いつもよりちょっとだけ早い帰り道
オレは
あの事故現場で花を手向け、両手を合わせて祈る女性を見つけた
・・・・ 彼女だ
オレはあのとき、くずれそうなチャンミンを支えるのに精いっぱいで
救急車に乗り込む女性の顔も
運ばれていく男性の姿も記憶に残るほど見ていなかったが
彼女がきっと、その人だと
どこか直感めいたものが働いた
「あのっ・・ ちょっとスミマセン」
近づいて声をかけずにいられなかった
最近のチャンミンはどこか塞ぎ込んでいて
あれ以来、一度もオレに身体をあずけてくれない
彼女が悪いわけではない
そう
誰も悪くない
だけど、彼女にそう言ってもらえたら
チャンミンは前のように笑ってくれるんじゃないか?
「・・・ あのときの・・・ 彼の・・!!
あ~ 私、お会いしたかったんですっ!!」
驚いたことに、彼女はオレのことも覚えていた
「私、あのとき、彼に言い過ぎてしまって・・・
今度会ったら謝ろうと思ってたんですけど
彼、あれ以来全然会えなくて・・・」
謝ろうと・・?
「すみません、あいつ・・ ここ、通らないようにしてるんですよ」
「ええっ!?じゃあやっぱり・・ 私が言ったことを気にして・・ですよねっ?
すみません、すみませんっ!!」
「いや、でも・・ 貴女が悪いわけじゃないし」
そんなに謝られると・・・
「私、彼に怒られちゃいました。ひどい八つ当たりだって・・・」
「え?彼に・・?」
彼は・・・ 亡くなったんじゃ?
オレは、手向けられた花束に視線を落とす
「あ、誤解させちゃいましたよね?・・・ えと・・
まだ、家にいるんです、私の部屋に・・・お骨ですけど」
あぁ・・・
そういうことか・・・
「私たち、結婚するはずだったんです・・ あの日は
式場の下見に行った帰りで・・・
あ、ごめんなさい・・ 思い出したらまた・・」
涙が零れる彼女に、そっとハンカチを取り出し
「これ、よかったらー」
「だいじょうぶです、すみませんっ、持ってます持ってます・・」
渡そうとした手を
そのまま押し戻された
そして、彼女は自分のバッグからタオルハンカチを取り出し、涙を拭った
「私がこんなだから・・・ 彼のご両親が、私の気の済むまで
私の部屋に一緒にいたらいいよ、って・・
私が納得したら、家に連れて帰ってきてくれたらいいからって・・
お墓に入れるの、待っていてくださってるんです
毎週彼に会いに通ってくださりながら・・・
きっと、ご自分たちも早く連れて帰りたいでしょうに・・」
オレは、彼女の告白を黙って聞いているしか、術が見つからなかった
「毎日・・ ここでと、家で、彼と会話しているんです
あの日は、帰るなり怒られちゃいました
何を八つ当たりしているんだ、って・・・・」
それは・・・
きっと、キミがそう思ったから
彼の言葉で聞こえたんだね・・?
彼も・・・
キミも・・・
とても素敵な人なんだね
彼女の話を聞いていると
彼がどんなに彼女を愛していたのか
彼女がどんなに彼を愛していたのか
強く伝わってくる
そんな人を
突然失ってしまうなんて・・・
その悲しみは計り知れないものだろうな
オレなら耐えられない
「だから、彼に・・ 伝えてもらえますか?
変な言いがかりつけちゃって・・ごめんなさい、って
・・え? 泣いて・・?」
「あ、スミマセン・・ ちょっと・・ もらい泣き」
「やだな~ どうして貴方が泣くんですか~?」
今度は彼女が手に持っていたタオルハンカチを差し出してくれたのを
「だいじょうぶ、持ってます・・」
サッと自分のハンカチをかかげ、優しく断る
「ここって、事故多発地帯なんですって。
ここでお花をあげていると、そう教えてくださった方とかいて・・
だったら何か対策をたててほしいですよね?
おっきな看板作るとか・・・」
「あー、そうですね、どこに言ったらいいのかな・・」
「私、今度警察に行って、そう言っておきます!!」
おかしいな
こっちが元気をもらったみたいだ
あぁ・・
帰って早くチャンミンに教えてあげたい
「じゃあ、彼によろしく言っておいてください。
ほんとにごめんなさいって・・」
「貴女が謝ることじゃないです
悪いのはー・・ 事故を起こした人ですから。」
「・・・でも、ちゃんと謝っておかないと
何かあったとき、向こうで彼に会えないから」
「・・・・っ!?」
そのときだった
彼女の向こうに、大きなトラックが見えたのはーーー
・
・
・
・
・
昨日もユノのこと、拒んでしまった・・・
ヒョンの悲しそうな顔が目に焼き付いて離れない
僕だけが
愛する人に愛されていいのかって・・・
そう考えてしまってたけど・・・
もういいかげん
あの腕に飛び込んで甘えてもいいんじゃないか?
僕がしていることって
ユノを悲しがらせてるだけなんじゃ・・?
ユノの帰りを部屋で待っていると
救急車のサイレンがやたらと鳴り響いて聞こえる
「・・・ 救急車の音・・・」
「・・ ちがう、アレは・・ ヒョンじゃない」
また、出て行って、同じあやまちはしない
ちゃんと家で待っていれば
ユノは普通に帰ってきてくれるんだ
「ただいま、チャンミナ」
って
優しくボクの名前を呼ぶ・・・
そしたら 僕は
「おかえり、ユノ」
って
あの逞しい胸に飛び込もう
今まで心配かけてごめんね、って・・・・
今夜はいっぱい甘えよう
ね、ユノ・・・
おしまい
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ダメぇーーーー!!
やだぁーーーー!!
無理ぃーーー!!
と、思っていただけたら
私のこのお話のラストは成功です
結局色々迷いましたが
当初の予定どおりのラストです
あ~、難しかった、あのシーン(笑)
色々思われることはあると思いますが
コメント欄をあけたら
苦情しかこないような気がしますので
さすがにそれは悲しくなっちゃう・・・
だったら、こんなラスト、描くなよ、って話なんでしょうが
ここは自分勝手に
ということで
最終話ですけど、コメント欄は閉じさせていただきますね
このお話におつきあいくださった皆様
ありがとうございましたm(_ _ )m

