「えー、あのイケメン、帰っちゃったのぉ~?もう一度見たかったのにぃ~」
何言ってるんですか、ヌナ!
あなたはだいたい、出てこれないんだからね
・・って、バレてるんですけど・・・
「それでチャミナ、今日も・・ 大丈夫だったの?」
ヌナがボクを覗き見るように見上げて聞いてきた
その探る視線に思わず
どきっ
「う、うん・・ 何とか?」
ほんとは全然だめで、バレちゃったんですけどね
「じゃあまた会うの?」
「う、うん・・ 多分」
ーー じゃあ、また来週
「えええーーっ、それって大丈夫なのっ?」
「な、何がっ!?」
ヌナの大声に、母さんも
「チャンミンなの?おかえり~」と言いながら、こっちにやってきた
「だって、向こうはチャミナのこと気に入ってるってことでしょっ?
しかも、女として!!それでこれからも会うってことはー」
「・・・!!!!!」
ヌナの言わんとすることがわかった
わかってしまった
「あー、・・それなら だいじょ」
「どーするのっ!!そんなことっ!!そしたら男だってバレちゃうじゃないのっ!!」
だからもう、バレてるんだってば!
「母さー」
「どうしましょう!!パパが・・ パパがクビになっちゃうわっ」
「ええーーーっ 困るっ!!」
「いやいやあの、それは大丈夫だから」
「は?」「なんで?」
「・・・・・」
2人の問い詰めるような視線
「・・・・ なんとなく?」
すっとぼけるしかない・・
「はぁ~?何よ、それ」
「そうよそうよ、なんとなくなんて全然説得力ないわよっ」
そりゃそうだ
2人は、全く納得がいかない、とばかりに僕に詰め寄ってきた
「どうした?皆、騒々しいな・・・」
パンツ一枚姿の父さんが、タオルを首から下げ、現れると
2人の視線は一気にそっちへと注がれ
「パパッ!!」
「まぁパパ!お風呂から上がったら服を着てください、っていつも言ってるじゃないですか!」
矢継早に父さんを攻め立てる
「・・・ なんだ、チャンミン、帰ってたのか」
そんなことお構いなしに父さんがボクに声をかけた
「うん、ただいま。・・ ボクもお風呂、入ってきます」
助かった
胸を撫で下ろしながら、自室へ着替えを取りに行った
「ねぇ、パパ、ママ?・・ チャンミン、女の子みたいに見えなかった?」
「あら、ジスも?ママだけかと思ってドキっとしちゃったわ」
なんて会話がされていたなんて
思いもよらずに
はぁ~・・
それにしても、そうか
2人で会うってことは
そんなふうに思われてしまうってことか
でも、実際には
あの人はボクのことを男だってわかってるわけだから
そんな問題はないはずなんだけど・・・
ボクはお見合いをしてからの
交際相手という設定なわけだから・・・
まわりからすれば、そういうこと・・・
いやいや、それは男と女だって場合で
ぼくは、ベッドに座り
伸ばした足を、ぶらんぶらんと振ってみる
お風呂で、水にふやけた絆創膏が
やっとの思いで小指に貼りついてる感じがする
(画像、お借りしました。ありがとうございます)
誰かにあんなふうに足を洗ってもらったのなんて
初めてだ・・・
あの人は
誰にでもああなのかな
・・・ なんだろうな
ベッド脇においたスマホが目にとまった
何かあったときのために、と帰り際に連絡先を交換した
ボクは手にとると、あの人の番号をスクロールする
さっき、おやすみなさいって言いそびれたから
電話・・・・
してみる?
いやいや、そんなことで電話なんて
あの人忙しそうだったし
もしかして、ボクを送ってから仕事してるかもしれない
いや、もしかしてじゃなくて
絶対そうだ、って気がする
じゃあせめて
メッセージをおくっておく?
『おやすみなさい』
入力してみると、たったそれだけを送るのは
何だか変な気がしてきた
お礼は言った
とすれば他に言うことなんて・・・
「あーっ、もうっ!やめたっ!!」
ポイッー
スマホをベッドに放り投げる
なんだよっ、もうっ
半ば やけくそ気味にベッドに身を投げ出すと
その反動でスマホがこっちに飛んできた
ブーブーブーブー
電話?
