「・・・え?ここ?」
車が止まった
「そう、ここ。 さ、運ぶの手伝って」
ガチャ
車を降りて後部座席のドアを開ける
車の音がして気づいたのか
(結構な音がして走る車です)
建物の中から人が出てきた
「チャンミンっ ごめんねっ、いつもありがとー!」
彼に駆け寄ってきたのは
背が低くて可愛い女の子だった
「いや、みんなのぶん、あるといいんだけど・・」
「そんなの気にしないで!明日のおやつの時間は大喜びだわ、きっと。
園長先生だって申し訳ないって言ってるのよ?いつもこんなに・・」
「どうせ食べきれないんだからいいんだって」
ふたりの会話を聞いて、だいたいのことは理解した
さっきせっせと詰めなおしたのは
ここの子供たちにプレゼントするためだったのか
あ~、だからか!
ーー お酒入りのやつは、嫌です
あんなこと言ってたのは・・・
「あ、運ぶの手伝うよ?」
「大丈夫、今日は助っ人連れてきたから。」
突然こっちに視線が飛んできてびっくりした
「・・・ どうも。こんばんは」
段ボール箱を抱えて、ひとつ会釈をすると
目が合った彼女は、一瞬びくっとなり
やがて顔いっぱいに広がる可愛い笑顔で
「こんばんはぁ、ありがとうございます!」
女の私の心さえ、きゅんって撃ちぬいてきた
こりゃ、やられるはずだわ・・・
手に持っている段ボール箱の中身を彼に渡した女性たちを
思わず憐れんでしまう・・・
そういうことね
可愛くてか弱い彼女には、運ばせられないよ、ってね
はいはい、いくらでも運びますよ~
だってこれ、チョコだもん
軽いもんですよ
「あれ?これ・・・ もう、包みなおしてあるんだ?」
運び終えた段ボール箱の蓋をあけ
覗き込んだ彼女が驚いてそう声をあげた
残っていた他の保育士さんたちもやってくる
「まぁ、こんなに可愛く!」
「これ、貴女が?」
そんな手に取って感動されるほどのものじゃあ・・////
「まぁ・・ っていうか、私だけじゃなくてー」
彼と一緒に、って言おうと振り向いたら
「チャンミン、ちょっとあっちで手伝ってほしいことがあるんだけどー」
彼はあの子に引っ張られていた
くるっ
「なんか、やり始めたらこういうの楽しく出来ちゃって・・
もしかして私、向いてるんじゃないかな~?なんて・・」
「まぁ!ほんとにっ?」
「いつも誕生会のプレゼントを包むのが難しくて困ってるのよ」
「包装頼むとそんなに可愛くはできませんもんね~?」
誕生会のプレゼント・・・
「あの、よかったらそれ、私、手伝いましょうか?」
「まぁっ!いいの~?」
「助かるわっ!」
「月一回なんだけど、来てもらえる?今日みたいな時間でいいのよ」
「そうそう、誕生会の前の日にでも、ちょこっと来てもらえたら」
「それくらいなら・・ はい、大丈夫です」
いいよね?
こんなに喜んでもらえるんだったら・・・
「どれだけお人好しなんですか」
ビクッ
突然背後から声がして驚いた
「すみません、この人、そんなに暇じゃないー」
「大丈夫よ、それくらい。だって皆さん、困っておられるし」
「だからって毎月ここに来るっていうんですか?」
「いいじゃない、キミだって彼女に会えるし」
「・・・はぁ?」
「だって、連れてきてくれるんでしょ?え?まさか、私にひとりで来いと?元々キミがー」
「ああぁー、ハイハイ、わかりました。連れてきますよ」
観念しました、という彼のセリフを聞き
保育士さんたちとハイタッチ
「え?チャンミン、毎月来てくれるの?」
彼の後ろから、ひょこっと彼女が現れた
そう、今まで気づかなかったのだ
彼女はすっぽり彼の後ろに隠れて見えなかったから
小さくて可愛い彼女・・・
「らしいな。・・・・ じゃあ、今日はこれで失礼します。行きますよ」
あ、私?
とばかりに、自分で自分を指さした
チャンミンくんがうんうん、とうなずく
若干厳しい視線で
「じゃあ、失礼します・・」
ありがとうね~
という保育士さんたちの言葉を背に
チャンミンくんを追いかける
「お姉さんっ!!」
突然、背後からひときわ大きく呼ばれた
その声の主はおそらく彼女・・
だろうと思いつつ振り向くと
「今日は本当にありがとうございましたぁ!」
「・・・・・//////」
またあの笑みだった
つづく・・・?(笑)