「おかえり~、ご飯、食べる~?」
「・・ただいま」
おかあさま・・・
独身の一人娘が朝帰りだというのに、そのテンションですか
「昨夜はサラちゃんとこに泊まらせてもらったの?」
ドキッ
「あ・・・ うん」
なんだ
サラとユイと飲むからって言ってたもんね
「だろうとは思ったけど一応連絡ぐらい、しなさいよね。心配するから」
「ごめんなさい」
心配してくれてた
ごめんなさい
しかも、サラのところじゃありません
「それにしても、彼氏のところにお泊り~、なんていつになったら聞けるのかしら?
おかしいわね~ そんなに悪い物件じゃないと思うんだけど・・・」
親ばかです、それ
「じゃあ私、昨夜お風呂入ってないからシャワーするね?」
ふぅ~・・・
ジンくんのところに泊まったっていうのは
分類すると、何になるんだろう?
男友達?
・・とはなんか違う気がするし
ーー ダメじゃん。一人暮らしの男の部屋、のこのこついてきたら
ドキッとした
あのとき・・・
私・・
勝手にあのとき、ジンくんのこと、男の人だって意識しちゃった
ジンくんは・・?
どんな気持ちであのセリフを言ったのかな・・
私のこと、少しは女だと思ってくれてたり・・・
「するわけないか」
一晩、一緒に過ごしても何もなかったんだから
ドライヤーで髪を乾かしながら
ベッドに投げ出したスマホを手に取ってみる
ジンくんからラインが来ていてビックリ
『なんで何も言わずに帰っちゃったの?』
くすっ
『寝てたから、起こすのかわいそうだと思って』
返信したらすぐに既読がついて
電話が鳴りだした
「え?どうしたのっ?」
「・・ 今、何してるの?」
電話越しに聞く声って、新鮮だね
って、そもそも普通の会話も昨日が何年ぶりかだったわけだけど
「髪、乾かしてる。さっきシャワーしたとこー」
「エリ~~ ごはん、盛っていいのぉ~~~?」
ビクッ
一階から、お母さんの声が響いた
私は電話を押さえながら離して
「待って~ あとで自分でするから~~」
お母さんに向けて言い放った
「・・・・ ずっるぅ~・・ 自分だけご飯、食べるんだ」
耳元でボソッとしゃべる声
「聞こえた?・・・よね」
「おなか減った~ 俺もご飯食べたい」
「何かないの?」
「作ってよ」
ドキュンッ
「えっ?なっ?////////・・ はっ?」
作ってよ、って言った?今・・
「私、さっきそこから帰ってきたとこー」
「食べずに待ってるから」
ドキッ
待ってる、って言った?
「待ってるって言われてもあの・・」
ブツッー
・・・切れた?
くる・・・ かな?
「ハァ~~・・」
すげえ強引
必死じゃん、オレ
♪♪♪~~~
ダメダメ、かけなおしてきたって出ないよ
ピコンッ
ピコンッ、ピコンッ
あーもうっ、なんだよ
来れないっての見たくないっつーの!!
「・・・・・・・・」
それでも手に取ってみてしまうオレ
『簡単なものしか作れないよ』
『材料も買って行くから、ほんと待たせるよ?いい?』
やば・・////
慌てて左手を動かす
『全然大丈夫。待ってる』 既読
ピコンッ
『なるべく急いで行くね』
やばい/////
ピコンッ
ピコンッ
『アパート、わからなかったら電話するから』
『ちゃんと出てよ?』
なんだ?これ・・/////
『りょ』 既読
「・・・顔がにやける////」
ピンポーーーン
「・・・え?」
いくらなんでも早すぎ・・・
ピンポンピンポンピンポーーン
ガチャ
「・・・ タツキ?」
「えへ。来ちゃった♪」
ドアをあけると、ニコッと微笑む親友のタツキが立っていた
「・・・ 来ちゃった、じゃねーよ。何しに来たんだよ」
「ひっでぇー。お昼まだだろ?買ってきた」
コンビニ弁当の入ったビニール袋を掲げて見せる
「いや、大丈夫」
グゥ~~
キュルルルゥ~
・・・ なんってタイミングの悪い・・・
「なぁ~に遠慮してんだよ。え?あ、おまえ、まさかー」
そういうと、ドア越しに玄関の下へと視線を馳せ
どうやら靴を確認しているらしい
「なんだ、もしかして女でもいるのかと思ったじゃん。あがるぞ?」
「あ、おいっ、タツキッー」
ずかずかと、勝手知ったる・・とばかりに上がり込むタツキ
そうだ、そうだよな
いつもならそうだ
でも今日はー
「・・・・・・」
ダメだ・・
今からエリが来るなんて言ったら、ますますアイツ、帰らないぞ
となると
ここはちゃちゃっと食べて、とっとと帰ってもらうしか・・・
俺は覚悟を決めて、ドアを閉めた
「昨日さ、あのあと・・ お前に彼女がいるからって振られたって子がいたんだけど何?
そういう断り方してたっけ?」
「・・・・・・・」
あの子か
二次会行ったんだな
「そもそも、昨日はいったい誰をお持ち帰りしたんだ?・・って、してないか。いないもんな」
「バーカ、もう帰ったんだって」
「え?」
あ・・・
しまった・・!!
「あ、いやー」
「ええーーっ!!!ジンっ?マジかっ?えっ?じゃ、シたのかっ?」
「シてねーよっ!」
「はぁ?意味わかんねーんだけど・・ おまえ、さっきお持ち帰りしたって・・」
あーー、まずった・・
「・・ それよりお前さ、もう食べたんだからさっさと帰れ」
「いーや、まだ帰らないね。今まで何度合コン出てもぜんっぜん彼女作んなかったお前がお持ち帰りなんて・・詳しく聞くまではー・・って、あれ?でも昨夜は女の子みんなカラオケ来てたけど・・・誰だ?おまえがお持ち帰りしたって子は・・」
「・・・ 今度ゆっくり話すから。今日のところはー」
ピンポーーン・・
ビクッ
「ん~? 誰だ?」
タツキが反応する
やばい・・・
時間的にもそろそろ・・ だよな?
