「藤宮様!お着替え、・・・ 合うかどうかわかりませんけど、ここに置いておきますね~」
サイズはわかっている
問題はお気に召すかどうか・・・
シャワーの音にかき消されないだろうか?と思いつつ
大きく声をかけてから、脱衣所を出た
ふと、目に留まったユノのものたち
「・・ま、いいか」
変に片付けるのもどうかと思い
そのままにして、リビングへと戻る
ユノの家なのに
勝手にあげちゃったけど・・・
よかったよね・・?
だって恩人の藤宮様が困ってらっしゃったんだもの!!
うん、大丈夫
書斎や寝室は、鍵がかかってるし
リビングだけならきっと・・・
部屋の中を見回して、一応確認すると
キッチンへ
「ユノが帰ってくるまでに夕飯の準備をしておかないとー・・」
・
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・
「それにしても、知らなかったわ~ りかさんって実はお金持ちだったの?」
ドキッ
淹れたてのコーヒーをひとくち飲むと
ソファに深く座った藤宮様が最初に言われたセリフがそれだった
「いや、あの・・」
「実はなんて言ったら失礼よね?でも、まさかこんな素敵なところに住んでるなんて
びっくりしちゃって!」
藤宮さまは・・・
ユノのこと、知らないのかな?
結婚式の招待状ってお父様しか見ないのか
「えと・・ あの、実はここ、私の部屋じゃなくてー」
「交際されている方の?すっごぉ~~い!!どうやって取り入ることができたのかしら?」
取り入る・・?
なんか嫌だな
そんな言われ方・・・
「あの、藤宮さま・・?」
「だって、これだけのお部屋に住めるんだもの
かなりの方なんでしょう?
失礼だけど、りかさんとはご縁がなさそうに思ったものだから」
「あー・・ それはそうなんですけど・・」
確かに
普通に考えて、ユノと私には、なんのご縁もない・・のだろう
「じゃあどうして?どうやって、ここに住んでいらっしゃるの?」
「え?どうして、って・・」
なになに?
どうしてこんな質問を・・?
藤宮様は、もしかして、ユノのことを知って・・?
いや、そんな感じじゃあなかった
でもだったらどうしてこんな質問を?
「私ね、近々結婚したいと思っている方がいるの
父の事業のためにも、お相手の方の事業のためにも、ね」
「・・・・・・・・・・」
藤宮様から向けられる視線は、まるで射るように鋭い
もしかして・・・
ううん、そんなまさか・・・?
「りかさん、あなた・・・ そのおつきあい、お相手の方にメリットあるのかしら?」
「・・・・・・」
藤宮様からの質問に、答えを窮していると
ガチャリと玄関のドアロックが外された音がした
ゆっくりと足音が聞こえてきた
藤宮様の顔がリビングのドアへと向けられる
近づいてくる足音はもちろん、この部屋の主のもので
・・え?
帰るときには連絡をするってー
待って待って・・!
入って来ないでっー
ガチャ
「ーー どなたか、来ておられるのか?」
あぁ・・・
ドアをあけて、ユノが入ってきた
「ユノっ・・ 帰る前に連絡するってー」
「電話ならした。おまえが出なかったからメールも。」
「え?いつっ・・」
私は慌てて携帯を手に取ってみる
あ・・・
ほんとだ
不在着信にメール・・
「あのっ、チョン代表!初めまして^^ いつも父がお世話になっています」
えっ、藤宮様?
やっぱりユノのこと知ってた・・!!
「・・・・ 失礼ですが。・・・・ どなた?」
ユノが、いったん藤宮様に微笑んでから
私の方を向いて聞いてきた
「あ、藤宮様・・ ほら、この間助けてもらった、って・・」
「あ~~~・・ すみません、失礼しました。
先日はコイツがお世話になったようで・・」
そう言って、藤宮様に歩み寄ると
ニコッと、また微笑んだ
なんか・・
気に入らない・・
「いーえ、そんな。・・・・ 藤宮しおりと申します」
「あなたが藤宮グループの・・。」
藤宮様・・・・?
さっきまでとはうってかわった女性らしさを漂わせ
ユノを見つめると微笑まれた・・!!
もー、やだ
藤宮様、ユノのこと知ってたの?
さっき言ってた結婚したい相手ってユノのこと?
でも、藤宮様のところには結婚の知らせは、いってるはずなのに
ーー お相手の方にメリットはあるのかしら?
私は・・・
ふさわしくない、って言いにきた?
そうなんだ・・?
きっと・・・
ここだって、ユノのところだって調べて
それであんな・・
うう~~っ・・
私ってば、ばかばかばかばかっ
なんで藤宮様をあげちゃったのよっ
・・・いやいや、普通、あそこで拒否れる人っている?
いないいない
はぁ~・・・
やられた・・・
「・・・ で? 今日はどうしてここに?」
「ええ、私が突然の雨に打たれて困っているところに
たまたまりかさんが通りかかってくださって・・・」
違う違う
ぜんっぜん、たまたまじゃないのっ!
「・・・・・・」
なんて思っても言えるはずもなく
「よかったらあがってシャワーと着替えを、と言ってくださったので
お言葉に甘えてお邪魔させていただきました^^」
藤宮様・・・
しっかりユノの方を見て話すと
最後に笑みを忘れない
自分が、シャワーと着替えをさせてくれって言ってきたくせに・・・
まぁいいか
藤宮様が帰られてからユノに話せば
「そうですか。では、送って行きましょう」
「えっ!!?」
ユノの言葉に驚いて声が出たのは私
だって、送って行くって・・
あ~ 下にまだ真崎がいるのね?
「まぁっ、いいんですかっ?それは、チョン代表が?」
「ええ。運転手はもう帰してしまったので、私が。・・・ 不安ですか?
大丈夫、これでも優良ドライバーですよ」
「不安なんてそんなっ!よろしくお願いします^^」
ユノが・・?
ユノが運転して送るのっ?
「あの、ユノっ・・」
何もユノじゃくても・・・
「じゃあ送ってくるから。」
まるで私が何か言いかけるのを遮るかのように
ユノはそう言い放つと
さあ、とばかりに藤宮様をエスコートして出て行った
さっき、帰ってきたばかりなのに・・・
嫌だ・・
嫌だよ、ユノ・・・
なんか嫌なの
藤宮様に、きっと何か言われる
そうしたらユノは
行っちゃうでしょ・・?
だって私には・・・
なんのメリットもないのだから
つづく・・・
(素敵な画像、お借りしました。ありがとうございます)
