「・・・・・・・・」
目が・・・ 合っている
年の頃は、小学・・1年生か2年生?と言った低学年っぽくって
でも、凛とした目がどこか大人びている
そんな男の子、たぶん・・。
というのも肌は色白で、そうね、髪が長ければ女の子とも思いそう
日曜日の昼下がり
ひとりランチをした後、あまりの天気の良さに
日頃の運動不足を解消するべく、散歩がてら、公園まで歩いてみた
公園には、芝生の上にシートをひろげ、寝そべるカップルたち
お弁当をまだ広げっぱなしにしたまま、楽しそうに遊んでいる家族連れで賑わっていた
噴水を囲む石垣に、ちょこんと座るひとりの男の子
それがさっきから私が目が合っている男の子
この子は・・・
ひとりで来ているのかしら?
それとも、どこかにお父さんやお母さんがいて・・?
お弁当を食べ終えてここまで駆けてきたのかしら・・?
そんなふうに思っていると
その子が
スッと手を差し出し、手の平を上向きにすると
人差し指をくいっと上げ、ちょいちょい、っと手前に動かしている
ん?
もしかしてそれって・・・
呼んでる?
こっちに来いって・・・
しかも、私?
私は、自分を人差し指で指すと、彼に確認するようにして見せた
すると彼は、うん、そうだ、とばかりに2回もうなずく
可愛らしい容姿とは裏腹に、ずいぶん生意気な態度だな~
と思いつつ、私は彼の方へと歩み寄って行った
・
・
・
・
・
「どうしたの?ひとり?お母さんは?」
「おなかすいた」
「え?おなか・・?」
「腹、減った。何か食べるものないか?」
「え?はらへっ・・」
さっきと違うっ
「なんだ?聞こえないのか?」
ムカッ!
「聞こえてるわよっ お腹減ったんでしょっ?」
ざわざわっ・・・
私の大声に、周りの視線が集まるのを感じた
しまった・・!
子供相手に・・・
「あのお母さん、子供にご飯を食べさせてないのかしら?」
「まだ若いから、放って遊んでたんじゃないの~?」
「かわいそう~」
四方八方から聞こえてくる声
え?
もしかして、私、この子の母親だと思われてる?
うそうそうそっ
高校生で産んだことになるじゃないっ
「私っ、この子の母親ではっー」
ぐいっー
「いこっ?」
いつの間に石垣から降りたのか
男の子に手を引かれ、私は歩き出す
「大丈夫、おまえのことじゃあない」
あそこ、と指された方を見ると
泣いている子供と、それを叱る母親の姿が見えた
「・・・ あ~・・」
「それで?食べるもの、持ってないのか?」
「・・・・・・・」
前に思ったことは訂正する
この物言い、どう考えても小学校の低学年ではないわ
見た目はすっごい天使みたいに可愛いのに・・・
高学年?それとも・・・
「あるじゃないか!!」
ビクッ!
肩から下げていたトートバックが引っ張られたと思ったら
中から袋を取り出し
結ばれた紐をほどいていく
「ちょ、ちょっとっ!!それっ、私がさっき美味しそうと思って買ったやつっー」
どうしてわかったの?見えるはずないのに・・
匂いがしたとか?
ランチをしたお店のレジ横に並んでいて
会計をするときについ、手に取ってしまったクッキーとマフィンの詰め合わせだった
彼はもう、それを袋から取り出し、美味しそうに頬張っている
その満足そうな顔をみると
やっぱり天使・・?
よほどお腹が減っていたのね・・・
「飲み物・・・」
「え?」
「喉が渇いた、何か飲み物!」
「wwwww」
はい、またもや訂正いたします
決してコレは天使ではありません
「あのね、さっきから気になってたんだけど、キミ、目上の人への口の利き方、間違ってるわよ?」
「・・・・ めうえ・・?」
「何か飲み物をください。せめてこれくらいは言わないと!」
「・・・ なにかのみものをください・・・」
うわっ
なに?
この征服感・・・ ぶるっ・・
子供相手に何を言ってるんだろう、私・・・
私はこの子の頭を撫でながら
「はい、よくできました。じゃあ、お姉さんが買ってあげましょう!」
満面の笑みでそう言うと
確か自販機があったはず・・・
と、辺りを見渡す
「・・・・ おねえさん・・・?」
ピクッ
彼が呟いた言葉に身体が反応した
「なにか?」
「・・・ おねえさん?」
え?
なに?
やっぱり、これくらいの子から見れば
私ってもう、お姉さんじゃないのっ?
っていうか、そこ引っかかるなんて
やっぱり全然素直じゃないっ
「子供は黙ってうなずいてたらいいのよ!!
何がいい?一緒に買いに行く?
ほら、あそこに自販機あるからー」
ぎゅっ
突然、片手に温度を感じた
小さい手の平が
私の手を握る・・・
その温度を・・・