「さあ?・・ 何かのセールスかな?ちょっと見てくるわ」
俺は立ち上がると、玄関まで行き
ガチャ
ドアを開け、そのままするりと外へ出た
バタン
「ごめん、遅くなって!なんかね?見てたら色々食べたくなっちゃって・・食後のデザートとかまで買ってきちゃった。ダメだよね~お腹減ってるときに買い物すると・・」
何だか恥ずかしくって、照れ隠しに一気にまくし立てた
「あのさ、エリ、・・・・ 悪いんだけど・・」
ジンくんの後ろ手に閉められたドア
「・・・・・・・」
もしかして・・ 誰かいるの?
「友達が・・ 来ちゃってて・・」
ジンくん、焦ってる?
ってことは・・・
女の子?
か~・・
「そっか、うん、わかった。じゃあ帰るね」
ふっざけるなぁーー!!
こっちは、一度帰ったのを、もう一度買い物して戻ってきてやったんだぞぉーー!!
なんてはらわたが煮えくり返ってることなんて
微塵も出さないわよ?
「・・・・ いや。やっぱ、それは無理」
「え・・?」
ジンくん、何かブツブツ独り言を言いながら考え込んでる・・?
「変な奴がいるけど、我慢して。すぐ帰すから」
そういうと、私が持っていた買い物袋を奪い取り
「中、入って?」
ドアを開けた
「いいの・・?」
いやよ~
若い女の子にぶたれるのは・・・
おずおずと、ドアの中へと入ると
玄関に今朝は見なかった大きなスニーカーが見えた
靴を脱いで、ジンくんの後ろをついていく
「ジン?セールス、しつこかったのか?結構時間かかって・・・
え?・・ ええーーっ?」
男の子だ・・!
「ど・・ どうも。初めまして。」
驚いて口を開けてる彼にそう言ってペコリと挨拶をする
「ねぇジンくん?本当にいいの?やっぱり私、帰ろうか?」
お友達・・
男の子だった・・
ホッとしてる、私・・
「タツキ。そういうわけだから、悪いけどおまえ、もう帰って」
「あ、あぁ、わかった・・ そうだよな、うん。じゃあ、失礼します」ぺこり
彼は私に一度お辞儀をすると、ささっと帰っていった
・・・ そういうわけだから・・?って・・?
「ねぇジンくん、よかったの?あの人、何か誤解するんじゃ?」
「いいんだよ」
ジンくんが、テーブルの上を片付けている
・・って、コンビニ弁当の空き容器じゃないっ?
「ひっどぉーーーい!それ!!食べてるじゃーーん!!」
思わず声が出た
「これはっ、あいつが勝手に持ってきてー」
「やっぱり私が帰ればよかったじゃないの。ねぇ、今からでもー」
・・・・え?
今・・・
何が起きてますか・・・?
首の後ろから、ジンくんの両腕が伸びてきて
前で組まれて
私はしっかりホールドされちゃってます・・・・
ドックン、ドックン、ドックン、・・・・
「ジンくん・・・?」
「・・・ やだ」
後頭部にジンくんの頭・・?
ぐりぐりぐりって
ドックン、ドックン、ドックン、・・・
もしかして・・?
いやいや、違う違う
あるわけないし
頭の中に浮かんだ仮説を何度も否定しては
また考えちゃってる
ジンくんは5つも年下だし
カテキョの生徒だったし
そもそもこんな、超絶イケメンが29歳の私なんかに・・・
うぬぼれるなって何度も何度も思うけど
それをも覆させてしまうこの状況がー
「えと・・ ジンくん?離してくれないと私、勘違いしちゃいそうで・・」
「・・ じゃないよ」
え・・?
ちゅっ
「ひゃっー」
くっ、首筋に今っ、生暖かいっ/// 唇がっ?
「・・・ いい匂いがする」
ドキュンッ
「だってそれは・・ 帰ってからシャワーしてシャンプーしたばっかだったし・・」
ドックンドックンドックン・・
さっきより速い
グゥ~~~~
ギュルルルル~~
「wwwwwwwww」
「・・・ すっごい音。エリ、食べてないの?」
「そっ、そうだよ!?・・・ ジンくんが待ってるって言うからー」
急いで来たんだってば・・!!
ふわっ
突然訪れた解放感に、寂しく思う私は痛いですか?
「じゃあ、僕が作ってあげる」 にこっ
・・・ きゅんっ
なに?それ・・・
僕、ってかわいいしっ
にこっ、てなんなのよっ!!
「作ってあげるって・・・え?私が作るんじゃなくて・・?」
「それはまた今度ってことで」
・・・・ 今度・・!?
「エリは適当に寛いでて・・・」
ずっきゅーーーーん・・・
ジンくん・・・
私を萌え死にさせる気ですか?
料理もできる超絶イケメンですか・・・
キミに欠点ってあるのかな?
あなたの彼女になる人って、すっごい大変そうね
でもちょっと・・・
羨ましい・・・
つづく・・・
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
はい、とっても長くてすみません
途中で切ろうかとも思ったんですが・・・
そして、更新がとっても順不同ですみません
「想定外。」を楽しみにしてくださってる方には
特に申し訳ないです
ごめんなさいね
今回もたっきぃさまのイラストがすごい破壊力でしょ?
ふふふ
いつもありがとうございます