手に取って画面を確認して心臓が跳ねた
「はっ、はいっー」
慌てて身を起こし、電話に出る
「あ、チャンミナ?ごめん、寝てた?」
「いえ、まだ。大丈夫です」
初めて聞く電話越しの声
電話だと、こんな感じなんだ・・・
「ご両親に挨拶しないで帰っちゃったけど、大丈夫だったかな?」
え?
そんなことでわざわざ・・・?
「大丈夫ですよー、そんな・・」
「これからのこともあるから、きちんと挨拶しておくべきだった、って
帰ってから気づいてー」
「これからのこと?」
「あぁ、だって、おつきあいさせていただくことになったわけだし・・」
ボッ(//・_・//)
「お、おつきあいって・・・あっ、姉のふりをして、ってことですよね?」
「ん?あぁ・・」
ゴクッ・・
びっくりした、びっくりした、びっくりしたぁーーー!!
そんなっ、挨拶なんかしたらっ・・・
ーー 大丈夫なのぉ~?
ヌナの声が聞こえてきそうだっ/////
「だ、大丈夫ですっ!そのへんは、ボクがうまく言っておきますからっ」
「そう?」
「はいっ、まかせてください!」
「じゃあ、まかせようかな」
「・・・ はい」
どうしよう
あ、そうだ
おやすみなさい、って言わなきゃ
「あのっ・・」
「ん?」
・・・ あれ?
変だな
なんか・・・
まだ切りたく・・・
「お仕事・・ 大丈夫でしたか?」
「あ、ごめん、もしかして聞こえた?
オレ、バッサバサ資料めくる音、結構煩いって言われるんだよな~・・」
仕事してるのっ!?今っ?
「いやいや、ぜんっぜんうるさくないし、聞こえてません!!
でも、仕事中だったんですねっ?すみませんっ」
「なに?なんでキミが謝るの?全然悪くないのに」
「え?だって、僕のせいで今日、仕事がー」
「仕事なんて、いつでもたくさんあるから。ないより結構。嬉しい悲鳴だよ」
「そう・・ ですか?」
「それに電話したの、オレの方だし」
「あ・・・」
んふ、って
電話の向こうで軽く笑う声が漏れ聞こえた気がした
そしてそれがとても・・・
とても・・
「来週も、仕事がたくさんあるんじゃないですか?」
「あー・・ なるべく片付けておくよ」
「ムリしないでくださいね?」
「大丈夫。好きでやってるから」
え・・?
ドキッてした
ボクの心臓・・・
「すごいですね、好きなことを仕事にできる人間って、数少ないって言いますよ?」
「そうだな。じゃあオレはきっと、すごい幸せ者なんだな」
「・・・・・・」
ほんとにすごいな
そんなことをはっきり言えるなんて
「チャンミンは?」
ドキッ
なんだろう?
いちいちドキドキしちゃうなんて
この人の声が変なんだ
「ボクはそんな・・・ それほどでもないです、多分」
「そうか?」
「はい・・」
そんな自信を持って好きだと言えるほど・・・
ハッ
なんか、わけもわからない話をつらつらと・・
この人、仕事中なんでしたよね?
「あのっ・・ おやすみなさい」
「えっ? どうした?急に・・・・って、そうか、もう遅いんだった」
「さっき言えなかったから・・」
「え?・・さっき?」
「車で・・ 送ってもらったとき・・」
「あ~。そうか、そうだな。聞いてなかった」
ふぅ~
言えた・・
今度はちゃんと
「うん、おやすみ、チャンミナ。」
「おやすみなさい・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・? えと・・ じゃあ。」
「あぁ、じゃあ、・・・ また」
「はい。」
「・・・・・・・・」
「・・・? あの・・ 切らないんですか?」
「ん?あぁ、切っていいよ?」
「・・・・・・・」
切っていいよ、ってそんな・・
ボクが先に切るなんて、何だか失礼じゃないですかっ
「そっちから切ってくださいよっ」
「え?あ、そうなのっ?じゃあ・・」
プチッ
「・・・・・・・・」
なんだよ
急に・・
あっけないじゃないですか
っていうか、なんですかっ、これ
変な汗かいた・・・
「・・・ シャワー浴びよう」
つづく・・・
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
。+.。ヽ(*>∀<*)ノ。.+。キャハッ
やだわやだわっ
いくらでも続くわ・・ (笑)
ごめんなさい・・・
こんなとりとめもないお話で(/ω\)
