノのお妃さまとなる方を^^」

 

 

ぐいっー

 

皇子が離れ、突然視界がひらけた

 

 

「ユリン・・ 第一皇子の、ミリョンだ」

 

 

第一皇子・・・?

 

ってことは、ユノ皇子のお兄様?

 

目の前に立っているこの、麗しい男の人が?

 

 

 

 

「・・ 初めまして。」

 

 

自分でユリン、って名乗るにはまだ抵抗があって

それだけ言うのがやっと・・

 

 

「ようこそ、トンバン王国へ。 ユノはモテるから、この宮廷中の女官たちがショックを受けてたよ?あなたとの結婚が決まって」

 

 

「・・・っ!!!?」

 

 

 

想像以上に気さく??

 

にこっと笑った顔にほだされそうな・・・

 

 

「まぁミリョン様?そんなことをおっしゃっては、お気の毒ですわ」

 

 

え?

今、どこから現れた?

この綺麗な女の人・・・

 

 

「まるでこの方が皆に歓迎されてないかのようじゃありませんか!」

 

 

「・・・・・・・」

 

 

こわっ

 

こわこわっ

 

いるよねー

絶対・・

こういう人!!

 

・・・でも、ミリョン皇子の腕に手を回してるってことは・・・

 

 

「ヨンア、私はそんなことは言ってないよ?ユリン殿、失礼したね、私の妃が」

 

「いえっ、ぜんぜんっ、そんなことは・・」

 

 

ーー 私の妃

 

やっぱり・・!!

 

 

「ミリョン、もういいかな、ユリンは疲れてるから、早く休ませたいんだ」

 

 

あーーーっ!!ユノ皇子っ!

そうだったそうだった

私は疲れているのよっ

 

 

「あぁっ・・」

 

 

ふらっ

 

 

(本日二度目)

 

 

ユノ皇子の元へと倒れこむと

そんな私を支えるようにして皇子が歩き出す

 

 

「失礼するよ」

 

 

 

去り際、私も一度、ふたりに向かってお辞儀をした

 

 

 

 

あ~・・・

 

聞きたいことが頭のなかいっぱいなんだけど・・・

 

とにかくやっぱり休みたい

 

 

 

 

 

 

 

つづく・・・

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

とまぁこんな感じで・・・

 

実はユノさんのファンタジー

 

もう、色々めいっぱい続きが浮かんじゃってるんです

あとは私がせっせとカキカキして

 

そして続きを考えなきゃ!