「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

大画面のテレビスクリーンに、流れるエンドロールを見つめながら

ボクは大きくため息をついた

 

 

いったい、何をしているんだろう?

 

 

 

 

あの人は、別荘に着くなり

 

「ごめん、チャンミン。実は今日中にやらないといけない仕事がまだ片付いてないんだ。

すぐにやってしまうから、その間、好きなDVDでも見ておいて!」

 

 

そういって、自分の書斎?仕事部屋?へと思われるところへと消えていった

 

 

 

そんなに仕事が忙しいのなら

わざわざ僕を迎えに来てまで

一緒に過ごす必要はないのでは?

 

 

映画まるまる1本分、待たされている

 

 

ってなんだ?これ・・・

 

まるであの人にかまってもらえなくて拗ねてるみたいだ

 

 

 

もともと、好きに過ごせばいい、と言われてた

 

今日は、リュックに着替えを持ってきていたので

先週よりは寛げてるけど・・・

 

そういう問題じゃない

 

 

ボクがここにいる必要ってあるんだろうか?

 

 

やっぱりこんなの、変だよ

帰らせてもらおう

 

 

リモコンでテレビのスイッチを切ると

ボクはゆっくりと立ち上がった

 

 

 

あの人がいるだろう部屋の前にたつと

 

コンコンっとノックをする

 

 

 

「あのっ・・ 僕です。すみません、お仕事が忙しいようなので帰りますね。」

 

 

 

ドア越しにそれだけ言うと

 

部屋から離れた

 

 

 

 

ガチャッー

 

「えっ?ごめっ、チャンミナッー 待ってっー」

 

 

 

・・・えっ?

 

 

 

すごい勢いで開いたドアから

あの人が飛び出してきて

 

 

あっという間に1メートル先にいる僕を捕らえた

 

 

 

「・・・ 悪かった。つい、仕事に没頭してしまって・・・

あともう少しで終わりそうなんだ」

 

 

「いや、あの・・・」

 

 

 

そんなに謝らないで

 

仕事が大事なのは当たり前じゃないですか

 

それなのに、ボクなんかに、そんなに一生懸命謝られると・・・

 

 

「いいんです、どうか仕事してください。僕がいると迷惑かと思ってー」

 

「迷惑?そんなわけないだろうっ?」

 

 

 

ドキッ

 

 

迷惑じゃないって言われてどこかで喜んでる

 

なんだよ、ほんと・・・

 

 

「でも・・・・」

 

「君と過ごすことを楽しみに、一週間、頑張ってきたんだ。

頼むから帰るなんて言わないで。もう少し待っててくれないか?」

 

 

 

・・・ な・・/////

 

なに?

この人・・////

 

 

ボクと過ごすことを楽しみに?

 

一週間、頑張ってきた、って???

 

そんなのっ、まるで恋人に言うみたいにー/////

 

 

どうしてそういうこと、真顔で言えたりするんだっ?

 

 

 

 

 

「わ・・ かりました。」

 

 

 

帰るなんて言えるわけないだろ

 

とはいえ、返事をしてから恥ずかしさがこみ上げてきた

 

 

 

「映画は見終わったの?」

 

「・・・ はい」

 

「そっか・・ ほかに何かないかな・・」

 

 

彼の後ろについて、書斎へと入ると

ボクは目を瞠った

 

 

 

「うわっ・・ 」

 

 

壁伝いにズラリと並べられた本棚に詰まった書籍の数々

 

「ちょっと見てもいいですかっ?」

 

「え?あぁ・・ もちろん」

 

 

興奮するボクに充てられたかのように

返事が聞こえた

 

でも僕は、その返事など待たずにもう駆け出していた

 

 

本棚にたっぷり詰まった書籍たち

 

手を添え、なぞっていく・・・

 

「わっ!これっ・・ 確かもう絶版になってたやつ・・・」

 

前に読みたいと思ったけど、諦めたやつだ

 

「すごいっ、これっ、読んでもいいですかっ?」

 

 

 

くるっと振り返ると

 

あの人は、とても優しく微笑んで

 

「もちろん。・・・ 好きなだけどうぞ」

 

そういってくれた

 

 

 

あ~

 

ここは宝の山だ

 

 

ボクは手に取った本をもって

ソファへと座り込んだ

 

 

それを見て

彼が自分のデスクについたことを

チラッと視界の隅で確認しながら・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パタンと本を閉じ

 

あ~、面白かった~

と余韻に浸りながら大きく深呼吸をすると

 

部屋の中に人の気配がないことに気づいてハッとした

彼がいるはずのデスク方向へと視線を馳せる

 

 

・・・ いない?

 

 

 

慌ててソファから起き上がり

部屋のドアをあける

 

 

映画を見たリビングへと進んでいくと

 

 

何やら人の話し声が聞こえてきた

 

 

・・・・ テレビの声?

 

それとも・・・

 

誰かいるの?

 

 

彼以外の誰かがいるのだとしたら

ボクはこの格好で現れてはいけないのでは・・?

