「よかったーーー、チャンミンっ!まだ残ってたっ!!!」

 

 

気がつくと自分のフロアには残っている人が数えるほどになっていて

私は慌てて、近くに住んでいる同僚のいるひとつ上のフロアに走った

 

 

帰ろうとしている同僚の姿を発見してホッとし

駆け上がってきたために少しだけ切れた息を整える

 

 

 

「なぁ~にっが、よかったぁー、だ!!

前から言ってるだろう?残業するのも仕方ないが

終電は逃さないようにしろって。」

 

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「・・・・オレは成瀬の運転手じゃあないからな?」

 

 

「ええーー、そんなこと言わないでよ・・

いいじゃん、近所に住んでる同期のよしみでっ

今月もうピンチでタクシー代なんて無理っ!!ビジホも無理ですっ」

 

 

私は両手を合わせ、すりすりしながら拝みこむ

 

「お願いっ、チャンミンさまっ!」

 

 

彼の大きな溜息がひとつ聞こえた

 

「・・・ 5分後に下の駐車場な?」

 

 

「ありがとうっ!!!!」

 

 

そうなのだ

彼はいつも厳しいことを言うんだけど

結局優しい

 

そこにつけ込む私の方が悪い奴

 

 

「5分後ねっ?わかった!!」

 

私が敬礼をして走ると

後ろから、転ぶなよ、という声がぼそっと聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば堤からメールきてたけど、・・・見た?」

 

 

車中で運転中のチャンミンからの質問に

 

 

「あ、携帯・・・」

 

 

残業中、全然携帯を見ていなかったことに気付く

 

彼が堤と呼んだのは、同期の堤貴之のことで

私にもメールが来てるか聞くってことは

あとひとりを含めた同期での集まりのお誘いかな?

 

バッグから携帯を取り出すとメールを確認

 

 

 

ーー 週末、4人で飲み会!場所はオレが決めていい?

 

 

 

「今見た。」

 

 

相変わらず自分勝手なやつだな~

場所云々より、週末の都合を聞け、って話

まぁ、悪気はないんだろうけど・・・

 

 

「週末、飲み会って聞いてた?」

 

 

運転しながら、チャンミンからの質問が続く

 

 

「全然。」

 

「だよな?」

 

 

くすっと笑うのが気配でわかった

同じこと考えてたんだろうな・・

 

登録していない番号からの不在着信も確認できた

誰からだろう?

変な勧誘の電話かなぁ?

まぁ、大事な用だったらまたかかってくるか・・・

 

 

「あ、陽菜からもメールきてる・・・」

 

 

陽菜というのが、堤が言う4人のうちの残りのひとり、森崎ヒナ

 

 

「週末飲み会って聞いてた~?だって・・ハハッ、皆同じね」

 

 

まぁ実際、堤が言いださなきゃ

他の誰も言いださないんだろうけど・・・

 

 

 

「あっ!でも私っ、お金ないっ!

週末ってまだ給料日前だよね?」

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

残念だけど、私は欠席だなぁ~・・・

と軽く呟きながら、メールの返事をうつ

 

 

「・・・あれ?なんだ?あの人だかり・・。」

 

 

「え~・・?」

 

 

チャンミンの声が聞こえても、私はまだ携帯に視線を落としたままだった

 

 

「あれって、成瀬のアパートの方じゃ・・?」

 

「ええっ?」

 

 

私のアパートの方?って単語が聞こえ、慌てて顔をあげる

 

 

「ええええええーーーっ、何っ、あれっ・・」

 

 

見れば、私が住んでいるアパートの前はすごい人だかりができていて・・・

赤いライトの灯りが見え、パトカーや消防車が来ているのがわかった

 

 

「・・・・ どういうこと・・?」

 

 

何があった・・・の?