 

 

慎重に、足音をたてないようにゆっくり歩き

リビングを覗き込む

 

 

 

テレビがついていた

 

 

 

どうやら聞こえてきた声はそこからだと確認すると

リビングの扉を開けた

 

 

ガチャリ

 

 

 

あの人の姿を探す

 

 

 

 

 

・・・・ いた

 

 

 

 

 

大きなソファに横たわって、眠っている・・・?

 

 

 

 

ゆっくりと近づいていく

 

 

 

すぐそばまできて、上から見下ろしてみる

 

 

 

 

腕を顔の上におき

 

長い脚を、片膝を立てるようにして

 

彼は眠っていた

 

 

 

 

もしかして・・・

とても無理をしたのかな?

 

昨日は徹夜だったとか・・?

 

 

ボクと過ごすことを楽しみに、なんて・・・

 

どれだけ娯楽がないんだ?この人

 

 

 

「・・・ ん。」

 

 

 

ビクッ

 

 

彼が目を覚ました

 

「あ、悪い。寝てしまってた・・・」

 

部屋の灯りを眩しそうにしながらそういう彼に

 

 

「とてもお疲れなんですね。でも、謝らないでください。」

 

 

ボクは上から笑って声をかける

 

 

「今日は、謝ってばかりですよね?」

 

 

「・・・・ 今、何時だ・・?」

 

 

「え?」

 

 

 

言われてボクも驚いた

 

そういえば、ここにきてから時間を確認していなかった

 

一面の窓にはカーテンがしっかり閉められていて

外の様子がわからない

 

でも、なんとなく感じる雰囲気が・・・

 

 

 

携帯はリュックの中だ

 

「この部屋、時計はー」

 

 

見回して発見した時計の表示する時刻を確認し

目を疑った

 

 

「・・・ 1時・・18分?」

 

 

どう考えてもそれは昼じゃないですよねっ?

 

僕は慌てて、ソファの傍らに無造作に置かれたリュックの中から

携帯を探し出すと

 

 

数件の不在着信を確認する

 

母さん・・・

 

ヌナ・・・

 

父さん・・・

 

 

 

「すまない、俺が寝てしまったために・・・ こんなに遅くなってしまって・・」

 

 

 

どうしよう?

 

どうしたら?

 

頭が働かないっ・・

 

 

 

「こんな遅くだが、送って行ったほうがよければ送って行く。

もし泊まるというのなら、それでもかまわない。」

 

 

「泊まるっ?」

 

 

「あ、いや・・。とりあえず、連絡したほうがいい。変わったほうがよければいつでもかわるから、声をかけてくれ。」

 

 

「・・・はい」

 

 

 

どうしよう

 

ボクはこんな遅くなるまで、本に没頭してしまっていたのか・・!!

大失敗だ・・

 

長いコール音のあと

母さんが電話の向こうに出た

 

 

「・・・ 母さん?ボクだけど・・」

 

『チャンミンっ?あなたっ、大丈夫なのっ?無事なのっ?事故とかに遭ったりしてないのねっ?』

 

「あぁ、大丈夫。ごめん、連絡しなくて・・。」

 

『無事ならいいんだけど・・ その・・、もしかしてまだ・・、一緒なの?」

 

 

母さんの問いかけに

思わず視線を彼へと飛ばすと

 

かわろうか?という視線を送り返してくれた

 

手を振って断る

 

 

「あー、うん。・・・ そう」

 

 

ボクがそう答えると

電話の向こうで母さんが息を飲み込むのがわかった

 

 

『ねぇチャンミン・・ 母さんは、何があってもあなたの味方よ?』

 

「・・はい?」

 

 

何があっても僕の味方って、そんなの当たり前・・

 

ああああああああああぁぁぁぁl

 

 

「ご、誤解ですっ、母さん!!」

 

『誤解って、何が?いいのよ、チャンミン・・ 電話に出ることもできないほど・・だったのね?』

 

 

カァアァァァァァーーーッ

 

「ちっ、違うっ、って!!」

 

『あなたの元気な声を聞いて安心したわ。無事ならいいの。じゃあ、明日は明るいうちに帰ってくるのよ?おやすみなさいーー』ブチッ

 

「母さんっ!?」

 

 

切られてる・・・

 

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 

「どうした?チャンミン・・・ お母さま、なんだって?」

 

 

 

 

 

どうしよう・・・

 

 

 

どうしたら・・?

 

 

 

 

 

 

ボクはゆっくり振り返ると

 

 

 

 

 

 

「すみません・・ 今夜、泊めてもらってもいいですか?」

 

 

 

 

 

あの人に聞いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく・・・

 

 

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お久しぶりです

 

チャンミンで妄想、想定外。も終わり

 

あとはこのお話だけ・・

 

 

時の流れも忘れるくらい、読書に没頭したことありますか?

 

読書の秋ですよね~

 

私、ありますよ

 

気づいたらすっごい時間だった

 

ってこと・・・

 

 

だから、こんな展開(笑)

 

 

さあ、ふたりの初めての夜です

 

 

 

ってきっと、何もないんでしょうけどね・・・・